F1ヨーロッパGP予選、ロズベルグ独走でPP獲得。ホンダ陣営14・19番手


FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第8戦ヨーロッパGP(開催地:アゼルバイジャン・バクー市街地コース、バクー・シティ・サーキット<コース全長:6.006km・決勝51周>、開催期間:6月17~19日)の予選セッションが、現地時間6月18日(土曜日)の17時から実施された。

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F1初開催となる今回のヨーロッパGP。開催地のアゼルバイジャン・バクーは、カスピ海を東側に臨む海岸都市である。

その名前の意味する通り、海岸から吹き抜ける風が強い地域で、城がそびえる旧市街地と、高層ビルが立ち並ぶビジネス街を結ぶストリートコースであるため、コース全長に於いて全幅が大きく変動する。

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さらに時速340kmに達する2.1kmにも及ぶロングストレートを持っていることからコース全体の攻略策が難しい。

制動装置や、タイヤへの負担は高くないコース環境ではあるが、先の通り、風の影響を受け易く、路面のグリップ環境が変化し易い。

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迎えた予選日。天候はフリープラクティス時から続く晴れ模様。気温27度・湿度57%・路面温度40度のドライコンディション下で行われたQ1では、ニコ・ロズベルグ(メルセデス)と、フリープラクティスで好調ぶりをアピールしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が1・2で走り始め、これをダニエル・リカルド(レッドブル)、バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)が追う展開となった。

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出走マシン全車がコース攻略に難航し、レコードラインから大きく外れてしまう車両も続出するなか、シリーズ中盤に向けて、ジェンソン・バトン(マクラーレン)もターン15でタイヤをロックアップさせフラットスポットを作ってしまい、タイム計測に手間取る。

結果、リオ・ハリアント(マノー)、パスカル・ウェーレイン(マノー)、ジェンソン・バトン(マクラーレン)、マーカス・エリクソン(ザウバー)、ケビン・マグヌセン(ルノー)、ジョリオン・パーマー(ルノー)はQ1敗退となった。

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続くQ2でも、ロズベルグは好タイムを維持し続ける。これにセルジオ・ペレス(フォース・インディア)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)、キミ・ライコネン(フェラーリ)が続いた。

一方、Q1でニコ・ロズベルグ(メルセデス)に続いていたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、先と打って変わって当初低迷するが、Q2セッション終了直前に2番手を獲得して辛くもQ3進出を果たした。

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結果Q2は、ロマン・グロージャン(ハース)、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)、エステバン・グティエレス(ハース)、フェリペ・ナッサー(ザウバー)が敗退。

Q3進出は、ロズベルグ(メルセデス)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、ダニエル・リカルド(レッドブル)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)、キミ・ライコネン(フェラーリ)、ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)となった。

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Q3の開始当初は、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)が首位でコントロールラインを通過。これにセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、キミ・ライコネン(フェラーリ)、ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、ダニエル・リカルド(レッドブル)が続く。

Q2まで首位を獲ってきたニコ・ロズベルグ(メルセデス)は、終盤、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)を上回るタイムを記録。ここまでニコ・ロズベルグ(メルセデス)に続いていたルイス・ハミルトン(メルセデス)は、ターン11で左フロントタイヤをヒットさせてしまいクオリファイを赤旗中断させてしまう。

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わずかな中断を経て、残り2分となってしまった最終にセッションでは、Q3進出各車が一気にコースインして果敢なタイムアタックを実行する。

しかしライバル達を大きく退け、1分42秒758と独走状縦のタイムを刻んでいたニコ・ロズベルグ(メルセデス)と、1分43秒515を記録したセルジオ・ペレス(フォース・インディア)は、各車のタイムアタックにもかかわらず再開前のポジションをそのまま維持。

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3番手は2番手にわずかに届かずダニエル・リカルド(レッドブル)。4番手もそれに接近したタイムを刻んだセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)。

5番手、キミ・ライコネン(フェラーリ)で、6番手フェリペ・マッサ(ウイリアムズ)、7番手ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、8番手バルテリ・ボッタス(ウイリアムズ)、9番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、10番手ルイス・ハミルトン(メルセデス)という結果になった。

なおセルジオ・ペレス(フォース・インディア)は前日のフリープラクティス時に於いて、ギアボックス交換を行ったことから決勝時には5グリッド降格となる。

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予選首位・ニコ・ロズベルグ
「今日の予選セッションは激戦になった。Q3開始早々、ルイスが僕の前でエスケープゾーンに飛び込んだ。

それで、僕も一旦スピードダウンしてタイムアタックを中断した。ルイスがマシンを止めたことからポールポジション獲得は可能だと考えていたが、Q3のタイムアタックは最後の1回だけしかなく、そのチャンスに賭けた。

それをうまくまとめることができて良かった。グリッドの先頭からレーススタートできる気分は最高だ。決勝を首位でゴールすめための大きなチャンスを掴んだことになるからね。

コース自体の攻略は難しく、オーバーテイクが容易なレイアウトだからミスは許されない決勝になるだろう。

また不運にも10番手スタートになったルイスは、後方からスタートして2位を獲得した実績を持っているから、エキサイティングなレースになるはずだ」

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予選2番手・セルジオ・ペレス
「僕のF1キャリアの中でも、今回のQ3はすべてのコーナーを攻め切って最高の走りができたと思う。チームからも最高のバックアップを得た。

しかし今回は、自身に怒りも感じている。土曜フリー走行の最後に起こったアクシデントのせいでギアボックス交換を強いられ、グリッド降格のペナルティを科された事がその原因だ。

本来は、フロントローからスタートできるはずだったのが7番手にまで下がってしまう。今夜は、頭をクリアにするよう努力して、このフラストレーションを忘れ、レースで前進することだけに集中する必要がある。

ただ先の通りで、予選までにマシンを修理してくれたチームには心から「ありがとう」を云いたい。

明日は、彼らがお祝いできるような特別なリザルトを届けられることを願っている。このコースは、難攻不落でミスも起き易いから楽なレースではないが、逆に考えると、その分チャンスも山積している」

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予選3番手・ダニエル・リカルド
「ペレスのペナルティで2番グリッドを譲ってもらったから、明日のチャンスを活かしたい。

今シーズン3回目のフロントローは嬉しいことだ。強力にバックアップしてくれたチームにはとても感謝している。彼らのサポートでクオリファイでクリーンなラップを走ることもできた。

今日のセッションは最初のラップは膨らんでしまうなどのミスがあり、クリーンな走行環境がどうしても必要だった。そこでいい走りができてほっとした。

僕らは昨日、沢山の事を学んだおかげでいい1日を過ごせた。明日のレースはエキサイティングで興味深いものになるだろう。

今日のGP2レースのようにまずは生き残り、賢く機会を選び、スリップストリームを使ってより賢く走れば、今季のベストレースにつながるだろう。

また僕らのマシンはメルセデスよりスタートで優位性がある。スタートが上手く行ったら、ベストコースラインを通りステディな走りをしていくつもりだ」

以下は、マクラーレン・ホンダ陣営の予選終了後のコメントとなる

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フェルナンド・アロンソ
MP4-31-04
FP3 11番手 1分46.131秒(トップとの差 +1.779秒) 16周
予選
Q1 15番手 1分45.525秒(オプションタイヤ)
Q2 14番手 1分45.270秒(オプションタイヤ)
「今日の予選は難しい問題が山積していた。特に立ち上がりのQ1は非常にストレスの溜まるセッションとなった。

アクシデントやイエローフラッグによる中断が多発し、トラフィックに何度も引っかかったため、クリーンな状態のラップを走行するのは容易ではなかった。

また今日はライバルチームがエンジン性能を向上させたため、我々にはQ3に進出するほどのアドバンテージが得られなかった。

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但しチームのポテンシャルにはまだ伸びしろがあり、今回は自分たちのポテンシャルを最大限に引き出すことができなかった要素もあった。実際、14番手ポジションよりも少し上の位置を狙うことができたと思う。

Q2の最後の走行では、3コーナーでイエローフラッグが約15秒間出され、それによって私はDRSを作動することができず、ラップタイムを0.2秒ロスした。

また、我々はすべてのことをうまく進めることができなかったように思う。コース上でトラフィックに引っかかり、複数のマシンに囲まれてペースから外れてしまったことが不運だった。

決勝に於ける14番手というポジションは、決して理想的の立ち位置ではないものの、今日の予選ではアクシデントが多発し、何台ものマシンがコースオフした。

それを考えると、明日のレースでもまだあらゆる可能性が残されていると思う。

セーフティーカーやアクシデントが発生すれば、我々がポイント圏内に繰り上がる可能性はある。それを目標にしていく。チャンスが到来した際に、それをつかめるよう集中して臨む」

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ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP3 8番手 1分45.954秒(トップとの差 +1.602秒) 17周
予選
Q1 19番手 1分44.804秒(オプションタイヤ)
「Q1では、15コーナーでタイヤをロックアップさせてしまった。予選前には毎回新しいブレーキを装着するのだが、今日は少しブレーキ力が強かったようだ。

今週末はこれまで7番手から8番手につけていたから、今日はとても残念だ。我々のマシンが、今日のコースでどれだけの強みを持つかは、まだ分析できていないものの、19番手ではないはず。

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また今回のクオリファイでは、タイヤにフラットスポットができた後、マシンを前後に回転させるためにドーナツスピンをしたが、それはこのタイヤにとってはベストな対処方法ではなかった。

本来はピットインして新品のタイヤに履き替えてから、Q1の残りのセッションに臨むべきだった。

Q2進出に向けてもう少し余裕があると思っていたが、実際はそうではなかった。明日はこの結果を活かしつつ本来のレースとドライビングを愉しみ、ベストを目指す」

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エリック・ブーリエ|McLaren-Honda Racing Director
「明日バクーで開催される初のヨーロッパGPに向けて、14番手および19番手という予選結果に終わったことは非常に残念です。

午後に行われた1時間の予選セッションが重要になることは分かっていました。特にQ1はコース上にいるマシンの台数が最も多いので、それはなおさらのことです。

残念ながら、ジェンソンはクリアラップを走行することができず、15コーナーではタイヤがロックアップしました。

その後、トラフィックに引っかかり、イエローフラッグが出されたことによって、最後のアタックラップでは、少し摩耗したスーパーソフトタイヤから最大限のパフォーマンスを引き出すことができませんでした。

一方、フェルナンドはQ2に進出したものの、彼も真の実力に見合ったラップタイムを叩き出すことができませんでした。イエローフラッグが何度も出される中、トラフィックに引っかからずにラップを走行しようとする、難しいセッションでした。

ただ幸いにも、明日のレースは予測不能かつエキサイティングな内容となることが予想されており、どんなことも起こりえます。

今夜はホテルに戻って、自分たちの傷を癒しますが、明日はどんなチャンスもものにできるよう懸命にプッシュします。まだ終わったわけではありません」

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長谷川 祐介|本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「バクーサーキットの長いストレートはパワー影響が大きく苦戦を予想していましたが、本日の予選はやはり非常に厳しい結果となりました。

マシンのパフォーマンスはプラクティスでうまくセッティングがまとまって中団で戦えるレベルであったと思いますが、バトン選手とアロンソ選手はトラフィックやイエローフラッグの影響により、クリーンなアタックラップをうまくまとめる事ができず、ともにQ3に進むことができませんでした。

午前中のGP2レースの結果を見て分かる通り、このサーキットはアクシデントも多く、レースマネージメントをうまく行うことでポイントを獲得するチャンスもあると思いますので、明日の決勝に向けてチームと戦略を固めたいと思います」

ヨーロッパGP 2016 予選結果
順位_ドライバー・No/チーム/タイム/最終クオリファイ
1_ニコ・ロズベルグ・6
/メルセデス/1’42.758/Q3
2_セルジオ・ペレス ・11
/フォース・インディア/1’43.515/Q3
3_ダニエル・リカルド・3
/レッドブル/1’43.966/Q3
4_セバスチャン・ベッテル・5
/フェラーリ/1’43.966/Q3
5_キミ・ライコネン ・7
/フェラーリ/1’44.269/Q3
6_フェリペ・マッサ ・19
/ウィリアムズ/1’44.483/Q3
7_ダニール・クビアト・26
/トロ・ロッソ/1’44.717/Q3
8_バルテリ・ボッタス・77
/ウィリアムズ/1’45.246/Q3
9_マックス・フェルスタッペン・33
/レッドブル/1’45.570/Q3
10_ルイス・ハミルトン・44
/メルセデス/2’01.954/Q3
11_ロマン・グロージャン・8
/ハース/1’44.755/Q2
12_ニコ・ヒュルケンベルグ・27
/フォース・インディア/1’44.824/Q2
13_カルロス・サインツ・55
/トロ・ロッソ/1’45.000/Q2
14_フェルナンド・アロンソ・14
/マクラーレン/1’45.270/Q2
15_エステバン・グティエレス・21
/ハース/1’45.349/Q2
16_フェリペ・ナッサー・12
/ザウバー/1’46.048/Q2
17_リオ・ハリアント・88
/マノー/1’45.665/Q1
18_パスカル・ウェーレイン・94
/マノー/1’45.750/Q1
19_ジェンソン・バトン・22
/マクラーレン/1’45.804/Q1
20_マーカス・エリクソン・9
/ザウバー/1’46.231/Q1
21_ケビン・マグヌッセン・20
/ルノー/1’46.348/Q1
22_ジョリオン・パーマー・30
/ルノー/1’46.394/Q1