北欧のエインライド、5G通信の自動運転EVで配送実証開始へ


北欧の自動運転車ベンチャーのエインライド(Einride、本社:スウェーデン・ストックホルム、CEO:ロバート・ファルック)は、スウェーデンの通信機器メーカーのエリクソン(Ericsson)と共に当地時間の11月7日、ストックホルム郊外ソルナに本拠を構える電話・通信サービス事業者のテリア(Telia)らと協業して5G通信網を介し、電動自動運転トラック「T-Pod」を使った配送実証をいよいよ開始すると発表した。( 坂上 賢治 )

輸送業界に於いて、エリクソン製5G通信ユニット搭載の商用貨物利用では世界初の試みとなる。

前出の3社は、ドイツ鉄道傘下の物流会社「DBシェンカー」がイェンチェピングに構える物流拠点で実証を開始。エヌビディアのドライブ・プラットフォームを搭載したT-Podを利用し、同施設で継続的に無人運転車による運用を行う。

この取り組みについてエインライドの創業者で最高経営責任者(CEO)のロバート・ファルック(Robert Falck)氏は、「私たちに課せられたミッションは、輸送業界を持続可能な自動運転システムが主導する世界へと導くことにあります。

そのためT-Podに5G通信網を組み込むことは必須条件であり、これによって公道上で、個々車両のドライバー乗車を不要とする安全性の高いT-Podを本格導入する契機を醸成し、その結果、現代の交通社会に於いて深刻なCO2排出量を90%削減するだけでなく、窒素酸化物(NOx)の排出量をも併せて削減することが可能となります」と話す。

対してDBシェンカー(DB Schenker)の最高執行責任者(COO)であるエワルドカイザー(Ewald Kaiser)氏は、「この実証プロジェクトは、運用上で安全かつ費用効果が高いだけでなく、極めてスマートで持続可能な輸送システムへと向かうだめのマイルストーンとなるものです。

公道に於ける自律型の電気トラックの利用は、もはや夢物語ではなく現実のものとなったのです。当社は、エインライドとのパートナーシップに加え、エリクソンとテリアの信頼性の高い通信技術を背景に時代の最前線に立っているのです」と述べた。

現行のT-Podの仕様は全長約7m、全高3.8m、車体下部には300キロワットのバッテリーが搭載されており、およそ200キロメール枠の走行範囲であれば輸送対応できるとされている。最大積載時の車重が20トン。内部はおよそパレット15枚分と10~15トン積載のミドルクラス車に準じたものとなっている。
現行のT-Podの仕様は全長約7m、全高3.8m、車体下部には300キロワットのバッテリーが搭載されており、およそ200キロメール枠の走行範囲であれば輸送対応できるとされている。最大積載時の車重が20トン。内部はおよそパレット15枚分と10~15トン積載のミドルクラス車に準じたものとなっている。

一方、テリアの最高技術責任者(CTO)のマット・ルンドバック(Mats Lundbäck)氏は、「5Gは未来に向けて、持続可能な事業構築のチャンスを切り拓き、新たな顧客価値をも創造する大変エキサイティングな最先端技術です。

我々はパートナー企業と共に、お客様に対してかつて存在し得なかった優れたエコシステム構築を実現できるでしょう」と語っている。

さらにエリクソンのビジネスエリアテクノロジー&新事業部門を担う上級副社長のアサ タムソンズ(Åsa Tamsons)氏は、「今日、輸送業界では大きなパラダイムシフトの波が押し寄せています。

そうしたなか、極めて高速かつ安定的なデータ転送と超低遅延を備えている5Gは、企業経営を次世代レベルに引き上げるための強力な牽引力を持っています。

加えてエインライドの全く新しい輸送ソリューションの形は、5Gが事業効率をどのように向上させ、併せて安全性も向上させ、引いてはそれがどのような持続可能な未来を創り出すかを指し示す好例となるでしょう。

先の通りで5Gの大容伝送量や低遅延特性は、未来の輸送業界の基盤となるものです。5Gを搭載したエインライドのT-Podが創り出す自律輸送システムは、今日の輸送業界に於いて60%以上をコスト競争力のある持続可能な代替ソリューションに置き換えてしまう可能性があります。

また5Gは、通信事業者が産業のデジタル化から生じる新しい収益源を生み出す機会をも提供します。当社では、デジタル事業者に関わる報告書で5Gの可能性について、2026年までに6190億米ドルの収益機会を提供できると想定しています」と結んでいる。