シェルと北米トヨタ、燃料電池トラックの水素ステーション建設で協力


同プロジェクトがカリフォルニア州政府による800万米ドルの補助金交付候補に選定される

シェルの米国エネルギー事業会社「Equilon Enterprises LLC(以下、シェル)」と、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男)の北米事業を統括するToyota Motor North America(以下、TMNA)は4月19日、世界最大級の貨物輸送拠点・カリフォルニア州ロングビーチ港に燃料電池(以下、FC)トラックの普及を前提とした大型水素ステーション建設に向け協力する。

この取り組みは、同州のカリフォルニアエネルギー委員会(CEC : California Energy Commission)により、港湾・倉庫・配送拠点に於ける水素・充電インフラの整備を支援する「Alternative and Renewable Fuel and Vehicle Technology Program」のなかで、800万米ドルの補助金交付の候補に選出されたもの。

これが今後、正式承認された場合、シェルは同港湾内のトヨタの物流拠点に、商用トラック用の大型水素ステーションを建設し、シェルのステーションとして運営を行っていく構え。

この環境整備を踏まえ、既に昨年10月より同港湾エリアで実証実験中のトヨタのFC大型商用トラックが新設される水素ステーションで燃料充填を行っていく。

併せてトヨタは、FuelCell Energy社と共に建設する発電施設「Tri-Gen」で、バイオマスから製造した水素を本ステーションに供給するという一連の関連施設の完成を目指す。

この取り組みについて、シェルの水素担当ゼネラルマネジャーであるオリバー・ビショップ氏(Oliver Bishop)は、「本取り組みは、カリフォルニア州において、貨物輸送分野での水素利用の拡大に貢献するものです。

シェルとトヨタは、特に代替燃料の普及が進んでいない大型商用車部門において、水素がCO2フリーの貨物輸送の実現に寄与すると確信しており、同州の商用車に対して有効な代替燃料を供給すべく、互いの知見を合わせて協力していきます」と述べている。

一方、TMNAの先進技術車担当のクレイグ・スコット氏(Craig Scott)は、「CECには、ロングビーチ港とロサンゼルス港における今回の取り組みの重要性をご理解いただき、感謝申し上げます。

トヨタは引き続き、貨物輸送車の電動化に向けて、FC技術が最も革新的で持続可能な技術のひとつであることを検証していきます。

また、今回のシェルとの協力は、発展性がある輸送用エネルギーとして水素利用を推進していく両社の考えをさらに強化するものであると同時に、カリフォルニア州北部における一般車用水素ステーション網拡充の取り組みを補完するものです」とコメントした。

またトヨタとシェルは、共に2017年1月に発足したHydrogen Council(水素協議会)のメンバーであることから、昨年9月には、Hondaとともにカリフォルニア州北部における水素ステーション7か所の新設を発表する等、米国を中心に水素インフラの構築における連携を進めてきたと云う。また今後トヨタは、政府やエネルギー業界と共に、今後の水素社会の実現に向けて精力的に取り組んでいくと結んでいる。