米TOYOTA、サイオンブランドのトヨタブランドへの移行を決定


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サイオンは、若い新規顧客をトヨタブランドに呼び込むことに大きく貢献した

トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男、以下、トヨタ)は2月3日(米国中央時間)、米国に於けるサイオンブランドを、トヨタブランドに移行することを決定した。

サイオンは、若年層向けにこれまでにない商品やビジネスを試行するため、2003年に創設している。今回の発表にあたってトヨタによると、「独自の商品やビジネスでトヨタに若く新しいお客様を呼び込むという目標を達成した」としている。

実際、これまでに販売したサイオンブランドのクルマは100万台を超えテオリ、同社調査によると、そのうち70%はトヨタの新規顧客が占めている。また、サイオンのお客様の半数が、35歳を下回っていると云う。

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サイオンブランドの創業メンバーは、今後のトヨタブランドの飛躍を強調

サイオン設立時に同ブランドのバイス・プレジデントで、現在、北米トヨタCEOのジム・レンツ氏(Jim Lentz)は、同発表に併せてリリースされたビデオメッセージで、「今回の決定は、サイオンブランドの後退ではなく、トヨタブランドの飛躍を意味している。

トヨタブランドでは困難だった新しいアイデアを、サイオンを通じて次々と試みることができた。

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私も設立時のメンバーだったが、若いお客様をより積極的に惹きつける方法を学ぶことを狙いとしていた。まさにこの目標を達成できたことを誇りに思う。

お客様や販売店の多大なるご支援、従業員の尽力なくしてはこの成功はなしえなかった。移行に際しては最大限のサポートをしていく」と述べた。

米国自動車業界に於いてサイオンは、最も若いブランドでありつづけてきた

米国トヨタにとってサイオンは、所有者の平均年齢が36歳と、業界内で最も若いブランドでありつづけてきた。「tC」購入者の平均年齢は29歳で、業界内で最も若い。

最近導入された「iM」と「iA」は、初めて新車を買う顧客が購入者の70%を占めており、新規顧客の開拓に大きく貢献しているほか、両モデルのお客様の半数以上が、35歳を下回っている。

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ではなぜこの次期にブランド統合であるのか?だが、今回のブランド移行への動きは、米国内に於ける顧客ニーズを踏まえての決定としている。

具体的には第1に、今日の若年ユーザー層は、これまで通りクルマの見た目や、運転の楽しさを重視する一方で、以前より実用性を重んじる傾向にあり、両親世代同様、トヨタのブランドイメージや品質、耐久性、信頼性を評価するようになってきていること。

第2に、トヨタブランド車も、若い顧客が求めるダイナミックな外観や、運転の楽しさに関して評価が得られるクルマに変わってきたことを挙げている。

販売面に於ける貴重な知見を蓄積。同ブランドに関わった人材は米国トヨタで新業務に就く

今後、ブランド移行は2016年8月より開始し、サイオン車は2017モデルイヤーより、モデル名を残したままトヨタブランド車として取り扱われることになる。

具体的には、「FR-S」、「iA」、「iM」はトヨタブランド車となり、「tC」は最後の特別仕様車を発売した後、2016年8月に生産を終了する。

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サイオンブランドとして、昨年のロサンゼルスモーターショーで披露された「C-HR」は、トヨタブランド車として米国に導入される。

上記を前提にサイオンユーザーは、今後もトヨタ販売店への来訪で、引き続き手厚いアフターサービスを継続していく。

これらの発表を受けて、米国トヨタ自動車販売のボブ・カーター(Bob Carter)上級副社長は、「1004にもおよぶサイオン販売店のこれまでのご支援に、感謝申し上げる。

販売店の皆様にも、これまでのご尽力の成果として、貴重な知見を蓄積いただけたのではないかと思う。

販売店の皆様が移行をスムーズに進め、お客様にも丁寧なご説明を行えるよう、我々としても尽力していく」と語った。

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サイオンで販売、マーケティング、配車、戦略企画、商品・用品企画を担当している22名の従業員には、米国トヨタ自動車販売で新たな業務に就く機会が提供される。

地域オフィスにおけるサイオンの担当者も、各オフィスにおいて、別の業務につくことになる。

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サイオンのバイス・プレジデントであるアンドリュー・ギレランド氏(Andrew Gilleland)は、「サイオンは何年にもわたり素晴らしい商品を生み出し続けており、現在も、手頃な価格で高機能な装備を多く搭載している。

サイオンの精神や培った知見が将来のトヨタ製品にも息づいていくことを誇りに思う」と同発表内容の最後に結んでいる。

サイオンの成果
【業務プロセス】
– 業務プロセス面で、以下のようなトライアルを通じ、米国でトヨタの他ブランドに活かしうる貴重な学びを得た。

【価格戦略】
– 顧客が価格交渉をしなくても良いよう、販売店で明確に単一価格を設定。具体的には、
(1)トランスミッションと色の2つの観点のみでグレードを設定。
(2)カスタマイズ用品を豊富に設定。
(3)透明性の高いローン提供プロセス。
(4)車両購入プロセスの多くをオンラインで行えるシステムの導入。
(5)プリペイド式の車両メンテナンスプラン。
(6)特別仕様、装備を用いた、モデルライフサイクルの活性化。
(7)ブランド初期段階での顧客参加型の独自イベントなど、草の根のマーケティング活動、などある。

【商品開発】
– 商品面では、独創性のある「箱型」の「xB」や、手頃な価格帯のスポーツカー「FR-S」など、米国自動車業界に影響を与えた商品を展開。

「tC」も常に、業界内で最も若い層のお客様を惹きつけつづけてきた。

【人材育成】
– 人材面でも、サイオンブランドでバイス・プレジデントを経験した人材の他、多くが昇格し、他の分野で活躍している。
(1)北米トヨタCEOのジム・レンツ(Jim Lentz)
(2)トヨタ自動車常務役員でLexus International Executive Vice Presidentのマーク・テンプリン(Mark Templin)
(3)米国トヨタ自動車販売 グループ・バイス・プレジデント(トヨタブランドマーケティング担当)のジャック・ホリス(Jack Hollis)
(4)北米トヨタ グループ・バイス・プレジデント(総合企画担当)のダグ・マーサ(Doug Murtha)
(5)米国トヨタ自動車販売 バイス・プレジデント(サイオン担当)のアンドリュー・ギレランド(Andrew Gilleland)など。

サイオンの主な歩み
2003年 販売台数10,898台
– 6月 サイオン設立、カリフォルニア州で「xA」、「xB」を販売
– 9月 米国東海岸に進出、続いて米国全土に展開

2004年 販売台数99,259台
– 3月 サイオン初の特別仕様車「xB Release Series 1.0」公開
– 7月 「tC」導入

2005年 販売台数156,485台
2006年 販売台数173,034台
2007年 販売台数130,181台
– 4月 2代目「xB」販売開始
– 8月 「xA」の後継モデルとして「xD」の販売を開始

2008年 販売台数113,181台
2009年 販売台数57,961台
2010年 販売台数45,678台
– 8月 2代目「tC」販売開始

2011年 販売台数49,271台
– 4月 「FR-S Concept」をニューヨークオートショーに出展
– 10月 「iQ」販売開始

2012年 販売台数73,505台
– 4月 「FR-S」販売開始

2013年 販売台数68,321台
2014年 販売台数58,009台
– 11月 「iM Concept」をロサンゼルスオートショーに出展

2015年 販売台数56,167台
– 9月 「iM」、「iA」販売開始
– 11月 「C-HR Concept」をロサンゼルスオートショーに出展