KYBモーターサイクルサスペンション株式会社(本社:岐阜県可児市、代表取締役社長:大下茂、略称:KMS)は3月30日、コーポレートサイトを新たに開設した。
KYBと云えば、2輪車のサスペンションメーカーとして、さらに四輪用ショックアブソーバや、電動パワーステアリングなどで知られている。
また1964年からは、新幹線用のオイルダンパを手掛け、他にも東京スカイツリーや東京駅の免震装置や航空機・舞台装置・船舶・試験装置・福祉用など数多くの分野でモノづくり重ねてきた。
そんなKYBは、2013年10月に、KYB株式会社の二輪部門を会社分割。ヤマハ発動機株式会社も出資(出資の1/3はヤマハ発動機)することで合弁会社「KYBモーターサイクルサスペンション株式会社」として設立された。
油圧機器の専門メーカーKYBと、ヤマハ発動機の合弁により、最新鋭サスペンションの開発や、それに掛かる生産コストを抑えるという一義的な目的だけではなく、世界トップクラスの性能、品質にこだわった新しいチャレンジを世界に発信していく二輪車専業のサスペンションメーカーとして同社は誕生している。
ちなみにその母体となった「KYB」の創業者である「萱場資郎氏 (1898~1974)」は、油圧装置の開発者であり、独創的でありながら「簡単は最高の技術なり」という資朗氏の信条をモットーとしていた。
その考え方を示唆する話には以下の逸話がある。1930年に、英国の重工業メーカーのビッカーズが、日本に於いて自社製の空気オレオ(緩衝装置)の特許申請を拒否されたことに対し、日本の特許権利者に異議を申し立てるべく、資郎氏を訪ねた。
すると資郎氏の設計したオレオは、ビッカーズ製より構造がシンプルかつ、重量や性能共に高性能だった事に、納得せざるおえなかった。
そんなビッカーズに対して資郎氏は、「貴社が希望するなら、我々萱場式の製造権を分権してあげるよう海軍大佐に頼んでもよい」と話し、その言葉にビッカーズは、苦笑いし帰国した経緯がある。
その後、資郎氏は1935年に現在のKYBの母体となる株式会社萱場製作所を創立。「わが社の目的は営利のみにあらず、人の世のため発明考案に専念する」という理念を掲げてきた。
そうした資郎氏の思想や情熱を引き継ぎ、油圧技術を中心に発展してきたKYBだが、ここにきてモーターサイクル用サスペンション開発に関して、新たな1歩を踏み出した。
これまで、既存のサスペンションメーカーは、顧客の依頼に対しての開発があるという形だった。
しかし、あえて分社化してまで設立したKYBモーターサイクルサスペンションは、顧客の依頼を超える新たな製品価値観の創造を目指しており、その一例が先のヤマハ発動機の三輪バイク「トリシティ」搭載のフロントフォークに発展した。
そんなKYBモーターサイクルサスペンションは、「創業者の『簡単は最高の技術なり』という信条や『わが社の目的は営利のみにあらず人の世のため発明考案に専念する』という理念を基に、Moto GPへの積極的な挑戦も含め、二輪車用サスペンションメーカーとして新たな世界に挑戦していきます」と述べている。
KYBモーターサイクルサスペンション(KMS)Webサイト
http://kms.kyb.co.jp/