独フォルクスワーゲン AG(本社:ドイツ・ニーダーザクセン州ヴォルフスブルク、グループCEO:マティアス・ミューラー、以降VW)は、2015年夏から続いている排出ガス不正問題に関して、米国司法省(司法省)と米国税関(米国税関・国境警備局)との間で和解交渉に伴う会談を続けていると自らの広報ルートを介して発表している。
VWの米国行政当局が目指しているのは、米国内に於けるディーゼル問題に関連して、特定の犯罪捜査と特定の民事罰手続上に於ける和解協定の締結にある。
具体的には、VWが2009年から2015年までの同社クリーン・ディーゼルモデルで、違法ソフトウエアを搭載。
有害物の排出量を実態より減少させる操作を介して試験を通過させ、意図的に米国EPAの排出ガス規制を回避したことを、VWの当時のCEOであるマルティン・ヴィンターコーン自ら声明を発表(9月22日に公表)。
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さらに対象のディーゼル車両全車にあたる48万2,000台を、米国に於いてリコールしたことに端を発する。このため、該当の排出ガス不正車両の販売で刑事訴追されている。
今回の和解交渉の内容は、VWが総額43億ドル(約5千億円)の制裁金を支払い、併せて3年間の独立した監査者制度の設置を含む企業コンプライアンス(法令順守)体制を確立させることなどが盛り込まれている模様。
加えて、米国司法が掲げる罰則内容を基にVW自らが罪状を認める(有罪答弁)代わりに、裁判での事実認定を省略して量刑を決することも含まれている。
米国行政当局の勧告・提示を受けて、VWの取締役会と監査役会は、米国時間の10日ないは11日中に、この和解交渉を合意に向けて進めていく意向であると云う。
ちなみにVWは該当不正問題の関連費用として、2016年9月末までに182億ユーロを引き当てている。
しかし同社は「今回の和解交渉で合意に達した場合、そのコストは現在の引当金を上回る」と認めており、この和解交渉締結により、VW側が米国側に支払う刑事関連費用は200億ドル(2兆円)規模に到達する見込み。
これを踏まえて企業決算に影響について、「2016年12月期決算の具体的な影響は、他の様々な要素に左右されるため、まだ現時点では判断できない」と述べている。
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