日産自動車、こども自動車のダットサン・ベビイを再生


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こどもの国開園50周年記念に活用、日産ギャラリーでも展示

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区 社長:カルロス ゴーン)は、かつて1964年から翌年に掛けての期間。神奈川県横浜市青葉区にある「こどもの国」へこども自動車の「ダットサン・ベビイ」100台を寄贈した。

今回は現存していた寄贈車のうち保存していたクルマの1台を、こどもの国・開園50周年を機に再生。同園の50周年記念イベント等へ活用する。これに併せ3月28日からは、こどもの国・開園50周年にちなんだ写真展と、同車の展示イベントを日産グローバル本社ギャラリーにて開催する。

現天皇のご成婚に併せ誕生した「こどもの国」

そもそも「こどもの国」は、皇太子明仁親王殿下(現在の天皇陛下)・美智子妃殿下のご成婚に併せ、「次世代を担うこどもの健全育成のため児童福祉法に基づく児童厚生施設」というコンセプトで1965年5月5日にオープンした。

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ダットサン・ベビイの寄贈は、日産が同園の設立意義と社会的使命に強く共感して実現。子どもたちは、運転免許を持つ大人の運転で乗車するほか、園内で有効な「免許証」を取得すれば小学5年~中学3年は1人で運転できた。

このため併設の「交通訓練センター」で、交通法規や車の構造を学び、指導員の同乗でS字コースなどを走った後、専用コースを1周する「実技試験」を受け、約4万5千人が免許を取得。1973年までアトラクションとして人気を呼んだ。

再生車は寄贈100台目にあたる記念すべきクルマ

「ダットサン・ベビイ」は、こどもの国の園内のなかで子どもたちが本物のクルマを運転する夢を実現するべく、当時の日産が、愛知機械工業株式会社(1962年9月期に赤字決算・無配に転落したことから日産自動車との業務提携した企業)の200cc・2人乗りの軽商用自動車「コニー・グッピー」をベースに開発。

車体サイズは、全長2m96cm、全幅1m24cmで445kgの重量。その構造は前輪ダブルウィッシュボーン、後輪トレーリングアームの四輪独立懸架サスペンションを備える。

エンジン搭載位置は、レーシングマシーンのセオリーと同じミッドシップレイアウト。エンジンは空冷199ccで最高速度は30km、当時の岡村製作所製が開発した国産トルクコンバーター付き変速機を備えた2ペダル構造や、12V電装系など技術的には当時の360ccクラスの平均以上を行く内容を持っていたクルマだ。

NTCのボランティア組織が再生を手掛ける

今回、再生を手掛けたのは日産テクニカルセンター(NTC)に勤める研究開発部門の現役社員を中心に活動するボランティア組織「日産名車再生クラブ」

同クラブは、かつての名車に採用した技術の伝承や自動車文化の継承・発信を目的に2006年に発足。以来、毎年1~2台の歴史的車両を再生し続けており、この「ダットサン・ベビイ」は10台目の再生車両となった。

「ダットサン・ベビイ」の再生にあたって同クラブは、他の車両再生と同様に当時の仕様を綿密に調査し、劣化した部分を丁寧に再現致したという。さらに各サプライヤーの協力も得ながら、休日での作業を9ヶ月以上続けて完成に至った。再生した車両は、今後1年間の予定で「こどもの国」の50周年イベント等で展示・活用される。

【動画リンク】
当時の勇姿

 

日産ダットサンベビー復元 子ども免許で30万人が運転

上記リンクの動画著作は朝日新聞

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