ABボルボ、自動運転EV「ヴェラ」での港湾内輸送を目指す


スウェーデンに本拠を置くABボルボ(本社:ヴェストラ・イェータランド県イェーテボリ、CEO:マーティン・ルンドステッド)は現地時間の6月13日、傘下のボルボトラックで開発を進める自動運転EVの「ヴェラ(Vera)」を、海運会社のDFDSと共に地元イェーテボリ港内の物流輸送に投入する計画を打ち出した。(坂上 賢治)

このヴェラは運転席を持たず自動運転機能を有する電動輸送車。実運用では、殆ど車台部分のみで構成されているかのようなフォルムを持ち、船積み用のコンテナを積んでDFDSの物流センターから、APM(APM Terminals)が運営する港湾のコンテナターミナル迄の短距離を時速24マイル(速度換算で約39キロメートル)を行き来してコンテナを運び出す。

輸送時の往復は完全自動運転となるが、その運行管理については、港湾地域のコントロールタワーに設けられたオペレータによって監督されての実運行となる見込みだ。

この計画について、ボルボトラック・自律ソリューション担当副社長のミカエル・カールソン氏は「今回のDFDSとの共同作業は、公道上の輸送手段としてヴェラを導入する最も最初のステップとなるものです。

我々は今、自律輸送ソリューションの開発で世界を大きくリードしていますが、今後も引き続き自律的な交通システム開発の最前線に立っていたいと思っています。

今回公表したコンセプト映像では、輸送業界の未来を当社がどのように形作るかについての具体的な回答が示されています。その目的は、より高い輸送効率と柔軟な事業対応力を持続可能な形で実現することです」と語った。

一方、DFDSの最高経営責任者(CEO)であるトルベン・カールセン氏は「騒音レベルが低く、排出ガスがゼロであるヴェラを用いた自律輸送は、未来の物流の世界で重要な役割を果たし、社会へも、またビジネス面でも我々に大きな利益をもたらすものと捉えています。

我々は今後、さらにテクノロジー、運用管理ノウハウ、及びインフラストラクチャの基礎技術をさらに押し上げていき、今日の輸送ソリューションを完全に補完するものとして、より安全かつ完成された自律型輸送ソリューションの姿を目指していきます。

ボルボとDFDSは、今回の取り組みを将来に向けた重要な出発点と考えており、同分野の進化をさらに推進させていきたい考えです。実際、テスト運用は既に開始されていることから、今後数年以内にソリューションの完成を達成させていく予定です」と話している。

ちなみにABボルボ傘下のボルボトラックで、ヴェラの設計が本格化されたのは2017年春。イェーテボリのデザインスタジオでの活動開始が皮切りだ。

車両は、港や工場地帯など大量の物資を精緻な事業計画に沿って納入するために生み出された。この考え方には、ボルボが単なるトラック車両の製造・提供者になるという既存のビジネスモデルを超えて、あるハブから別のハブへ物資を運ぶ輸送サービスの提供者になることを意味している。

なお海運企業のDFDSはコペンハーゲンに本社を置き、ナスダックコペンハーゲンに上場。欧州からトルコに至る地域でフェリーと輸送サービスを提供。年間売上高は170億デンマーククローネに達している。配する従業員数8000人。延べ20カ国に跨がって船舶業務並びにオフィス部門で勤務している。

また港湾サービス並びにコンテナターミナルをマネジメントするAPM Terminalsは、全世界で約70000人の従業員を配して76港・130ヵ国で事業運営中。最後に同プロジェクトは、スウェーデン運輸管理局及びスウェーデンエネルギーエージェンシーの支援を受けて実施される見込みとなっている。

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