遠州地域の鉄道網並びに広域で輸送事業を行う遠州鉄道株式会社(本社:浜松市中区旭町、社長:斉藤 薫)は5月1日、自動車販売を手掛ける静岡トヨタ自動車(代表取締役社長:川嶋 秀樹)の全株式をトヨタ自動車(代表取締役社長:豊田 章男)から取得すると発表した。
具体的には、遠州鉄道が同日開催の自社取締役会に於いて、上記決議に至ったもので、トヨタ自動車株式会社の100%子会社である静岡トヨタ自動車株式会社の全株式を取得し、静岡トヨタ自動車及びその100%子会社である静岡トヨタ物流サービス株式会社を自らの連結子会社化する。
株式移管となる静岡トヨタ自動車は、県内に41の販売店を保有。2017年の車両販売台数は約9500台。販売拠点ではトヨタ店を33拠点、レクサス店を2拠点、中古車専門店6拠点を展開しており、資本金15億円。売上高397億3,500万円。従業員数は725人(平成28年3月期時点)。
遠州鉄道側からの買収額は50億円であり、株式の譲渡は6月29日に実行される見込み。これは遠州鉄道が行ったM&Aとしては、過去最高額になると見られる。
一方、遠州鉄道も、そもそもネッツトヨタ浜松やトヨタレンタリース浜松など、静岡県西部地域を中心に自動車販売業を運営してきた実績がある。
しかし昨今の人口減少に伴う自動車販売市場の縮小や、技術革新による新たな競争相手の出現によって、自動車販売業の将来は厳しい状況になると想定され、遠州鉄道としての車販事業は、ここにきて事業見直しを検討する必要性に迫られていた。
対して静岡トヨタ自動車を保有してきたトヨタ自動車は、2016年より開始した「J-ReBORN計画」に基づき、国内販売網を従来の「チャネル軸」から「地域軸」主体へと体制・働き方を見直すことで、新たなモビリティサービスの提供を見据えたビジネスモデル変革を進めている。
このような状況下で、遠州鉄道が自動車販売事業に於いて、トヨタ自動車が保有している静岡トヨタ自動車を迎え入れることで自動車販売事業が大きく強化される。結果、静岡エリアに於けるネッツ・トヨタチャネルの多くの販売網を遠州鉄道が統括することになる。
これが車販のチャネル軸を越える事業を生み出す母体となって、電鉄事業を背景とした新たな競争力を持つモビリティビジネスの提供が可能になっていくと遠州鉄道側では見たようだ。
なお遠州鉄道が取得を検討する会社の概要は以下の通りとなる。
商号 :静岡トヨタ自動車株式会社
本店所在地: 静岡市駿河区国吉田2丁目3番1号
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 川嶋 秀樹
資本金 :15億円
主な事業内容 :自動車販売業
設立年月日 :1942年11月
従業員数 :725名 (2017年3月現在) ※8時間換算人数
店舗数 :トヨタ店33 レクサス店2 中古車専門店6 (2018年4月現在)
取得を検討する会社の100%子会社の概要
商号 :静岡トヨタ物流サービス株式会社
本店所在地 :静岡市駿河区国吉田2丁目3番1号
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 川嶋 秀樹
資本金 :10千万円
主な事業内容 :自動車輸送・整備業
設立年月日 :1967年2月
従業員数 :57名 (2017年3月現在) ※8時間換算人数
株式取得の相手先の概要
商号 :トヨタ自動車株式会社
本店所在地 :愛知県豊田市トヨタ町1番地
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 豊田 章男
資本金 :6,354億円
主な事業内容 :自動車生産・販売業
設立年月日 :1937年8月
日程(予定)
2018年6月29日 :株式譲渡実行
遠鉄グループ体制にて運営開始
遠州鉄道株式会社の概要
商号 :遠州鉄道株式会社
本店所在地 :浜松市中区旭町12番地の1
代表者の役職・氏名 :代表取締役社長 斉藤 薫
資本金 :38億円
主な事業内容 :鉄道事業、バス事業、不動産業、保険代理店業
設立年月日 :1943年11月