ドライバーの生体情報と、レーシングカーの走行情報を組み合わせ、さらなる高度なパフォーマンスを追求していく
有限会社ダンディライアン(以下、ダンディライアン)が運営しているカーレーシングチーム「DANDELION RACING」と協力し、NTTドコモを含む4社は、全日本スーパーフォーミュラ選手権の実戦上に於いて「hitoe(ヒトエ・生体信号を取得可能な素材)」を活用したドライバーの生体情報計測実験を開始する。
参画企業は有限会社ダンディライアンを筆頭に、株式会社NTTドコモ・株式会社NTTデータ・日本電信電話株式会社の4社。実証実験の開始は2017年4月22日(土曜)から開幕する全日本スーパーフォーミュラ選手権の戦いの舞台上で実施していく。
この実証実験では、急加速や急減速が繰り返し発生するロードコースレイアウトのサーキットで開催されるスーパーフォーミュラの環境下で、ドライバーの身体能力や運動状態を可視化することを目的としている。
計測にあたっては、着るだけで生体情報の連続計測を可能とする機能素材「hitoe」の技術を用いたアンダーシャツ(以下、hitoeウェア)を使い、ドライバーの心電波形や心拍数、上腕部及び胸部の筋電などの生体情報を計測する。
さらに生体情報と共に、レーシングカーの走行情報(速度、加速度、エンジン回転数、ブレーキ圧等)及び搭載するカメラが取得した走行状態の映像を合わせて分析することで、高速レースにおけるドライバーの身体状態と走行状況の相関関係を検証し、ドライバーへのマネジメント、トレーニングメニューの検討等へ活用していく構え。
これまで、レース環境下におけるレーシングカー上の計測情報は、取得技術の進化や、改良により精度を向上を果たし精緻な収集が実現している。
その一方で、レース環境下におけるドライバーの生体情報を取得する仕組みが確立されていなかった。
今回、hitoeウェアにより、レース中におけるドライバーの生体情報を取得・収集することを実戦のなかで実行していく。
将来的には、LTEネットワークを活用することでレース中の生体情報をリアルタイムに把握し、その情報を基にレース中のドライバーへアドバイスすることで、より高いパフォーマンスの実現が可能になることを目指している。
4社は今後、実環境における過酷なレース環境下で、安定したネットワーク、各社の知見を合わせたサービス、解析技術等を活用し、ドライバーがより快適・最適なレースを実現可能とする新たなサービスの創出を生みだしていきたい考えであると云う。
なお「hitoe(ヒトエ・生体信号を取得可能な素材)」は、最先端繊維素材であるナノファイバー生地に高導電性樹脂を特殊コーティングすることで、耐久性に優れ、非金属素材でありながら体表面に密着させることで、心拍数や心電波形等の生体信号を取得可能な素材である。
1.実験内容
スーパーフォーミュラの環境下で、レーシングドライバーの生体情報やレーシングカーの走行状態の情報を収集し、分析することで、高速レースにおけるドライバーの生体状態と走行状況の関係性を検証する。
<全日本スーパーフォーミュラ選手権対象レース>
実施場所 :実施日程
第1戦_鈴鹿サーキット(三重県):
2017年4月22日(土曜)~23日(日曜)
第3戦_富士スピードウェイ(静岡県)
:2017年7月8日(土曜)~9日(日曜)
第4戦_ツインリンクもてぎ(栃木県)
:2017年8月19日(土曜)~20日(日曜)
第7戦_鈴鹿サーキット(三重県)
:2017年10月21日(土曜)~22日(日曜)
<計測する生体情報>
ドライバーの心拍数、心電波形、上腕部及び胸部の筋電情報
<計測するレーシングカーの走行状態の情報>
速度、加速度、エンジン回転数、ブレーキ圧、及び搭載するカメラにて取得した走行状態の映像
2.各社の役割
- NTTドコモ
– 車載データロギングシステムによる走行データの収集と分析
車載搭載カメラによる走行映像データの収集と分析。
– レース情報(レース中のタイム等や天候等の情報)と収集データとの相関分析。 - ダンディライアン
– ドライバーのhitoeウェアの着用、及びレーシングカーへの機器類の搭載。
– 実証機器の機能評価、及び分析の精度についての評価。
– ドライバーの運動状態を活用した、走行ラップタイム短縮に向けた検討。 - NTTデータ
– 走行中のドライバーのバイタル状態の分析及び筋肉の動きの可視化。
– 実験を通じて得られた各種データの相関分析。
– 相関分析から推測されるレース中のドライバーの生体情報の分析。 - NTT
– 耐火性アンダーウェアにhitoeの技術を用いたhitoeウェアの提供。
– 生体情報収集及びデータ転送機能を有するデバイスと技術の提供。