スウェーデン、シェブデにあるボルボ・グループのエンジン工場は6月24日(スウェーデン・ヨーテボリ発)、EUイノベーション基金から最大4,900万ユーロの助成金を受け、CarbonSmart Factoryプロジェクト「SPACE」に取り組む。
これは、ネットゼロ・イノベーションとクリーンテクノロジーを通じて、ボルボの変革を推進していくことを視野にするもの。
この取り組みについてシェブデ工場のパワートレイン生産担当副社長、リカード・ルンドバーグ氏は、「主要工程の電動化とAI技術の統合により、持続可能な鋳造工場運営への移行を進め、製造工程におけるCO₂排出量を88%削減します。
このプロジェクトは、ボルボ・グループのネットゼロ排出量達成に向けた重要な一歩です」と述べた。
より具体的には、シェブデ工場に於ける製造プロセスからのCO₂排出量の大幅な削減を目指す野心的な取り組みを指すもの。EUの支援を受け、この工場は、脱炭素化を推進する重工業の先駆的な事例となる。
その変革の中心となるのは、以下項目に係るグリーン テクノロジー推進を目指す統合事業となる。
・グリーン電力で稼働する電気炉
・化石燃料に代わるプロパン代替燃料として水素
・エネルギーを回収して再利用する高度な熱回収システム
・最先端のAIを活用したエネルギー管理により、業務全体のエネルギー使用を最適化
このプロジェクトでは、エネルギー貯蔵のための3つの革新的なソリューションも導入され、工場のエネルギー使用と生産のバランスをとることができるようになる。
1.鉄バッテリー: 既存の炉を使用して、需要の高い時間に備えてエネルギーを蓄える。
2.水素バッテリー: グリーン水素を使用し、季節に応じてエネルギーを貯蔵する可能性を追加する。
3.水バッテリー: お湯を再利用して、加熱および溶解プロセスに必要なエネルギーを削減する。
これらのシステムを組み合わせることで、工場はエネルギーの使用と生産のバランスをとることができ、その結果、運用の柔軟性が向上すると共に、多くの大規模電化プロジェクトが直面する送電網容量の制限に対処できるようになる。
上記を目的にシェブデ発電所は、欧州委員会イノベーション基金から条件付きで最大4,900万ユーロの助成金を受けた。また同プロジェクトの始動に先立ち、ヴィノヴァ(スウェーデンのイノベーション・システムに関する政府機関)を通じてアドバンスト・デジタル化の資金提供も受け、シェブデ・エナジーおよびAIスウェーデンとの共同体制による事前調査も行われた。