1月7日を迎えたダカールラリーは、ボリビアへ入国してフフイ~ウユニ間で327㎞の競技を行う。
具体的には、まずアルゼンチン北部のフフイから281㎞のリエゾン(移動区間)で国境を越えてボリビアへ。そこから平均標高4000mに及ぶ高地でのSS(競技区間)という内容だ。
路面は、丘陵を縫って走る荒地のピスト(未舗装路)からワジ(枯れ川)、峠越えなど大きく変化。雷雨の影響もあって、水たまりや濡れて滑りやすい路面も多い。
また後半の峠越えでは、今大会最高の4700m地点を通過する。なおコースはビバークエリアでの整備が禁止されるマラソンステージとして設定されている。
このアルゼンチンからボリビアに入るフフイ〜ウユニ間641km(SS距離327km)で、セバスチャン・ローブ選手(プジョー2008DKR16)は、ステージ中盤までカルロス・サインツ選手(プジョー2008DKR16)に対して、1分39秒も速いタイムを叩き出した。
ただ後半に至る過程で、ローブ選手が分岐点をミスコースしてタイムロスしたこと。加えてサインツ選手自身もローブ選手を果敢に追い上げたことから、結果、サインツ選手が22秒差でステージ2位。総合順位で3番手につけた。
また前日の総合2位から、ローブ選手を追い続けたステファン・ペテランセル選手(プジョー2008DKR16)は、ステージの大半をナッサー・アル-アティヤー選手(ミニ・オール4レーシング)に続く4番手を走っていたことから大きくタイムロス。
ローブ選手と3分差の3位・総合2番手で終えた。結果、3度目のステージ首位を獲得したローブ選手は、2位との差を7分48秒まで広げた。
対してBMW MINIで出走するアル-アティヤー選手(ミニ・オール4レーシング)は、最終的にペテランセル選手に抜かれて総合4位に順位を下げている。
これに総合5位で続いたのはリーロイ・ポルター選手(トヨタ・ハイラックス)、ジニール・ドゥビィリエ選手(トヨタ・ハイラックス)、ミッコ・ヒルボネン選手(ミニ・オール4レーシング)という流れになった。
一方、四輪市販車部門で3連覇を狙うチームランドクルーザー・トヨタオートボデーのニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組は、フフイで整備を受けられないことから慎重な走りを続けた。
結果、市販車クラス2位につけているP・シレヨル組(トヨタ・ランドクルーザー200)に10分38秒の差をつけ、総合32位/市販車クラス首位をキープした。チームメイトの三浦昂/ローラン・リシトロイシター組は、総合47位/市販車クラス4位となっている。
トラック部門の日野チーム・スガワラは、菅原照仁/杉浦博之組が、トラック部門総合17位/排気量10リットル未満クラス1位、菅原義正/高橋貢組が、総合38位/クラス3位となった。
ちなみにSS終了後33㎞のリエゾンで到着したウユニのビバークは軍の駐屯地だ。標高が3500mもあるため昼間は日差しは強いが風は冷たい。夕暮れとともに強い風と小雨が降り始め、気温が大きく低下。車両の整備を続けるメカニックにとっては、厳しい環境での作業となった。
最後に2輪部門だが、この日はペースを抑えてタイヤを温存したKTMチームがスパートを掛け、トビー・プライス選手がステージ1位。
ステファン・ソヴィッツコ選手が2位、マティアス・ウォークナー選手が3位と、トップ3をKTMチームが占めた。
一方、Team HRCから出走しているホアン・バレダ選手はトップと5分57秒差で4位となった。ここまでの総合順位は、ゴンサルヴェス選手が首位、バレダ選手は4位。5位までのタイム差が3分以内という接近戦となっている。
8日のディ6、ペテランセルがローブをわずか27秒差で逆転
続く8日、デイ6のコースはボリビアのウユニ塩原を周回する722km(SS距離542km)。
2輪、4輪部門は、約1万平方㎞の面積を有する広大なウユニ塩湖を反時計周りに一周する。対してトラック部門は、途中で分かれ、ウユニの西にあるポオポ湖を目指す295㎞のSS(競技区間)と300㎞のリエゾン(移動区間)が設定された。
いずれも路面は丘陵を行く広いピストで、ところどころ道の悪いところもあり、かつ標高3700m~3900mの高地が再び戦いの舞台となった。
しかもこの日の走行距離は今大会最長で、標高も3,700~3,900mにおよぶことから酸素吸入を携えながらの挑戦する厳しい環境のステージである。路面環境も砂から岩と連続的に変化していき、選手たちは高い集中力をキープし続けなければならない。
トップグループでは、ここまで7分48秒の貯金をしていたローブ選手が、ステージ中に2度のパンクを喫した上にスロットルトラブルが発生。
スロットルが全開のまま80km近くを走行しなければならなったことから、ペテランセル選手が、ローブ選手に8分以上の差をつけてステージ首位に。これでわずか27秒差ではあるが、トップポジションが逆転した。
首位となったペテランセル選手は、ステージ中、総合3位となったサインツ選手とデットヒートを繰り広げてステージ勝利を獲得した。
これでプジョー勢が総合1番手~3番手を独占。しかもプジョー陣営は、総合4番手のMINIに乗るナッサー・アル-アティヤー選手に10分近いリードを保ってのトップ3台となった。
総合5位はジニール・ドゥビリエ選手(トヨタ・ハイラックス)、総合6番手は、ミッコ・ヒルボネン選手(ミニ・オール4レーシング)となっている。
注目のチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、ニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組が、終盤の380㎞地点で大きな溝に落ちて車体のフロントを破損。
幸い乗員に怪我はなかったものの、後から追いついてきた三浦昂/ローラン・リシトロイシター組が、ラジエターから水漏れしている同車両を牽引して同ステージを終えた。
これによりクラス首位をキープしていたジボン/ギャルサン組は、累計順位で総合47位/市販車クラス4位に脱落。
三浦/リシトロイシター組は総合53位/市販車クラス6位となってしまった。車両そのものは、メカニックたちの手で修復され、明日からの競技に問題はない。
トラック部門の日野チーム・スガワラは、菅原照仁/杉浦博之組がトラック部門総合20位/排気量10リットル未満クラス首位。
菅原義正/高橋貢組は、途中でガス欠のトラブルに見舞われたものの総合35位/クラス2位となった。
SS終了後300㎞のリエゾンを消化した2号車は午後9時過ぎ、1号車も午後10時過ぎに無事ウユニのビバークに帰着。待機していたメカニックによって早速点検整備が始まった。
8日の2輪部門の結果は、Team HRCのパウロ・ゴンサルヴェス選手が総合首位を守るべく力走。KTMファクトリーチームのトビー・プライス選手、マティアス・ウォークナー選手らと激しく争って、この長いステージをトップと1分12秒差の3位で終えた。
ホアン・バレダ選手は、CP3を過ぎた203km地点でメカニカルトラブルが発生。同ステージだけでトップから5時間近く遅れる結果となり、総合でも70位に後退した。
明日のデイ7は前半戦の最終日となる。ステージはウユニからアルゼンチンへ戻り、サルタを目指す行程。
途中に133kmのニュートラルゾーンを挟んでボリビア~アルゼンチンの両国にまたがる336㎞のSSが予定されている。481㎞のリエゾンを加えた全長は817㎞のロングステージだ。
また、往路と同じ道をひたすら南下するアシスタンス部隊の移動距離も1059㎞の長丁場となる。到着すれば、翌10日は中間休息日となるがメカニックたちには休みはない。ダカールラリーらしい過酷なステージが続くことになる。