楽天、朝日火災海上保険に対する公開買付けを開始


楽天が朝日火災海上保険の全株式を取得した場合、そのTOB額は449億円に達する見込み

楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史)は、平成30年1月29日付の取締役会に於いて朝日火災海上保険株式会社の普通株式及び甲種優先株式を公開買付けにより取得することを決議した。

この公開買付者は、同社の損害保険業への参入のため、平成30年1月29日付の取締役会で、対象者の発行済普通株式及び発行済甲種優先株式の全てを取得。朝日火災海上保険を完全子会社する一環として、公開買付けを実施するもの。

公開買付けに於いて買付け等を行う株券等の数に上限は設定しておらず、公開買付けに応じて売付け等がなされた株券の総数が買付予定数の下限(完全希薄化後株式数12,705,100株)以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとしている。

なお、買付予定数の下限である12,705,100株は、発表段階に於ける親会社の野村ホールディングス株式会社の所有株式数の割合を示唆している。

公開買付価格は平成30年1月22日に野村ホールディングスとの協議・交渉を経て合意により決定した普通株式1株当たりの本公開買付価格を2,664円。甲種優先株式1株当たりの公開買付価格を10,656円とする方向で進めていく。

この買付価格の決定では、第三者算定機関のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に買付価格の決定の参考とするために対象者株式の価値の算定を依頼し、平成30年1月24日に、対象者株式の価値の算定結果に関する株式価値算定書を取得したことが実施基準となっている。

楽天は「グローバル・イノベーション・カンパニー」をビジョンとして掲げ、世界中に存在する12億人を超える会員と提供するサービスから得られるビッグデータを基盤として、Eコマース、旅行予約サイト、クレジットカード、銀行、証券、保険、決済サービス、電子マネー、格安スマホサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)事業、メッセージングアプリ(スマートフォン上でメッセージ・画像の送受信や通話ができるアプリ)、プロスポーツといった多岐に亘る分野で70を超えるサービスを提供。

とりわけ日本国内においては、楽天ID数は約1億にのぼり、「楽天スーパーポイント」の累計発行額は1兆円を超えるなど、オンラインからオフラインに至るまで、公開買付者グループは他に類を見ない強固な経済圏を構築するに至っている。

しかし一方でこれらのインターネットを通じた多種多様な事業は、例えばトラベル事業の場合旅行中の怪我又は病気など、それぞれ固有のリスクを伴っており、こうした付随的なリスクまで引き受けることができれば、自社会員を筆頭に事業拡大の一助になると考え、実際に平成29年1月頃から損害保険業参入を検討してきた。

楽天では公開買付け実施後、朝日火災海上保険が培ってきた企業風土や独自の文化を生かしながら協業を深め、楽天市場の会員・加盟店に対する対象者の保険商品の販売、楽天生命保険株式会社、楽天インシュアランスプランニング株式会社及び株式会社楽天アンセルインシュアランスを通じた保険商品の販売を目指して行く構えだ。