3台目の919ハイブリッドに乗り込むドライバーとは
ポルシェAG(本社:ドイツ・シュトゥットガルト、社長:マティアス・ミューラー、以下、ポルシェ)は、来る5月2日に、スパ・フランコルシャンサーキット(ベルギー)で、開催されるFIA世界耐久選手権(WEC)第2戦に、3台の919ハイブリッドで挑む。
今レースで、3台目にあたる「919ハイブリッド」のステアリングを握るのは、F1ドライバーのニコ・ヒュルケンベルグ(ドイツ)を筆頭に、アール・バンバー(ニュージーランド)および、ニック・タンディ(イギリス)のチームだ。
カーナンバー19をドライブするこのトリオは、スパ・フランコルシャンを6時間走り続ける同レースを通して、来る6月のル・マン24時間レースに向けた準備を整えていく考えだ。
レギュラーメンバーはいつもの布陣でレースに挑む
本来のポルシェ・ワークスのWECレギュラードライバーのラインナップは変わらず、他の2台のLMP1ハイブリッド・プロトタイプのコックピットに乗り込む。
こちらは、ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)/マーク・ウェバー(オーストラリア)組が、カーナンバー17。
ロマン・デュマ(フランス)/ニール・ジャニ(スイス)/マルク・リーブ(ドイツ)が、カーナンバー18を、それぞれドライブする予定だ。
5月2日のスパにおいては、3台すべてのマシンが、いつものホワイトのボディカラーで6時間のスプリントと呼んでもいいほど過酷なスパのレースに臨む。今年のチームプレゼンテーションで披露されていた色違いのカラーリングはル・マン限定。従って、本場登場までは今暫くの猶予が必要だ。
3台のハイブリッド、オペレーションコントロールが鍵に
さて2014年シーズンから導入された新しいWECのレギュレーションでは、マシンに対して、パワフルで革新的なハイブリッドシステムの搭載が要求されている。
従って3台のハイブリッド・プロトタイプを、スターティンググリッドに並べるのは、他の老練なベテランチームに比べると、参入後の経験値が浅く若いポルシェ・チームにとっては、オペレーションコントロールへの挑戦となるだろう。
しかし、これこそポルシェがWEC復帰を果たした理由だ。第2世代へと進化したポルシェ919ハイブリッドは、より効率的に、かつ、強いマシンに生まれ変わっている。
大きく分けて3つの部分で構成されたパワートレーンは、それぞれの最適化によって、参戦メーカー中、唯一となる8メガジュールものエネルギーを生み出す。
これは、ポルシェ919ハイブリッドが、F1も含めた、他のどのレーシングカーよりも、大きなエネルギー回生を実現できていることを示している。
◎レース前のコメント
LMP1担当副社長:フリッツ・エンツィンガー
「シルバーストーンのシーズン開幕戦で見せた第2世代919ハイブリッドの速さには説得力がありました。
これは、予選だけに言えることではなく、長時間にわたる走行でも進歩が明確でした。おかけで1時間半にわたって1-2でリードを維持することができまたのです。
ちなみに今回のスパで、3台目にあたる919ハイブリッドは、アール、ニックおよびニコのためにいちから新たに作り上げたものですが、その他においては3台すべての919ハイブリッドは、シルバーストーンの決勝と同じエアロセッティングとなっています。
またこれほど複雑な車3台と、9名のドライバーをマネージメントすることは、チーム監督のアンドレア・ザイドルとそのクルーにとって大きなチャレンジとなるでしょう。
8メガジュールクラスのハイブリッドマネジメントで、一体何が必要となるかについては、私たちは今も学び続けています。一般的に言って、スパのサーキットのレイアウトは、私達の車に合っているはずです。
とにかくWECシーズン全戦を戦うカーナンバー17および18の目標は、チャンピオンシップでのポイント獲得にあります。一方でカーナンバー19のクルーには別の課題があります。
というのは、今回で彼らはすべてのレース進行手順に慣れ、シーズンのハイライトであるル・マンに備える必要があるからです。
◎ドライバーのコメント
No. 17、ティモ・ベルンハルト(34歳、ドイツ)
「2つの理由で、スパは私にとって特別なレースです。まず、スパは私の地元のブルッフミュールバッハ=ミーザウから遠くないため、多くのドイツ人ファンが来てくれることです。
次に、30年前にスパで亡くなったステファン・ベロフを追悼するため、私は特別なヘルメットを被って参戦します。私は、彼をとても尊敬していて、彼のレーシングドライバーとしての才能を人々に思い出してもらいたいのです。
レースについて言えば、スパのサーキットレイアウトは、地形に自然に溶け込んでおり、あまり手が加えられていません。安全性は大幅に向上しましたが、そうした伝統のコースであることに変わりはありません。
スパはテクニカルなサーキットで、正確なセッティングが要求されます。優れたチームワークで大きな差が出る場所です」
No. 17、ブレンドン・ハートレー(25歳、ニュージーランド)
「私は、渡欧して初めて、スパのサーキットを見てどれほど驚いたか、決して忘れることはありません。
このサーキットは、あらゆるドライバーを興奮させると思います。オー・ルージュのようなコーナーは、独特ですばらしいです。919ハイブリッドは、シルバーストーンよりスパに適しています。ここでレースするのを待ち切れない気持ちです」
No. 17、マーク・ウェバー(38歳、オーストラリア)
「スパは好きなサーキットのひとつです。スパでのレースは、カレンダーに載っているきわめて個性的なクラシックレースの一戦であり、非常に高速のサーキットなので、919ハイブリッドを本当に速く走らせることができます。
いつでも天気が重要な要素で、1周の距離がとても長いため、サーキットの一部では雨が降っていても、別の場所はドライコンディションだったりします。
オー・ルージュは、世界でも最も有名なコーナーのひとつで、TVで見るよりずっと急です。シルバーストーンでは、期待通りにはなりませんでしたが、私達に大きなポテンシャルがあり、スパではよい結果を出したいと思っています」
No. 18、ロマン・デュマ(37歳、フランス)
「昨年のスパでも私たちは非常に速かったのですが、ニュー919ハイブリッドはさらに速いでしょう。
ダウンフォースが増しているので、今年のオー・ルージュとラディオンは全速で行けると思います。
スパの耐久レースにはすばらしい伝統があり、毎回観客も集まります。私のスパにまつわる最高の想い出のひとつは、2003年にマルク・リーブとともに24時間レースで優勝したことです」
No. 18、ニール・ジャニ(31歳、スイス)
「シルバーストーンの順調なシーズン開幕戦の後、スパでレースするのを待ち切れません。イギリスで愉しんだのと同様、さらにスリリングなトップ争いができることを期待しています。
そして、このベルギーのサーキットは私達に合っているはずです。昨年は919の初ポールをスパで獲得し、序盤ではかなりの時間、レースをリードしていました。もちろん今回の目標は、レースの最後にリードしていることです」
No. 18、マルク・リーブ(34歳、ドイツ)
「スパは大好きなサーキットのひとつです。高速コーナーが多いこの自然の地形を生かしたサーキットには、独自の流れがあります。
ロマン・デュマと優勝したスパ24時間レースは、私の耐久レースのキャリアで経験した初のハイライトでした。3台の919ハイブリッドで参戦するのは初めてで、これはチーム全体にとって大きなチャレンジです。十分な準備をしたと思うので、チャレンジを愉しみにしています」
No. 19、アール・バンバー(24歳、ニュージーランド)
「昨年、私にはとても大切なスパの想い出ができました。ポルシェ・モービル1・スーパーカップで、ポール・トゥ・ウインを決めたのは、最高に愉しかったです。
私はこの壮観なサーキットが大好きです。919でオー・ルージュを走るのを非常に楽しみにしていますが、何よりあのクルマでレースするのが待ち切れません。
シルバーストーン戦では、画面に釘付けになりました。私が見た中でも最高のレースのひとつでした。6時間のスーパーカップレースのようでした。ニコとニックとのテストは愉しく、初めて彼らとともにレースするのを待ち遠しく思っています」
No. 19、ニコ・ヒュルケンベルグ(27歳、ドイツ)
「この数週間、スパでのウイークエンドで何が起こるかと考えると、すごく興奮しています。
もちろん、あのグランプリ・サーキットをよく知っていますし、何度もレースをしました。しかし耐久レースはまったく新しい世界で、すべてがどのように展開するか、とてもワクワクしています。私は、このチャレンジに心を開いて立ち向かうつもりです。
私は経験を積みたいですし、もちろんポルシェと自分自身のために、しっかりと働きたいと思っています。
長いストレートがある高速サーキットのスパは、919ハイブリッドに合っているはずです。ドライコンディションだとよいのですが、アルデンヌ地方ではどうなるかはまったく予想できませんし、あらゆる事態に対する準備が必要です」
No. 19、ニック・タンディ(30歳、イギリス)
「これまで何度もスパでレースをしました。シングルシーター、ポルシェ スーパーカップ、そして、2012年のGTオープンではポルシェで優勝しました。
スパは、最高のサーキットのひとつで、919での初レースにとても興奮しています。私は、できる限りの準備ができていると感じています。しかし過大な期待はしていません。私達の仕事は、チェック項目を確認してル・マンに備えることです」
基本情報:
FIA WECの今シーズン第2戦の6時間レースは、中央ヨーロッパ夏時間(CEST)の5月2日午後2時30分にスタートとなる。
テクニカルコースのシルキュイ・ド・スパ=フランコルシャンは、ベルギーの南にあるアルデンヌ地方の山岳地帯に位置する。
このサーキットの1周7.004 kmは、平均より長く、複数の高速セクターがある。特に長い上りのセクションで限界が試され、オー・ルージュと、ラディオンの威圧感は、すべてのカテゴリーのドライバーの心を恐怖で支配する。
サーキットの距離が長いため、コースの一部で雨が降っていても、他の場所はドライであるという状況が起こり得る。これは、ル・マンと非常によく似た状況だ。
2014年の優勝車両の周回数は171周
2014年、ニール・ジャニ/マルク・リーブ組が、現在は5回を数えるポルシェのWECでのポールポジションの最初の1回を獲得した。
彼らがポルシェ919ハイブリッドで叩き出した平均ラップタイムは2分01秒198だった。
また、ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー組の919ハイブリッドは、2分03秒672の平均ラップタイムで5番グリッドからのスタートだった。
決勝では、デュマ/ジャニ/リーブ組が4位、ベルンハルト/ハートレー/ウェバー組が23位。
WECの全8戦中第1戦が終了した時点で、デュマ/ジャニ/リーブ組がドライバーズポイントで合計18ポイントの2位となっている。
ベルンハルト/ハートレー/ウェバー組は、シルバーストーンでのポールポジションによって、ボーナスポイントを獲得し、10位にランキングされている。
ポルシェは、コンストラクターズチャンピオンシップで現在19ポイントの3位となっている。
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