TDK、液晶画面に触覚振動を与える低電圧駆動の「世界最薄級・ピエゾアクチュエータ」を開発


低電圧駆動、瞬時に反応する世界最薄クラスの厚み約0.35mmの振動ユニット

先にQualcommとの合弁会社「RF360 Holdings設立」を公表し、自動車分野を含むIoT向けに高周波フロントエンド(RFFE)モジュール・RFフィルタ提供を開始したTDK株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:石黒成直、以下TDK)は、ハプティクス技術向け「PiezoHapt™アクチュエータ」の開発および本年3月からのサンプル出荷開始を発表した。

PiezoHaptアクチュエータは、積層圧電素子と振動板からなるユニモルフ構造の振動ユニットで、低電圧駆動ながら多彩な振動パターンに対応。

従来、振動に用いられてきた偏心モータやリニアアクチュエータ(リニアバイブレータ)と比較し、本製品は世界最薄クラスの厚み(約0.35mm)と瞬時に反応することが特徴となっている。

製品の圧電素子は積層タイプで、同じ厚みの単板タイプの素子よりも大きな変位を生成できる。

そのため、一般的に圧電式のハプティクス技術には高電圧が必要となるのに対し、PiezoHaptアクチュエータは24V以下の低電圧でも振動の感覚を皮膚に伝えることができる。

また圧電の特性から瞬時に反応することが特徴であり、およそ0.004秒で立ち上がる。

偏心モータ等と比較して短時間の通電で動作することができるため、消費電力量が少なく省電力を実現できるとする。

さらに、偏心モータを使用する場合、振幅は設計で決まるが、PiezoHaptアクチュエータはパルス制御により振幅の大きさ、間隔を自由に変化させることができるので、多彩な振動パターンを細やかに表現することが可能としている。

指先でのタッチの感覚など触覚の活用は、バーチャル・リアリティ(VR)をはじめ、振動による触覚フィードバックを必要とする様々なアプリケーションなど、これから様々な分野で期待されるものだ。

同社によると、低電圧駆動の薄型アクチュエータPiezoHaptは、2016年11月発表した高い加速度と大きな発生力を備えたEPCOSブランドのPowerHap™ ピエゾアクチュエータに続くハプティクス向けアクチュエータの新たなラインアップとして、TDKが提供する最新鋭の触覚フィードバックソリューションの幅をさらに広げると云う。

主な用途
スマートフォンなどのディスプレイ、カーナビ、タッチパッド、コントローラなど

主な特長と利点
世界最薄クラスの厚み 約0.35mm
低電圧駆動で瞬時に反応し、振動パターンの自由な変化が可能

主要データ

生産・販売計画
サンプル価格 : 3,000円/個
生産拠点 : 秋田地区
生産予定 : 50,000個/月(当初)
開発完了 : 2017年3月予定
生産開始 : 2017年5月予定

記事用語
– ハプティクス : 力や振動などの皮膚感覚フィードバックで情報を伝達するテクノロジー。
– ユニモルフ構造 : 金属板の片面にセラミックスの圧電素子を貼付した構造。