WECバーレーン8時間決勝、トヨタ勢が1・2位独占


FIA世界耐久選手権(WEC)の第4戦・バーレーン8時間(開催地:バーレーン・サヒール、バーレーン・インターナショナル・サーキット、1周5.412km、開催期間:12月11~14日)が開催された。(坂上 賢治)

https://youtu.be/-Ql3oyFig70

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https://youtu.be/L38EbZA4IsE

最終日14日の決勝レースでは、シリーズ最高峰のLMP1クラスに出走するトヨタ・ガズー・レーシング(TOYOTA GAZOO Racing)7号車のTS050ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がトップでチェッカーフラッグを潜る。

2位には同じくトヨタの8号車、TS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組)が続き、結果2019/2020年シーズン第4戦目で開幕戦シルバーストン以来、今季2度目の総合優勝を飾った。

ちなみにこの決勝レースに先立ち、前日の12月13日に実施された公式予選では、今季から最高峰のLMP1クラスに導入された〝サクセス・ハンディキャップ制度〟により、燃料使用量などが大きく制限されて苦しんでいるトヨタ勢を尻目に、同じLMP1クラスをノンハイブリッドのパワーユニット搭載車を駆って挑戦するレベリオン・レーシングの1号車レベリオンR13・ギブソン(ブルーノ・セナ/グスタボ・メネゼス/ノルマン・ナト組)が、またしても今季2度目のポールポジションに立つ。

続く2番手にも、LMP1クラスに於いてノンハイブリッド車でトヨタに対抗するチームLNTの5号車、ジネッタG60-LT-P1・AER(チャーリー・ロバートソン/ベン・ハンリー/ジョーダン・キング)が食い込む活躍を見せた。

対してLMP1クラスに「TS050ハイブリッド」で出走するトヨタ勢の2台は、ランキング首位で第4戦を迎えた8号車が1周あたり最大2.72秒のハンディキャップ調整を課せられ、7号車には1周あたり2.51秒のハンディキャップ調整を強いられる中で善戦を見せたのの、決勝グリッドでは、セカンドラインに過ぎない3・4番手に留まっている。

明けて14日の決勝レースは波乱の展開となった。というのはスタート直後にホールショットを得るべく、果敢な走りを見せたポールポジションスタートのレベリオンR13・ギブソンと、これに追いすがるチームLNTの5号車、ジネッタG60-LT-P1・AERが接触。

3番手を走るトヨタの8号車は、このトップ争いに巻き込まれて車両フロント部にダメージを被ってしまったからだ。

対してこの8号車に続き、第1コーナーに突入したトヨタの7号車は、同混乱から間一髪で逃れてトップに浮上。序盤からトヨタの7号車と8号車は、互いに明暗を分ける展開となった。

この影響によって、ブエミがステアリング握るトヨタの8号車は、初回のピットインでフロントカウル交換のために作業時間を浪費し4番手にポジションダウン。一方の7号車は、快調にラップタイムを刻んでいく。

8号車はようやくの43周目に、ジネッタの6号車とバトルに競り勝ち3番手に浮上する。

その後、スタートを切って2時間30分過ぎの時点で2番手を走り続けていた1号車のレベリオンにマシントラブルが発生。これに伴うピット作業によってトヨタの8号車が浮上し、これでようやくトヨタ勢がワン・ツー体制に入った。

この後、1周あたりのラップタイムでトヨタ勢に迫るノンハイブリッド陣営のジネッタがマシントラブルによって脱落。

対するトヨタの2台は、リスクを避けた淡々とした走りを積み重ね、ロペスがステアリングを握るトヨタ7号車が257周でLMP1クラス優勝並びに総合優勝を獲得。これに1ラップ遅れでLMP1クラス2位のトヨタ8号車が続いた。

さらにLMP1クラスの3位には、ジネッタ6号車を攻略したレベリオンの1号車(254ラップ)が続き、終盤にギアボックストラブルに見舞われたジネッタ6号車(195ラップ)と、ジネッタ6号車の僚友であるジネッタ5号車はリタイヤ(143ラップ)に終わった。

この結果、来年2020年6月に行われる最終戦ル・マン24時間レースに至るWECシリーズ(LMP1クラス)の折り返しとなるバーレーンを、トヨタ勢は勝利で飾ることに成功した。

なお下位のLMP2クラスでは、ユナイテッド・オートスポーツ22号車のオレカ07・ギブソン(フィル・ハンソン/フィリペ・アルバカーキ/ポール・ディ・レスタ組)がポール・トゥ・ウインで嬉しいWEC初優勝。2位は、イオタ38号車のオレカ07・ギブソン、3位にはジャッキー・チェン・DCレーシングが入った。

トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラムの一環としてLMP2クラスにハイクラス・レーシングから参戦している山下健太所属の33号車オレカ07・ギブソンは、レース序盤でクラス2位を走るまで順位を上げたものの、最終的にはクラス8位でバーレーン8時間レースを終えている。

LM-GTE Proクラスは、ポルシェ勢がアクシデントに見舞われる中でストンマーティン・レーシングの95号車アストンマーティン・バンテージAMR(ニッキー・ティーム/マルコ・ソーレンセン組)が今季2勝目を飾る。

LM-GTE Amクラスは、チーム・プロジェクト1から出走の57号車ポルシェ911 RSR(ベン・キーティング/ラリー・テン・ボーデ/イェルーン・ブリークモレン組)がクラス優勝を果たしている。

後半戦となる次戦第5戦は、2年ぶりの開催となる米国サーキット・オブ・ジ・アメリカズで6時間レースとして2月23日に開催。そして続く第6戦は、史上初の米国連戦で、3月20日にセブリングで1000マイルレースが行われる。

以下はトヨタチームのレース後コメントとなる。

村田久武 TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表:
バーレーンで優勝することは大変難しいと思っていたので、今日の1-2勝利は素直に嬉しいです。我々チームは全ての分野で出来る限りの準備をし、TS050 HYBRIDの性能を最大限に引き出すことができました。また今日のレースは最初から接戦で、それが最後まで続くと思っていましたが、ライバル達がトラブルに見舞われてしまったのは少し残念でした。2019年は、2回目のル・マン優勝と世界チャンピオンを獲得した大変良い年で、今日の勝利がそれに花を添えてくれました。TOYOTA GAZOO Racingを支えて頂いているファンの皆様、WECの関係者の方々にこの場を借りて感謝致します。続く2020年がさらに良いものとなりますように、チーム一丸となって努力を続けます。

小林可夢偉(7号車):
勝利で今年最後のレースを締めくくることができて最高です。素晴らしい仕事をしてくれたチームに感謝します。強力なライバルとの厳しいレースになることは分かっていましたが、我々はミス無く、素早いピットストップにも助けられて着実にレースを戦いました。マイクとホセも素晴らしい走りでした。まだシーズンは長いですが、今日の結果は本当に嬉しいですし、この勢いを維持していきたいです。

マイク・コンウェイ(7号車):
1-2フィニッシュというのは最高の結果です。レースを通して可能な限りプッシュを続けましたが、この結果はレースウィーク序盤には予想もできないものでした。素晴らしい仕事をしてくれたチーム、チームメイトの全員のおかげです。今週バーレーンで走り始めたときは苦戦しましたが、チームがTS050 HYBRIDを見事に仕上げてくれました。この最高の勝利により、ドライバーズランキング首位に立てて嬉しいです。

ホセ・マリア・ロペス(7号車):
本当に嬉しい勝利です。この週末、8号車のクルーを含めたチームの全員が素晴らしい仕事をしてくれました。サクセス・ハンディキャップで非常に困難な状況にもかかわらず、1-2フィニッシュを飾ることができたのはチームのおかげです。マイクと可夢偉もいつものように素晴らしかったです。今年最後のレースで勝てたので、今年の素晴らしい結果を祝ってクリスマスと新年を迎えられるのは最高です。

中嶋一貴(8号車):
今日はスタートから我々8号車には運がありませんでした。あのアクシデントで大きく順位を落としたため、その時点で2位が我々の目標となりました。その後は着実にレースを戦い、チームとして1-2フィニッシュを果たせたのは良かったです。我々8号車にとっては最高の結果ではありませんが、チームとして最高の結果を得ることが出来ました。

セバスチャン・ブエミ(8号車):
我々にとってはタフなレースでした。スタート直後、目前で発生したジネッタとレベリオンのアクシデントを避けるためコースアウト、戦列に復帰しようとした時に他車と接触してしまいました。その影響もあり、7号車に挑むことはできませんでした。しかし、チームとしては目標だった1-2フィニッシュを果たすことができたので満足していますし、次戦のオースティンが楽しみです。

ブレンドン・ハートレー(8号車):
思い通りのレースになりませんでした。セブのスタートは不運でした。前車のアクシデントに巻き込まれてどうすることもできず、その後はダメージを負った車両でレースを戦わざるを得ませんでした。7号車を抜くのが難しいことは分かっていましたが、彼らにプレッシャーを与え続けました。7号車はミス無く、ピットも迅速で素晴らしいレースをし、最終的にTOYOTA GAZOO Racingが1-2フィニッシュを果たせたことは素晴らしい結果です。