WEC第7戦・富士6時間決勝、トヨタ僅差の優勝。2位アウディ、3位ポルシェで表彰台を分ける


10月16日(日)に、FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦・富士6時間レースの決勝が行われた。
この第7戦も、前回の第6戦と同じく、LMP1-Hカテゴリーに属する3メーカーのハイブリッド・レーシングカーが、互いに激しい首位争いを繰り広げ、トップ3台が10秒内を争う過酷なレースを展開した。

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結果「トヨタTS050 Hybrid」が、前回のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)の成績から順位を大きく繰り上げて、首位でゴールした。

このトヨタ陣営での優勝車両は、当初4番グリッドからのスタートとなったカー#6・トヨタTS050 Hybridの小林可夢偉選手/ステファン・サラザン選手/マイク・コンウェイ選手組。

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この優勝はトヨタ陣営にとって、2014年11月のバーレーン大会以来となるWECに於ける通算11回目の勝利となり、かつ、ここ富士スピードウェイで行われた5年間のWEC戦で、通算4勝目を挙げたことになる。

また同勝利で、#6の車両をドライブする3名のドライバー達は、年間ランキングに於いても、暫定首位に23ポイント差の2位に浮上している。

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さて日曜日の決勝レースでは、まずポールポジションスタートとなった「アウディR18」が先行する。

これを果敢に追うポルシェ勢に対して、トヨタ陣営は当初4・6位を走っていたのだが、5回の給油とドライバー/タイヤ交換を含む6回のピットストップ時に、各車お互いの前後関係の入れ替えつつ、序盤のレース周回数を消化した。

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その後、周回数100を大きく超え、空を覆う雲が路面温度を下げ始める。
この段階で、3番手を走っていたカー#1のポルシェ919 Hybridが、カー#8・アウディR18に次ぐ、2位に浮上していたトヨタTS050 Hybridに肉薄。

157周目にポルシェは、トヨタTS050 Hybridのオーバーテイクに成功し、さらには183周目にアウディR18を抜き、一時期首位に立った。

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しかし最終的には220周目でピットストップした時点に於いて、ポルシェ陣営がタイヤ交換を実施したことで、その後の明暗が分かれることになる。

というのは、この間、カー#6のトヨタTS050 Hybridは、最終スティントをタイヤ無交換で走り切ることを選択して、タイヤ交換に費やす時間を省いて首位に立ったのだ。

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そうして2位を走る#8のアウディR16を従え、最後のスティントに望んだ小林可夢偉選手は、最終ピットアウト直後に稼いでいた11秒の貯金をほぼ使い果たしたものの、カー#8の2位アウディR18(ルーカス・ディ・グラッシ選手/ロイック・デュバル選手/オリバー・ジャービス選手組)を1秒439差で凌ぎ切り、今季初優勝を成し遂げた。

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これに対して、カー#1・ポルシェ919 Hybrid(ティモ・ベルンハルト選手/ブレンドン・ハートレー選手/マーク・ウェバー選手)のステアリングを最終スティントで握ったウェバー選手は、タイヤ交換後の車体バランスに手を焼いて、ポジションを繰り上げることができずに終わり、3位でチェッカードフラッグを潜った。

続く4位は、優勝した僚友から約53秒遅れのゴールとなったものの、今季、自己成績に於いて最も最上位に登ることに成功した中嶋一貴選手/アンソニー・デビッドソン選手/セバスチャン・ブエミ選手がドライブするカー#5のトヨタTS050 Hybrid。

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その後方の5位には、カー#2・ポルシェ919 Hybridのロマン・デュマ選手/ニール・ジャニ選手/マルク・リーブ選手組が入った。

なおカー#7・アウディR18を駆ったマルセル・ファスラー選手/アンドレ・ロッテラー選手/ブノワ・トレルイエ選手組は、208周目に、不運にもマシントラブルに襲われリタイアとなった。
なお次戦、「第8戦・上海6時間レース」は来る11月6日(日)に行われる予定だ。

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佐藤俊男 TOYOTA GAZOO Racing代表のコメント
ホーム富士でのレースは、LMP1-Hの参戦3メーカーによる緊張感に満ちたエキサイティングなレースとなり、それは、まるで6時間のスプリントレースとも呼べるものでした。

チームスタッフは、今日のこの“超接戦”でこれ以上はないと言うほど全力を尽くしました。

フルコースイエローの無いクリーンなレースで、コース上での速さ、ピットワーク、そしてタイヤ戦略が結果に繋がりました。また共に戦ったライバル、アウディとポルシェも素晴らしい戦いをされました。

今回ホームコースでのレースに於いて、素晴らしい仕事をこなしてくれたチームスタッフや、これまで厳しい仕事を続けてくれたトヨタ自動車東富士研究所の仲間。

そしてケルンの従業員にも感謝を述べたいと思います。また、本日、富士スピードウェイで熱い応援を頂いたファンの皆様に心から御礼を申し上げます。

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#6・1位/小林可夢偉
チームの全員が素晴らしい仕事をしてくれたことが、この好結果に繋がりました。予選の後、感触は良かったので、ホームレースで勝利を勝ち取るために全力で臨みました。

それだけに、地元のファンの皆様やトヨタの社員の方々の前で優勝という最高の結果を成し遂げられて嬉しく思っています。皆様の大きなサポートに感謝します。本当に大変なレースでつかんだ勝利でしたが、まだ優勝の実感はありません。

最後、タイヤ無交換でのダブルスティント走行はリスクはありましたが、勝つことだけを考えての選択だったので、それがこの結果となって最高の気分です。

#6・1位/ステファン・サラザン
ホームレースで勝つことが出来て、最高の気分です。ル・マンの後、今大会はTOYOTA GAZOO Racingにとっては最も重要なレースでしたので、全力を尽くして戦い、信じられないような素晴らしい結果になりました。

マイクは見事な仕事をしてくれましたし、可夢偉も最高の走りを見せてくれました。

2回連続した私自身のスティントでは、コース上の混雑に苦しめられましたが、全般的に見れば我々は良いペースでレースを戦うことが出来ました。ここ富士で高い競争力を望んでいたので、チームに取っても、ファンの皆様に向けても良い結果を出すことが出来て幸せです。

#6・1位/マイク・コンウェイ
最高の気分です。レースウィークの最初から感触は良く、チャンスはあると思っていました。

決勝レースは最初から最後まで接近戦で、ラップタイムもコンマ1秒を争うような戦いでした。緊張の張り詰めたレースで、最後の1時間はとても長く感じられました。

最後のダブルスティントを担当した可夢偉が最高の仕事をしてくれました。タイヤ無交換作戦はどうなるか分かりませんでしたが、彼は見事にやり遂げてくれました。チームも素晴らしい仕事でピット作業も早く、戦略も完璧で今日の大きな勝利の一因でした。

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#5・4位/中嶋一貴
今季、TOYOTA GAZOO Racingが初勝利を挙げることが出来たのは、チーム全員にとって最高の結果です。

我々の#5号車は、特に序盤苦戦し、主にコース上の混雑でタイムをロスしてしまいました。その後は首位グループと同等のペースで走ることが出来ましたが、ギャップを縮めるまでには到りませんでした。

しかし、チームがこのレベルまで進歩を遂げたことにとても嬉しく思います。また、応援してくれた日本のファンの皆様やトヨタの社員の方々に素晴らしいレースを見て頂けたのは幸せでした。

#5・4位/アンソニー・デビッドソン
ホームコースで勝つことが出来たことは、チームにとって最高の栄誉です。

また、富士スピードウェイでの勝利記録を伸ばすことも出来ました。残念ながら我々の#5号車は首位争いに加わることが出来ず、表彰台に上ることは叶いませんでした。

しかし、チームメイトの表彰台を共に祝え、集まってくれたファンの皆様の前で素晴らしい戦いをお見せできたことを、この上なく嬉しく思っています。

#5・4位/セバスチャン・ブエミ
ホームコースで勝利を挙げたチームメイトに祝福を送ります。#6号車は勝利に値する素晴らしいレースをしました。

我々も今季ベストリザルトを記録できましたが、望んでいた結果には届きませんでした。ベストは尽くしましたが、僅かに足りませんでした。

とはいえ、チームが再び勝利を勝ち取れたことは、今季の残り2戦へ向け、とても勇気づけられる結果です。

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WEC第7戦 富士6時間 決勝結果
順位(No)ドライバー/メーカー/周回・トップ差

1(6)小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ/トヨタ/244周(首位でゴール)

2(8)ルーカス・ディ・グラッシ、ロイック・デュバル、オリバー・ジャービス/アウディ/1.439秒差

3(1)ティモ・ベルンハルト、マーク・ウェバー、ブレンダン・ハートレー/ポルシェ/17.339秒差

4(5)中嶋一貴、アンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミ/トヨタ/53.779秒差

5(2)ロマン・デュマ、ニール・ジャニ、マルク・リーブ/ポルシェ/1lap遅れ

RT(7)マルセル・ファスラー、アンドレ・ロッテラー、ブノワ・トレルイエ/アウディ