VW、ラリー・イタリアでラトバラ選手とオジェ選手がダブル表彰台


ラトバラ選手が 2 位、オジェ選手が 3 位フィニッシュ。 マニュファクチャラー・チャンピオンシップのリードを拡大

2016年世界ラリー選手権(WRC)第 6 戦「ラリー・イタリア・サルディニア」が、6 月 9 日~12 日に地中海に浮かぶサルディニア島北西端のリゾート、アルゲロを中心に開催された。

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フォルクスワーゲン・モータースポーツ所属のポロ R WRCを駆るヤリ-マティ ラトバラ選手は、初日はトップ争いに絡みつつ、2 位でフィニッシュ。

「ラリー・イタリア」4 連覇がかかっていたセバスチャン オジェ選手は、ランキングリーダーのために 1 番スタートを強いられ、大きなハンディを負っていたが、大きなミスをすることなく堅実に走って3位で競技を終え、タイトル争いのリードを拡げている。

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一方、アンドレアス ミケルセン選手は、表彰台の可能性がありながらも、土曜日にクラッシュを喫した。

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今大会の舞台は、中世にカタルーニャからの入植者によって、独自の文化が築かれた町アルゲロ

今回のサービスパークが置かれた町アルゲロは、中世にカタルーニャからの入植者によって、独自の文化が築かれた。このため当時の雰囲気を伝える建物と、現代的なヨットハーバーが不思議な対比を見せる。

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さて「ラリー・イタリア」の決戦の舞台は、このアルゲロの東側に広がるグラベル路(非舗装路)となっている。

この環境に於ける最大の難所は、土曜日に 2 度走行するスペシャルステージ(SS:競技区間)「モンテレルノ」にある。

ここはステージ自体が44km 超と、距離が特別長いというだけでなく、40 メートルの高さまで飛び上がる名物ジャンピングスポットが存在する。

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また路面には砂が堆積しているが、その下には固い岩盤に覆われているため、スタート順が早いドライバーは路面の掃除役を強いられる。

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現ポイントリーダーのオジェ選手が、これに当たってしまうが、過去3連勝を記録している得意のイベントである事。さらに彼の妻が出産直前ということもあり、モチベーションを新たにレースに臨んだ。

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さてまず1日目。木曜夕刻のスーパーSS でスタートする「ラリー・イタリア」の総走行距離は 1,290.37km、19 カ所の SS距離は 322.82kmとなる。

また本格的な戦いの火蓋が切って落とされた2日目の金曜日は、9SSの構成だ。フォルクスワーゲン勢は、全クルーが上位スタートのハンディを負いながら、力強いパフォーマンスで上位につけた。

この日だけで、首位が6度も入れ替わる激戦のなか。主役のひとりはラトバラ選手となった。

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彼は、チームメイト達が揃ってソフトタイヤを選択する一方で、唯一ソフトとハードの組み合わせを選択。

これが功を奏して、首位と 11.1 秒差の 2 番手で金曜日を終えた。加えてオジェ選手と、ミケルセン選手もそれぞれ 3 位、4 位につけた。

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続く3日目の「ラリー・イタリア」は、最長距離を走る土曜日を迎えた。この長丁場となる「モンテレルノ」SS には、先に述べた通りで悪名高い「ミッキーズ・ジャンプ」が含まれている。

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前日2位のラトバラ選手は、この日も好調を維持し、首位と16.1 秒差。日曜日のSS距離は全SS距離の10パーセント未満に過ぎないが、最後まで優勝を目指して戦う。

他方、ミケルセン選手は、SS14の右コーナーに全開で侵入していったところ、走行ラインに大きな岩があったため、避けられずにヒット。

右サスペンションに大ダメージを受けたミケルセン選手は、リタイアを余儀なくされた。

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但しラリー2 ルール(未完走の SS をペナルティタイムに換算して、翌日以降の競技継続を認める)により、最終日も出走。VWチームとしては、彼の代わりにオジェ選手が3位に浮上した。

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そして迎えた四日目の最終日曜日は4SSの構成。ラトバラ選手とオジェ選手は、リスクを犯さずに着実にフィニッシュし、ポイントを重ねる戦術を採用してゴールを迎えた。

オジェ選手はこれで、ドライバー部門、フォルクスワーゲン・モータースポーツはマニュファクチャラー部門のリードを、それぞれ拡大することに成功した。

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次回第 7 戦「ラリー・ポーランド」は、6月30日~7月3日、森と湖に囲まれたミコライキを中心に開催される予定だ。

[ラリー終了後のコメント]
フォルクスワーゲン モータースポーツ ディレクター: ヨースト カピート
「またしても選手権のリードを拡大し、タイトル防衛に向けて一歩前進することができました。ラトバラが復活し、スタート順のハンディを考えると、オジェは最高の順位でフィニッシュしてくれました。」

カー#1: セバスチャン オジェ(フランス) 最終結果: 3 位
「ラリー前から、自分にとっての最高位は 3 位だと思っていました。予想どおり、金曜日と土曜日に大きくタイムをロスしました。日曜日は無事にフィニッシュすることだけを考えました。」

カー#2: ヤリ-マティ ラトバラ(フィンランド) 最終結果: 2 位
「マニュファクチャラー部門のリードを拡大できました。優勝できなかったのは残念ですが、このラリーとは相性が良くなかったので、2 位は上出来と言えるでしょう。」

カー#9: アンドレアス ミケルセン(ノルウェー) 最終結果: 13 位
「岩にヒットしたのは不運でしたが、これもラリーの一要素です。日曜日は、今後に向けて、今までとは違うセットアップをテストしました。」

FIA 世界ラリー選手権 第 4 戦ラリー・アルゼンチン最終結果
1. ティエリー ヌーヴィル/ニコラス ジルスル(ヒュンダイ) 3 時間 35 分 25 秒 8
2. ヤリ-マティ ラトバラ/ミーカ アンティラ(フォルクスワーゲン) +24 秒 8
3. セバスチャン オジェ/ジュリアン イングラシア(フォルクスワーゲン) +1 分 37 秒 8

FIA 世界ラリー選手権 マニュファクチャラーズ選手権ランキング(第 6 戦終了時点)
1. フォルクスワーゲン・モータースポーツ 178
2. ヒュンダイ・モータースポーツ 108
3. M-スポーツ 90

FIA 世界ラリー選手権 ドライバーズ選手権ランキング(第 6 戦終了時点)
1. セバスチャン オジェ(フォルクスワーゲン) 132
2. ダニ ソルド(ヒュンダイ) 68
3. アンドレアス ミケルセン(フォルクスワーゲン) 67
6. ヤリ-マティ ラトバラ(フォルクスワーゲン) 56
* 結果はすべて暫定。