自動車メーカー参画のSDV向けオープンソースプロジェクトを基盤OSから支援

BlackBerry Limited（本社：カナダ オンタリオ州、CEO：ジョン・ジアマッテオ）の事業部門であるQNXは2025年6月18日（カナダ発）、QNX® Software Development Platform（SDP）8.0が、Eclipse Foundationが主導するオープンソースプロジェクト「Safe Open Vehicle Core（S-CORE）」の基盤オペレーティングシステム（OS）に採用されたことを発表した。

これにより、Eclipse Foundationは、ソフトウェア定義型自動車（SDV）の開発期間を短縮し、研究から生産、車両への実装に至るまでのプロジェクトのコストを削減するという、自動車メーカーの目標達成を加速させる。

今回の発表は、自動車業界向けの共通かつオープン、セーフティクリティカルなソフトウェアプラットフォームの開発に於ける重要なマイルストーンとなる。

S-COREプロジェクトは、BMWグループ、メルセデス・ベンツ、ボッシュ、ETAS、Qorix、アクセンチュアなど、主要自動車メーカー、サプライヤー、技術パートナーが参加する、EclipseのSDVワーキンググループによる共同のオープンソースイニシアチブ。

特に組み込みの高性能ECU（電子制御ユニット）を対象とした、SDV向けのオープンソースのコアスタックを開発する。

初回リリースとなるS-CORE v0.5では、アプリケーションのオーケストレーション、プロセス間通信（IPC）、ログの記録と永続性など、コアとなる機能が提供される予定。

これらの機能を堅牢な基盤で評価し、導入できるようQNX SDP 8.0が、最初のリファレンスプラットフォームの対応OSとなる。

同プロジェクトの進展は、QNXが展開するQNX Everywhereイニシアチブにより実現した。

この取り組みはQNXの高性能基盤ソフトウェアへのアクセスを非営利利用へと拡大し、学生、教育機関、研究団体、そして初期の試作目的のOEM各社を対象としている。

QNX Everywhereイニシアチブは、非営利利用でのQNX SDP 8.0への無償のアクセスを提供しつつ、無料のリソース（英語）も用意しており、組み込みシステムの学習、実験、技術革新をこれまでにないほど容易にする。

QNXの最高執行責任者兼製品エンジニアリングサービス担当責任者であるジョン・ウォール氏は、「Eclipse S-COREプロジェクトの基盤OSとして選ばれたことは、自動車業界におけるQNXの信頼性の高さと評価を示すものです。

この採用により、非営利目的での高度な試作がよりシンプルかつ迅速に実現可能になります。世界有数のOEMやTier1企業と連携してEclipse S-COREを実現することで、開発者へのQNX SDP 8.0の無償アクセスの提供を拡大します。

それにより開発者が、不安を感じることなく効率的に自動車技術の未来を構築できるようになると、QNXは大きな期待を寄せています。

QNXのように業界で実績のあるOSと、オープンソース開発の柔軟性と透明性が1つになることで、S-COREのコントリビューターおよびアダプターはともに、概念実証から本番までのプロセスで、より迅速かつ効率的なイノベーションが可能になります」と述べた。

QNXは、トヨタ、ホンダ、BMW、ボッシュ、フォード、吉利汽車、ゼネラルモーターズ、メルセデス・ベンツ、ステランティス、フォルクスワーゲン、ボルボなど、世界の主要なOEMメーカーおよびTier1サプライヤーから、ソフトウェア主導による未来の基盤として信頼されてきた。

同社では、その基盤ソフトウェアがデジタルコックピットや先進運転者支援システム（Advanced Driver Assistance Systems、ADAS）から高性能演算システム（HPC）に至るまで、将来を見据えたエンジニアリング設計をサポートし、自動車メーカーがより迅速かつ低コストでイノベーションを市場に投入することを可能にすると結んでいる。