マクラーレンホンダ、2017年のF1ハンガリー公式テストに参加。最終日は松下選手も


マクラーレン・ホンダF1チーム(McLaren-Honda Formula One team、本拠地:英国、ウォーキング、以下:マクラーレン・ホンダ)は、8月2日にフォトハンガロリンクで行われたシーズン中で最後となる公式テストに参加した。

出走に参加したドライバーは、ランド・ノリス選手。全長4.381kmのハンガロリンクを舞台に、91周・399kmを走行。ベストラップタイムは、1分17.385秒を記録した。

マクラーレン・ホンダF1チームにとって非常に収穫の多い2日となった。また今日初めて同チームのMCL32のマシンに乗り込んだランド・ノリス選手(チームのテストドライバー兼シミュレータードライバー)にとっても、ポジティブな一日となった。

ノリス選手は、貴重なテスト走行を行いながら、マシンのステアリングホイールの制御やシステム操作に慣れるため、コース上での時間を最大限に活用した。

午前中は、セットアップ変更を何度か行いながらシングルラップを走行し、多くの空力データを収集。その後、セッションが進むにつれて、少し長めの走行に切り替えた。

初日・2日目共に、空力相関作業に加えて、ハンドリング、バランスおよびスタビリティーの評価に焦点を当てた。

マシンのハンドリング特性を理解し、エンジニアと共に仕事をする充実した内容となった午前中のセッションでは、昼食時間までに58周を走行。

その後、ノリス選手がコース上で小さなスピンを喫したことから、チームはマシンをガレージまで牽引し、念のために確認を行い、午後のセッションに備えた。

午後のセッションでは、素早いラップを走行する合間にセットアップの調整を重点的に行い、その後、燃料を多く搭載した状態でロングランを実施した。

結果、ノリス選手は2番手のラップタイムを出し、今日のセッションの大半でそのポジションを維持。最終的に、合計91周を走行した。

セッションを消化後、ランド・ノリス選手は、「私にとっては、とてもエキサイティングな一日でした。今日という日をずいぶん長い間、楽しみにしていました。

本当にいい一日で、我々全員にとって非常に収穫の多い日でした。チームに指示されたテストをすべて実施することができ、すべてがうまく進みました。

最初はマシンに慣れるのに少し苦労したものの、セッションの終わりまでには、十分に適応することができました。

マシンで多くの周回を重ね、その経験を心から楽しむことができました。最後になりましたが、このチャンスを与えてくれたチームに本当に感謝しています。今後も多くのチャンスに恵まれることを願っています」とコメントした。

マクラーレン・ホンダのチームディレクター、エリック・ブーリエ氏は、「McLaren-Hondaとランド・ノリスにとって、非常に実りある、有意義な一日になったことをうれしく思います。

大きな問題もなく周回を重ねるとともに、テストプログラムを順調に進めることができました。

いい結果に終わったブダペストでのグランプリ週末に続いて、2日間のポジティブなテストを実施できたことは、これから夏休みを迎えるチーム全員が士気を高める結果となりました。

今回収集したデータは、次戦のスパやそれ以降のレース用にマシンの開発を進める上で、非常に重要になります。

ランドの落ち着いた走りとプロ意識の高さ、そして彼がもって生まれた速さには感心させられました。

今日初めてMCL32をドライブしたにもかかわらず、すぐにマシンを理解しましたし、エンジニアへのフィードバックも貴重かつ正確でした。

我々のテストドライバーのラインアップの中でも、彼の才能が特別であることは間違いなく、将来有望なスターとなることは疑いようがありません。

最後に、McLaren-Hondaのメンバー全員に対して感謝の意を述べたいと思います。チーム全体にとって困難な状況にあったここ数ヵ月の間、それぞれが揺るぎない決意を持って本当に精力的に仕事をこなしてくれました。

夏休み中は、皆さんが家族や友人とともに、ゆっくりと楽しい時間を過ごされることを願っています。そして夏休み明けには、充電を経てフレッシュな気持ちで仕事に戻り、非常に重要となる今季の後半戦を迎えるにあたって、引き続き進化を遂げる構えです」と述べた。

対してHonda R&Dチーフエンジニアの中村聡氏は、「今日のテスト2日目もHondaはパフォーマンスやドライバビリティーの改善に向けたテストを継続しました。

 

途中、車体側のパーツ交換により多少マシンを止めることもありましたが、それでも今日初めてMCL32をドライブしたランド・ノリス選手と91周を完了することができ、昨日に続き、信頼性とパフォーマンス向上のための貴重なデータを収集できたと思います。

チームはこれから、つかの間のサマーブレイクに入ります。厳しかった前半戦を終え、少しの間だけサーキットから離れてリフレッシュした後に、後半戦に向かうことになります。

充実したハンガリーでのレースとテストを終え、後半戦開始となるスパ・フランコルシャンでいいレースをお見せできるよう、今回収集したデータを十分に解析して望みたいと思います」と語っている。

なお、このハンガリー・ハンガロリンクでの公式最終日には、FIA F2選手権(以下、F2)に参戦する松下信治選手も、ザウバーF1チーム(Sauber F1 Team)のマシン、「ザウバーC36・フェラーリ」をドライブしてテストに参加した。

これは、先に破談となってしまったが、ザウバーへのパワーユニット供給が進められていたことに伴い、かねてより決められていたもので、これに伴い、松下信治選手にテスト参加の機会が与えられたもの。

この日、松下選手はザウバーC36・フェラーリを合計121周走らせ、1分21.998秒のタイムを記録した。

ハイパフォーマンスのF1マシンを走らせ、普段乗っているF2マシンと違う、ワイドな車幅やタイヤ、ダウンフォース、ブレーキング性能などを確かめるなど、F1へのステップアップを目指す松下選手にとっては、有意義な一日を過ごした。

松下信治選手は、「子どものころからの夢だったF1マシンに乗る機会をいただくことができました。

今日は15周ずつ走るロングランを取り組みましたが、フィジカル的には問題ありませんでした。マシンのパワーについても、そこまで違和感なく乗ることができました。

車幅についても同様です。ただモナコみたいなサーキットでは慣れが必要になるかも知れません。グリップ力は考えられないくらい高く、縁石もどんどん使えることが一番驚きました。

ブレーキ力もすごいので、F1マシンなら自分の走りを活かせると感じました。

5周ほど走った際にタイヤがオーバーヒートしてタイムを落としました。これはドライビングの仕方で変わってくるとは思いますが、もっとセーブして走る必要があると思います。

ハイスピードコーナーでのダウンフォースがすごいので、普段のマシンのように限界を気にする必要がなく攻められました。

今日はパフォーマンスラン(軽い燃料でタイムを出す走り)をしませんでしたが、実施していたらあと1秒はタイムを更新できたと思います。今回のテストは本当にいい経験となりました」と話していた。

テストタイム
順位 _ドライバー_マシン_タイム_周回数
1_セバスチャン・ベッテル_Ferrari_1’17.124_40
2_ランド・ノリス_McLaren Honda_1’17.385_91
3_キミ・ライコネン Ferrari_1’17.842_60
4_ロバート・クビサ Renault_1’18.572_142
5_カルロス・サインツ_Toro Rosso_1’18.850_68
66_ダニール・クビアト_Toro Rosso_1’19.116_54
7_ルーカス・アウアー_Force India_1’19.242_49
8_ジョージ・ラッセル_Mercedes_1’19.391_90
9_ニキータ・マゼピン_Force India_1’19.692_48
10_ピエール・ガスリー_Red Bull_1’20.337_107
11_ルカ・ギォット_Williams_1’20.414_161
12_サンティノ・フェルッチ_Haas_1’20.994_116
13_松下信治_Sauber_1’21.998_121