日本・ケニア・米国(各々が自国に本社を置く)の宇宙ベンチャー企業の3社が、共同体制を採りつつ、ケニア国内に商用スペースポート(宇宙港)を設けるための覚書を締結。今後は、候補地の選定を皮切りに、政府機関との連携、技術・環境両面からの実現の可能性を模索していく。
より具体的には、ASTRO GATE(アストロゲート/本社:東京都あきる野市、代表取締役社長:大出大輔)、AfriOrbit Ltd.
(フライオービット/本社:ケニア・ナイロビ、CEO:メシャック・キンユア)、Hayes Group International
(ヘイズグループインターナショナル/本社:米ワシントンD.C.、CEO:セリーナ・ヘイズ)の3社は去る5月2日、上記の連携を目的に三社間の覚書(MoU)を締結したことを明らかにした。
ちなみに商用スペースポートは、ロケットや宇宙船の離着陸場を指す。空港が飛行機の離着陸に利用されるように、宇宙港は宇宙への乗り物であるロケットや宇宙船の出発・到着施設として機能する。
*記事冒頭の写真は、左からアストロゲートの大出大輔 代表取締役社長、フライオービットのメシャック・キンユアCEO、ヘイズグループインターナショナルのセリーナ・ヘイズCEO、アストロゲートの原田悠貴CEOの4名
今回の3社の覚書は、アフリカ全体に於ける宇宙関連インフラと、宇宙産業全体の発展を支援することを目的としている。3社はそれぞれの専門知識とリソースを活かしながら、ケニアでのスペースポート構想の実現に向けた連携を強化していく。
今後、各社は以下の分野を中心に、共同で協議・調査を進めていく
▷ ケニア国内におけるスペースポート候補地の特定および評価
▷ 関係省庁・政府機関・規制当局との連携・調整
▷ 技術的・経済的・環境的観点を含む実現可能性の調査
▷ ローンチサービスプロバイダーおよび衛星オペレーターとの連携機会の模索
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覚書を締結した3社からの各々のコメントは以下の通り
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ASTRO GATE株式会社 大出大輔 代表取締役社長
このたび、AfriOrbit社およびHayes Group International社との協業を通じて、ケニアにおけるスペースポート構想に向けた第一歩を踏み出せることを大変光栄に思います。
ケニアはその地理的な優位性により、アフリカにおける宇宙産業の戦略的拠点として大きな可能性を秘めています。このパートナーシップを通じて、持続的で未来志向の成長に貢献してまいります。
ASTRO GATE株式会社 原田悠貴CEO
今回の覚書は、アフリカ、アジア、そしてグローバルな宇宙セクターを協調的に結ぶ意義ある一歩だと捉えています。
ASTRO GATEは、インフラ整備にとどまらず、持続可能かつ包括的な形で地域の人材育成や技術力向上にも注力しています。
この協業を通じて、ケニアおよびその先の地域社会とともに“共創する宇宙産業”を築き上げていきたいと考えています。アフリカの未来、そして世界の宇宙経済の長期的な発展に貢献できることを楽しみにしています。
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AfriOrbit Ltd. (フライオービット)のMeshack Kinyua(メシャック・キンユア)CEO
赤道直下のスペースポートという構想は、長年の間実現されずに眠っていました。
私たちは今、その夢を現実にする大胆な一歩を踏み出そうとしています。ケニア赤道スペースポートは、多くの打上げ機会を求めながらも十分な発射ウィンドウが確保できていなかった宇宙コミュニティにとって大きな希望となるものです。
科学とサファリの融合、それがこのプロジェクトの核です。科学者、地域社会、自然が共存・共創する真のエコシステムをここに築いていきます。ロケットが飛び立つたびに、誰もが自分のアイデンティティを感じられる場所にしたいと思っています。
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Hayes Group International(ヘイズグループインターナショナル)のSelina Hayes (セリーナ・ヘイズ)CEO
人材育成から製造、そして最終的には打上げまで…私たちは文化的遺産と最先端技術を融合させ、次世代の宇宙技術者たちを育むための壮大な旅の基盤を築いています。
ケニア赤道サファリスペースポートは、単なるロケット発射拠点にとどまらず、地域の生態系と宇宙探査の広がりを結びつける象徴的存在です。
私たちは『誰もが宇宙にアクセスできる未来』の実現に取り組んでおり、ケニア、そしてアフリカのすべての人々が星空を見上げ、“自分もそこに届ける”と感じられるような社会を目指します。
*なお3社によると、この覚書は法的拘束力のある契約ではなく、将来的な協業に向けた基本的な枠組みを定めるもの。今後は、より詳細な検討を通じて正式な契約締結を目指していく予定としている。
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会社概要
▷ASTRO GATE株式会社(本社:東京)
スペースポートに関する企画から運用までを一貫して提供する宇宙インフラ企業。日本国内外の官民に向けて包括的なサービスを展開し、世界の宇宙産業の発展に貢献する。
▷AfriOrbit Ltd.(本社:ナイロビ)
アフリカでの宇宙産業の推進を目的としたテクノロジー企業。宇宙技術の研究開発、社会実装、教育・啓発活動を通じて大陸全体の宇宙分野の成長を支援している。
▷Hayes Group International(本社:ワシントンD.C.)
航空宇宙、防衛、インフラ、政府関連分野の戦略立案・政策支援・プロジェクトマネジメントを手掛ける国際コンサルティング企業。世界各地の顧客にサービスを提供する。