2017年WRC第7戦ラリーイタリア、シトロエン陣営は総合8位に終わる


2017年 WRC第 7戦ラリーイタリア・サルディニアで、シトロエン・レーシングは総合 8位のアンドレアス・ミケルセンがチーム最上位という、シトロエン・トタル・アブダビ WRTの期待を下まわる結果となった。

この結果を踏まえ、次戦ラリーポーランド( 6月 29日‐7月 2日)でもチームは再び、ミケルセンをドライバーズラインナップに加えて戦う体制を決めた。なおポーランドにミケルセンと共にエントリーするのは、クレイグ・ブリーンとステファン・ルフェーブルとなる。

今7戦の展開は、6月8日(木)に行われたセレモニアルスタートとスーパー SSに続き、本格的な競技が9日(金)の朝から始まった。

オルビア周辺に設定されたこの日のステージは、 4カ所を2回ずつ走行するコースだ。日中のサービスは、アルゲーロに設けられ、 クリス・ミーク /ポール・ナゲル組は、スタート後すぐにペースをつかみ、 SS2ではステージウィンを記録し総合首位に立った。

シトロエン C3 WRCの手応えを掴んだミークは、その後ライバルにかわされるものの、SS4ですぐに首位を奪回。しかし、ミークの勢いは、その後削がれてしまう。

SS5でバンクにヒットしたミークの C3 WRCは転倒。このSSこそ走り切ったものの、この間に7分をロスタイムを喫したのだ。さらに到着したサービスで、ロールケージへのダメージが判明したため、リタイアを余儀なくされる。

一方SS3では、総合6番手につけていたクレイグ・ブリーン /スコット・マーティン組は、事前の走行で、このポイントを把握できておらず、ジャンプ後の着地で露出していた地盤に車体を強くヒットし、ギヤボックスにダメージを負い走行を続けることができなくなった。

チームはマシンを修復し、ブリーンはラリー 2規定を適用して翌 10日(土)に再スタートを切る。

結果、この段階で上位争いに残っている C3 WRCは、アンドレアス・ミケルセン /アンデルス・ヤーゲル組の1台のみとなってしまう。この2台のリタイアにより、ミケルセンはチームで唯一、ラリーを一貫して走り続ける車両となった。

この試練を前に、今季シトロエンから初参戦したばかりのミケルセンは、 C3 WRCに対する理解を深めながら様々な調整を行っていくことを目指し、この日は当初、総合 8番手のペースで走行していたものの、午後にはひとつ順位を落とす。

翌10日(土)、ミケルセンは自分のアプローチに合わせてセットアップを調整しながら改善を続け、名物ステージのモンティ・ラーノでは不運(午前中はパンク、午後はデファレンシャルトラブル)もあったものの、モチベーションを保ち続けステージを消化していく。

前日のトラブルを克復して、競技に復帰したブリーンはコイルナ‐ローレのステージで目覚ましいパフォーマンスを披露。

1回目の走行は 3番手タイム、午後の 2回目では 2番手タイムを記録したが、ハンドリングで良い結果が得られなかったことにより、その他のSSで結果が得られずに終わる。

そして迎えた競技最終日の11日(日)。この日は距離が短く4つのSSを途中のサービスを挟まずに走りきるルート構成である。

ミケルセンは、路面に砂利の多い 2番手スタートとなりながらも、序盤 2日間の進捗を活かして好タイムをマーク。同様にブリーンも、 SS16で再びトップ 3タイムを刻んでみせた。

結果、最終 SSのパワーステージを走り終えて、ミケルセンはシトロエン・トタル・アブダビ WRTから出場した初ラリーを8位で完走した。

前日不運にもリタイヤを喫したブリーン /マーティン組も、最終日には辛うじてラリーをフィニッシュし、マニュファクチャラーズ選手権でのポイントをチームにもたらした。

シトロエン・トタル・アブダビ WRTにとっては、悲喜こもごものラリー となった今第7戦、クルーによってリザルトがまったく異なる結果となった。

第7戦を振り返ってシトロエン・レーシングのチーム代表、イブ・マトン氏は、「スタート前、私たちはドライバーたちにラリーを完走するように求めました。

もし彼らがそれを果たせば、 2台はトップ 5に入れるだろうと考えたからです。その考えは、間違ってはいなかったと思います。

ところが、クリスはミスのないラリーをするために必要なペースを維持することができませんでした。

最初の SSを終えた時点で、彼はマシンの扱いやすさを感じており、掲げたターゲットに向けてペースも安定していると語っていました。残念ながら、彼はそれをキープすることができなかったのです。

クレイグはジャンプの着地でマシンを強打し、彼の戦いは終わってしまいました。

結果ステージの経験不足が大きな痛手となり得ることが、証明されてしまいました。彼がダメージを負った場所は、このラリーの経験が豊富なドライバーには有名な、難しい場所だからです。

また、彼のリタイアはアルゼンチンでの状況と似ている部分もあります。こうしたタイプの衝撃にマシンが対応できる方法を模索しなくてはなりません。

一方アンドレアスのアプローチは、非常にしっかりとしたポジティブなものでした。

但しイベント前のテストで、私たちは C3 WRCを彼のドライビングスタイルに合わせる必要があると理解しました。彼は、左足ブレーキを一切行わないのです。

この作業にはもちろん時間がかかるので、今回のラリーはテストセッションのような意味合いを持つことになりました。

彼とは総合8位というリザルト以上に、一緒にいい仕事ができたと思っています。彼は、我々がどんなポイントに取り組まなくてはならないのかを指摘し、さらなる改善が見込める点を特定してくれました」と語った。

チームはすでに、次の第 8戦ポーランド( 6月 29日‐7月 2日)に視点を移している。この結果を踏まえて次戦のポーランドでは、ドライバーラインナップを変更して挑む構えだ。

シトロエン・トタル・アブダビ WRTは、ポーランドにブリーン /マーティン組、ステファン・ルフェーブル /ギャビン・モロー組、ミケルセン /ヤーゲル組という 3台のC3 WRCで出場する。

次戦についてチーム代表、イブ・マトン氏は、「残念な結果が続いたことから、クリス・ミークには、このラリーは参戦を見合わせるように伝えました。

クリスは、これがチームにとって最善の選択であることを受け入れてくれました。彼が理解してくれたことに感謝します。

彼には、一戦休むことで充電して、プレッシャーから解放された状態でラリーフィンランドの準備に取り組んでもらいたいと思います。彼は、昨年のフィンランドでは完璧なパフォーマンスで勝利を収めていますから、より強くなって戻ってきてもらいたい。

それと同時に、ラインナップを変更することで、アンドレアスとの関係を強化することができます。

今回の参戦は、結果を求めるものというよりも、アンドレアスのテストセッションのような感じでしたので、2度目の参戦で、今回の経験を活かして上位陣との差を詰めることのできるチャンスが生まれます。

さらに、彼はラリーポーランドでは昨年勝っており、得意としているイベントでもあるのです。

また我々は、クレイグ・ブリーン、ステファン・ルフェーブルら、若手ドライバーを支援するという使命にも取り組み続けます。

ふたりは次のラウンドにも参戦します。ふたりも2016年のラリーポーランドに参戦しており、まずまずのパフォーマンスを発揮しました。

このため、今回は実力を発揮する絶好のチャンスと言えます。もちろん、彼らのメインターゲットは、ミスをせずにラリーを走り切ることに変わりはありません。

WRC第 8戦に備えるため、チームはポーランドで 4日間のテストを行います。このテストには、ミケルセン、ブリーン、ルフェーブルらが、 C3 WRCで臨む。この際、ミーク /ナゲル組も、ポーランドの事前試走には参加予定としている。