米国カリフォルニア州サンノゼのローカルニュース紙「マーキュリーニュース」は、高価格EV・テスラの車両製造は、低賃金の外国人労働者によって支えられているとの記事を5月16日の同紙に掲載した。
事の発端は、テスラ社工場の拡張工事で働くスロベニア人男性が、高さ9メートルの高所から落下して労働災害に遭い、人材派遣会社から帰国を求められたことにある。
これに対して同氏は、弁護士を介して労災の損害賠償を求め、人材派遣会社並びにテスラ社に訴えを起こした。
テスラ社では、自社生産工場に於ける6000人の労働力を確保するため、社外の人材派遣会社や協力会社を利用しており、今回、同社工場で従事する労働者の一部には、活動条件に制限のあるB-1/B-2ビザを取得して働く者も存在していると記されている。
ちなみに、このB-1/B-2ビザは、商用・旅行または治療等を目的とする米国短期入国者のためのものであり、原則的には米国内で就業すること、並び個人的に収入を得ることは禁じられているタイプのビザではあるが、肉体労働を行わない特殊な技術者を対象に、短期間就労で取り扱われる場合がある。
こうしたビザを取得する彼らがテスラ社並びに協力会社・人材派遣会社と、どうような取り決めを実施し、肉体労働を伴う就労に至ったかの真実は、現時点では明確ではないが、彼ら末端の労働者が受け取る賃金は、同国内に於いて、規格外賃金に該当する時給5ドルと報じられている。
一方、テスラ社は、同地域・今事例の対象人材に対する平均賃金52ドル/時を上回る55ドルを支払っていたと主張し、両者の主張は大きくかけ離れている。
またテスラ社は公式に5月16日、マーキュリーニュースの記事が公正な見地に立ったものでなく、真実が報道されていないと反論している。
テスラ社では、外国人労働者を雇用したのはテスラではないことから、事故の責任を負うのは工場拡張工事を請け負った外部協力会社のひとつである建設事業社にあるとしており、さらに該当の建設事業社は、その原因を造ったのは、外国人労働者を雇用した人材派遣会社にあると述べている。
また併せてテスラ社では、「自社拠点配下で行われる低賃金労働は決して認められない。当社は、米国の自動車業界で最も高い賃金を支払う雇用者であり、これについては真実を究明していく」とも述べている。
マーキュリーニュース関連記事(英文):
http://www.mercurynews.com/business/ci_29909810/musk-we-paid-55-an-hour-factory-workers
http://www.mercurynews.com/business/ci_29892463/hidden-workforce-expanding-teslas-fremont-factory?source=pkg
TESLA : https://www.teslamotors.com/jp/blog/response-mercury-news-article-hidden-workforce-expanding-teslas-factory