神戸製鋼所、高機能抗菌めっき「透明性ケニファイン成膜技術」を開発


株式会社神戸製鋼所(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:川崎博也、以下、コベルコ)が、従来にない抗菌技術として適応分野の拡大を進めている高機能抗菌めっき技術「KENIFINE™(ケニファイン)」(以下、ケニファイン)。同社はこれを応用し、透明性と抗菌性を兼備した透明性ケニファインの成膜技術を開発した。

この成膜技術は、プラスチックフィルム・紙シート・フレキシブルガラス・布繊維・金属箔などのフィルム状の対象物の表面にケニファインの極薄膜を形成し、透明性と抗菌性を具備させることを可能にするもの。

同社によると、この成膜技術の完成を経てケニファインの利用用途が拡大、多様な可能性が広まったとしている。

今後は、高砂製作所にあるロールコータのデモ設備で実証を重ね、フィルム状の対象物に対する抗菌性付与のビジネス展開を、さらに模索していくと云う。

1.透明性ケニファイン成膜技術について
同社は2008年頃より、ケニファインの新たな利用技術として透明性と抗菌性が求められるフィルム状の製品(薬品や食品包装用の材料、窓材、スマートフォンやパソコン用タッチパネルなどのフィルム状部材など)への適用技術の開発を行ってきた。

ロールツーロールスパッタリング模式図

今回開発した成膜技術は、ロールツーロールスパッタリング(成膜物質を板状にした表面に、アルゴンや窒素を衝突させ粒子を空間中に取り出して表面に粒子を堆積させ薄膜を形成すること)により、ケニファインをフィルム上に成膜する技術。

形成されるケニファイン薄膜の厚さはナノメーターレベルでありながら、従来のケニファインめっき処理と同等の抗菌効果を有すると云う。

この技術により、成膜の対象となるフィルム状の製品に対して外観を損ねることなく、抗菌性を付与することが可能となり結果、ケニファインの適用分野が大きく広がる。

なお同社ではこの技術を第8回高機能フィルム展に出展する
会期:2017年4月5日(水)~7日(金)10:00~18:00(最終日は17:00まで)
会場:東京ビッグサイト(東京都江東区有明3-21-1)
主催:リード エグジビション ジャパン(株)
入場料:無料(登録制)
展示物:透明性ケニファインフィルムのポスターおよびロール状サンプル、 ケニファインめっきサンプル、抗菌畳「柔道部物語」

抗菌性確認例
(1).PETフィルムに載せた黄色ブドウ球菌10,000個の24時間後の個数
ケニファイン無し:約4,000個、ケニファイン有り:2個以下
ケニファイン薄膜がない場合に比べて、ケニファイン薄膜により0.05%以下に抑制
(2).PETフィルムに載せた大腸菌10,000個の24時間後の個数
ケニファイン無し:約1,100,000個、ケニファイン有り:2個以下
ケニファイン薄膜がない場合に比べて、ケニファイン薄膜により0.0002%以下に抑制

2.ケニファインとは
同社材料研究所が独自開発した高機能ニッケル系合金めっき技術であり、めっきラインを有するメーカーへめっき技術を供与するビジネス形態を採っている。

1996年7月に大阪府堺市で発生した病原性大腸菌O157による大規模集団食中毒事件を機に、その対策技術として開発がスタート。

2001年に開発を完了し、2002年よりライセンシーにて量産を開始した。現在のライセンシーは12社に昇る。

適用事例
産業用途:食品・飲食工場や医療・福祉機器、家電・エアコン部品、養殖用金網など。
民生用途:台所・浴室用品、グルーミンググッズ、健康用具、アミューズメント製品、衣料品、畳など。