今年はルマン参戦18年目の年。そしてTDIエンジンでの参戦10年目の年でもある
今年のルマン24時間レースは、アウディ自身がこれまで、過去に経験したことのない、最も厳しい条件下での闘いとなる事を予想していると云う。
と云うのは、1999年のアウディ初参戦から18回目を迎えるルマン24時間レースは今回、最も少ない燃料で闘わなければならないからだ。
それは、あらゆる競合チームよりも少ない総量であるのだが、これはレースオーガナイズに伴う特別規則によって定められた。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=e380OykUgHY
それは何故か、実はアウディは参戦チーム内で唯一、燃費性能に優れたディーゼル ハイブリッドシステムを擁するチームなのである。
2006年のルマンで、ディーゼルエンジン搭載車として初優勝を遂げた後も、同社は脈々とTDIディーゼルエンジンでの参戦を続けており、今日までに8回の優勝獲得だけでなく、2010年には総走行距離でも新記録を打ち立てた。しかもこの記録は、未だ破られていない。
アウディは、エンジン性能の向上だけでなく、ルマンで勝てるマシンを休む事無く造り続けてきた
アウディはこのTDIエンジンを素材に、今日まで脈々とディーゼルサイクル技術の進化を積み重ねてきた。
実際、今日に至る10年前を遡ると、2006年にAudi R10に搭載された当初のTDIエンジンは、V型12気筒5.5リッターだった。
しかし現在のAudi R18に搭載されているエンジンは、V型6気筒4リッターで、初年度の投入モデルに比べ、燃料消費量が46.3パーセントも減少しているにも関わらず、逆にラップタイムは向上している。
アウディは、この10年間の間、レーシングマシンに搭載するエンジン能力を高めるだけに留まらず、従来型エンジンのままでリヤアクスルを駆動しつつ、フロントアクスルを電力で駆動するハイブリッドシステムを成立させ、さらに最新鋭のエアロダイナミクス性能を追求。
完璧な軽量化、革新的なサスペンション機構、あらゆる部分で実現可能な限りの高効率化、そして先駆者でありつづけるための最先端のライティング技術など、ルマンで勝てるマシンを休む事無く造り続けてきた。
このためアウディにとってのルマン24時間レースは、今日から未来にかけて実現しうる、あらゆる技術を鍛える格好の実験室であり、将来のアウディ カスタマーに提供する技術を生み出す場となっている。
これまでに13回の優勝を獲得してきたアウディに対して、今年、レースレギュレーションによって厳しい条件が課せられたが、それでもAudi R18は、持ち前の優れた燃費性能を武器に、引き続き総合優勝獲得を目指す。
レースを熟知したドライバーラインナップにより、2台のAudi R18がエントリーを果たす
一方、今シーズン、アウディに立ちはだかるライバル達は、第2戦のスパ・フランコルシャン大会で優勝を勝ち取ったルーカス ディ グラッシ / ロイック デュバル / オリバー ジャービス(ブラジル/フランス/イギリス)組の攻略を目指している。
Quotation:MegaEvilsnake
しかし6月5日に行われたルマンの公開テストでは、そのルーカス・ディ・グラッシがベストタイムを記録した。
アウディモータースポーツ代表のDr. ウォルフガング ウルリッヒは、「今年のFIA世界耐久選手権(WEC)に出場している競合チームが、すべて非常に手強い存在であることを、我々は充分に理解しています。
つまり第2戦での優勝や公開テストでの結果から、ルマンでの闘いを楽観的に予測するのは早計だと考えています。しかしそれでも我々は、強力なライバル達に対しベストを尽くし、レースに臨みます」とコメントした。
各々個性的なハイブリッド レーシングカーを擁して、総合優勝獲得を狙うマニュファクチャラーである「アウディ」、「ポルシェ」、「トヨタ」の3チームはすべて、WEC(世界耐久選手権)で充分な経験を積んでいる。
しかし、ルマンのシチュエーションは、シルバーストーン(イギリス)やスパ(ベルギー)とは大きく異なるのも確かだ。
具体的には、全長13.629kmに及ぶコースは、普段は一般公道として使用されており、レース用コースとなるのは公開テストとレース本番の時に限られている。
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そうしたわずかな機会しか与えられていないにも関わらず、ルーカス・ディ・グラッシは、公開テストで平均速度244km/hものラップタイムを記録しており、アウディはルマンを、この非常に空気抵抗の少ないルマン特別仕様のマシンで闘う。
またレースが24時間であることも、通常のWECシリーズと大きく異なるところだ。その過酷な状況を鑑み、レース結果に応じてチームに与えられるポイントも、通常シリーズの2倍とされる。
この“マラソン レース”は、文句なく世界で最も過酷な耐久レースである。
アウディは、2014年のマルセル ファスラー / アンドレ ロッテラー / ブノワ トレルイエ(スイス/ドイツ/フランス)組を含み、これまでに13回もの優勝を獲得し、1923年から続く伝統のレースの、最多優勝獲得記録の第2位にランクインしている。
そして今年のアウディは、ファスラー / ロッテラー / トレルイエ組が7号車、グラッシ / デュバル / ジャービス組が8号車で参戦する。
ルマン24時間レースの模様は、ユーロスポーツを介して世界中に放映される。ユーロスポーツは、現地時刻6月18日の14:15からのレース直前レポート、練習走行、予選、ウォームアップなど、レースを余す所なく伝えていく。
また今年のレース開始を取り仕切る15時の名誉スターターには、映画俳優のブラッド ピットが任命されている。
しかしこれらのメディア向けのプロモーションだけでなく、アウディが独自にSNSを介してレポートを配信するフェイスブック< https://www.facebook.com/AudiSport >並びにツイッター< https://twitter.com/audisport >にも注目して欲しいとアウディで呼び掛けている。
さらに、アウディのウェブサイト< http://www.audi-motorsport.com >では、テレメトリーデータも表示されるオンボード映像を筆頭に多彩な情報を提供していくと云う。