ホンダ、第46回・鈴鹿8時間耐久レース4連覇。通算31勝目

三重県の鈴鹿サーキット(鈴鹿市稲生町)に於いて8月3日、2025FIM世界耐久選手権・第3戦「コカコーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース」の第46回大会の決勝レースが開かれ、この日、CBR1000RR-R FIREBLADE SPを駆るホンダワークスのTeam HRC(高橋巧選手/ヨハン・ザルコ選手)がトータル217周を走破して総合優勝を飾った。これによりHRCは総合優勝4連覇を達成した。

また高橋巧選手は、鈴鹿8耐の優勝回数で史上最多記録を更新する通算7勝目を4連覇で飾り、ヨハン・ザルコ選手は2年連続の優勝を果たした。更にホンダの鈴鹿8耐での優勝回数が通算31回となった。

予選セッションではポールポジションが続出

決勝前(8月1日)の予選では、序盤、#76 AutoRace Ube Racing Team 浦本修充選手(BMW)が2’04.796の予選コースレコードを記録。これを追うのか手続き上の問題で急遽、高橋巧選手、ヨハン・ザルコ選手の二人体制で戦うことになった#30 Honda HRC 高橋巧選手が2’05.554のタイムで追う展開。

更に翌8月2日に公式予選10位以内に入ったチームの上位タイム2名のライダーによって行なわれたトップ10トライアルで、#21 YAMAHA RACING TEAMのアンドレア・ロカテッリ選手が2’04.316のコースレコードを記録。

しかし#30 Honda HRCヨハン・ザルコ選手が2’04.290でコースレコードを再び更新。0.026差でポールポジションを獲得した。2番手#21 YRT、3番手は予選2日目に2’05.001の最速タイムを記録した#76 AutoRace Ube Racing Team(BMW)浦本修充選手となった。

決勝日は11時30分からルマン式でスタート

決勝当日の3日は、真夏の炎天下の元、鈴鹿市出身の歌手・清水美依紗の国歌斉唱で始まり、11時30分から耐久レース特有のルマン式でスタートが切られた。まずはホンダの#30 TeamHRCがホールショットを獲得。その後、#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaがトップを奪取。

しかし路面温度の上昇が続く難しいコンディション下で転倒車が続出するなど荒れた展開に。早くも12時を迎える頃にはバックマーカーが出現し始めたため、バックマーカーを縫うように処理できた#30 HRCが再びトップに立ち、最初のピットイン作業も始まる。

2番手は#21 YAMAHA RACING TEAM、3番手は#73 HARC-PROが2台を追う形でレースが消化されていく。

その後、EWCフル参戦チームで13番手を走行していた#5 F.C.C. TSR Honda Franceがマシントラブルでピットイン、4番手の#1 Yoshimura SERT Motul(Suzuki,BS)が転倒するなかで#30 Honda HRC、#21 YAMAHA RACING TEAMが2分7秒台を記録して3番手以下を離す。

1時間50分頃にはトップを走る#30 HRCが50周を記録

1時間50分頃にはトップを走る#30 HRCが50周を記録。2番手は依然13秒差の#21 YAMAHA RACING TEAM(YRT)。3番手には#7 YART-YAMAHA、これに# 73 SDG Team HARC-PRO. Hondaと# 37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが続く。

2時間超には、#7 YART-YAMAHAが転倒、30番手まで順位を落としての再スタートとなった。この時間帯では、3番手を走る#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCEが2分7秒台も記録する速いペースで4番手以下を離したが、2時間30分を超えた頃、外れたパーツが絡まり転倒。21番手まで順位を落として再スタートした。

トップ争いは#30 Honda HRCがトップを維持。2番手は#21 YRTと2分7秒台をマークしてトップを追う。3番手には#73 SDG Team HARC-PRO Hondaという順序で3時間目に突入した。

3時間超には最高路面温度69度に。転倒やマシントラブルも

3時間超頃には最高路面温度69度を記録。転倒やマシントラブルで4チームがリタイアした。3時間30分を過ぎて、トップを走り続ける#30 Honda HRCは100周超。

3時間45分頃、一時期4番手となっていたEXPクラス#0 Team Suzuki CN CHALLENGEが5コーナーで転倒。同じく7番手の#71 Honda Dream RT SAKURAI HONDAも4コーナーで転倒。赤黄のオイルフラッグが振られる場所が発生した。

2番手は、#21 YRT。3番手は#73 SDG Team HARC-PRO. Honda。序盤の転倒から巻き返してきた#1 Yoshimura SERT Motulも3番手争いをするまでに浮上してきた。

レースが4時間を迎えた頃、15番手まで順位を回復していた#7 YART-YAMAHAがエンジントラブルのためシケインで転倒。4時間30分頃には、16番手を走行していた#95 S-PULSE DREAM RACINGが3コーナーで転倒するなどのトラブルが続出。

そうしたなかで#30 Honda HRCは127周目2’06.983のラップタイムを記録したトップを維持。これを#21 YRTが追う。#1 Yoshimura SERT Motulが燃費戦略を念頭に置く走りで、#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaと3番手を争う展開になる。

6時間目に突入、#30 HRCは決勝レース最速ラップを記録

6時間目に突入する頃、トップを走る#30 HRCは155周目、決勝レース最速ラップの2’06.895を記録。2番手は依然#21 YRT。この時期は#1 Yoshimura SERT Motul、#40 TeamATJ with docomo Buisiness、#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaが3番手争いを繰り広げる。

6番手は#76 AutoRace Ube Racing Team(BMW)、7番手#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM、8番手に# 11 Kawasaki Webike Trickstarが続いた。

しかし6時間を迎えてヘアピンでの転倒でセーフティーカーが導入。トップを走っていた#30 Honda HRCと#20 YRTの差が縮まる。6時間20分過ぎにレースは再開。#30 HRCは176周2’06.670を記録して再び2番手#21 YRTとの差を広げ始める。

この間、#73 SDG Team HARC-PRO. Hondaと#1 Yoshimura SERT Motulの3番手争いは白熱。その後ろには#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMが付ける。

レースは7時間10分が経過した頃、再びの転倒によるアクシデントでコース改修で2回目のセーフティカーが入る。#30 Honda HRCはこのタイミングでピットイン。これによりコース上のトップは#21 YRTとなった。

Honda HRCにとっては鈴鹿8耐31回目の勝利に

セーフティカー終了後の再スタート時に、#73 Team HARC-PRO. Hondaと#21 YRTの最後のピットインを行うなかで#30 HRCが再びトップに浮上。3番手は#1 Yoshimura SERT Motulとなる。

最終的に、ライダー二人体制という過酷な状況下で、最後まで安定した走りで217周を走破した#30 HRCが首位でゴールラインを潜り、鈴鹿8耐4連覇を達成。

2位はレース最速ラップを記録した#21 YRT。序盤の転倒を挽回して#73 HARC-PRO.との接戦を制した#1 Yoshimuraが3位。4位#73 HARC-PRO、5位#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAMとなった。

Honda HRCにとっては鈴鹿8耐31回目の勝利となり、 高橋選手は自身の記録を更新する7度目の優勝、MotoGPライダーのザルコ選手にとっては2度目の栄冠となった。

総合5位で終えたBMW Motorrad World Endurance Teamは、来月開催される最終戦ボルドール24時間レースで、YART・Yamaha EWC Official Teamとシリーズタイトルを争うことになる。

スーパーストッククラスでは、BMWチームのTeam Étoileがポールポジションから逃げ切り、ダンロップがタイヤを単独供給するFIM世界耐久カップで初優勝を果たした。 2024年にTeam Étoileの前を走ったTONEチーム4413 EVA 02 BMWが2位、アプリリアチームのRevo-M2が3位となった。

以下はHRCチームに関わる選手他のコメントとなる

Honda HRC 高橋巧選手
「無事に終えられてよかったです。急遽2人での走行となり、このコンディションの中で相当つらいのはわかっていました。ただただ疲れました。

最後、ヨハンのコンディションが厳しそうだったのもあり、その中でしっかり自分ができることをして渡そうと思い、最後のスティントでは6秒台に入れて引き離そうとしましたが、後続の追い上げが激しかったことからタイム差をキープして無事に渡す形に切り替えました。
最後は本当にヨハンが頑張ってくれました。彼に感謝しています。チームのみんなも頑張ってくれたと思うし、応援してくれたファンの皆さんに感謝しています」

Honda HRC ヨハン・ザルコ選手
「巧と同じで疲れました。レースコントロールはうまくできましたが、スティント間でのリカバリーが難しく、思ったように回復できませんでした。最終スティントでセーフティーカーが入ったことで、巧は周回数を伸ばし、私の回復時間を稼げました。

自分が走った時、2度目のセーフティーカーが入ったことでリズムを少しずつ取り戻すことができました。夜の走行ではギャップをコントロールしながら素晴らしい景色の中を走り、幸せを感じながらレースをフィニッシュできました。

巧はレースでも暑さにも強い選手でつらい表情も見せず、チームの強さに繋がっていると思いますが、来年は2人体制では走りたくないですね。Hondaは燃費の良いバイクで大きなアドバンテージがあり、7回のピットストップでフィニッシュできました。チームのみんなに感謝しています」

Honda HRC監督 松原輝明
「本当に素晴らしい結果でとても満足しています。まず、過酷なコンディションの中で懸命に走り、素晴らしい仕事をしてくれた2人のライダーに心から感謝したいと思います。

そして、ライダーたちを全力で支えてくれたチームのみんなにも感謝しています。まさにチームワークの真髄を見せてくれました。今回もピットストップは最速で、それが大きな差を生みました。

これまでの準備が今日、確実に成果として表れました。簡単なレースではありませんでしたが、最終的にはすべてがうまく噛み合いました。本当に楽しく、やりがいのある経験となりました」

株式会社ホンダ・レーシング(HRC)代表取締役社長 渡辺康治
「Honda HRC 高橋巧選手、ヨハン・ザルコ選手、チームスタッフならびに関係者の皆さん、酷暑の中での2ライダーでのレース、そして4連覇という重圧にもかかわらず、素晴らしいチームワークを発揮して勝利を引き寄せてくれたことに、心から感謝します。

高橋選手は、鈴鹿8耐最多記録を更新する7勝目の達成という素晴らしい記録を樹立しました。昨年に引き続き参戦したザルコ選手の貢献にも敬意を表します。そして、参戦をサポートしてくださったスポンサーの皆様、レースを応援してくださったファンの皆様にも、改めて感謝申し上げます。

これからもHRCは、モータースポーツファン、Hondaファンの皆様のご期待に応えるべく、チャレンジをしてまいりますので、変わらぬご声援をよろしくお願いします」

——————————————————————————-
EWC Rd.3 鈴鹿8耐 決勝暫定結果
——————————————————————————-
os._No._Team_Tire_Class_Bike_Total_Time &Gap from 1st_Pos. changefrom 1hr ago
——————————————————————————-
1 30 Honda HRC BS EWC Honda 8:00:26.580 (217 Laps) keep.png 0
2 21 YAMAHA RACING TEAM BS EWC Yamaha 34.243 keep.png 0
3 1 YOSHIMURA SERT MOTUL BS EWC Suzuki 1 Lp. up.png 1
4 73 SDG Team HARC-PRO. Honda BS EWC Honda 1 Lp. down.png 1
5 37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM BS EWC BMW 2 Lp. keep.png 0
6 76 AutoRace Ube Racing Team BS EWC BMW 3 Lp. up.png 1
7 40 TeamATJ with docomo Business BS EWC Honda 3 Lp. down.png 1
8 11 Kawasaki Webike Trickstar BS EWC Kawasaki 4 Lp. keep.png 0
9 99 Elf Marc VDS Racing Team / KM99 DL EWC Yamaha 4 Lp. keep.png 0
10 88 Honda Asia-Dream Racing with Astemo BS EWC Honda 4 Lp. keep.png 0
11 6 ERC Endurance #6 DL EWC BMW 5 Lp. keep.png 0
12 9 SANMEI Team TARO PLUSONE with SDG BS EWC BMW 6 Lp. up.png 1
13 50 MARUMAE Team KODAMA BS EWC Yamaha 6 Lp. down.png 1
14 20 Honda Suzuka Racing Team BS EWC Honda 8 Lp. keep.png 0
15 59 Team BabyFace Titanium Power BS EWC Yamaha 8 Lp. keep.png 0
16 25 Team Étoile DL SST BMW 9 Lp. up.png 1
17 93 TONE Team 4413 EVA 02 BMW DL SST BMW 9 Lp. up.png 1
18 49 Revo-M2 DL SST Aprilia 11 Lp. up.png 1
19 777 Wójcik Racing Team #777 SST DL SST Honda 11 Lp. up.png 7
20 75 Honda Kumamoto Racing & Hamamatsu ESCARGOT DL SST Honda 12 Lp. up.png 1
21 41 Kaedear-Dafy-Rac41-Honda DL SST Honda 13 Lp. up.png 1
22 711 BAKUON!!RPT NAGANO & RT MATSUNAGA BS EWC   13 Lp. up.png 1
23 65 Motobox Kremer Racing #65 DL EWC Yamaha 14 Lp. up.png 2
24 57 NICHIRIN RACING DL SST Yamaha 15 Lp. keep.png 0
25 38 Team38 DL SST Kawasaki 17 Lp. up.png 2
26 66 BALZ & ADVANCE MC with FUJIKI KOGYO DL SST Honda 19 Lp. up.png 2
27 29 DOG HOUSE&TRIPOINT FUCHS Silkolene DL EWC Suzuki 19 Lp. up.png 2
28 52 NCXX RACING with RIDERS CLUB DL SST Yamaha 22 Lp. up.png 4
29 3 SDG-DUCATI Team KAGAYAMA BS EWC Ducati 24 Lp. up.png 4
30 64 Kawasaki Plaza Racing Team DL SST Kawasaki 26 Lp. up.png 4
31 44 Honda No Limits DL SST Honda 26 Lp. up.png 4
32 31 TEAM SUGAI RACING JAPAN BS EWC Honda 28 Lp. up.png 4
33 0 Team SUZUKI CN CHALLENGE BS EXP Suzuki 32 Lp. up.png 5
34 71 Honda Dream RT SAKURAI HONDA BS EWC Honda 32 Lp. up.png 5
35 46 MOTORCYCLES#27 EJ YIC DL SST Honda 32 Lp. down.png 5
36 411 Team Matsunaga KDC&YSP Nagoya kita BS EWC Yamaha 33 Lp. down.png 5
37 828 TEAM FRONTIER DL EWC BMW 34 Lp. keep.png 0
38 23 KRP SANYOUKOUGYO&RS-ITOH BS EWC Kawasaki 38 Lp. up.png 2
39 26 Verity OIL & fenice KT with KIRINJISHI BS EWC Yamaha 46 Lp. up.png 2
40 89 CLUBNEXT&HONDADREAMTAKASAKI DL EWC Honda 47 Lp. up.png 2
41 16 Team Etching Factory DL SST Yamaha 56 Lp. up.png 2
42 95 S-PULSE DREAM RACING BS EWC Suzuki 60 Lp. up.png 2
43 45 SHINSYUREN with TOTEC BS EWC BMW 10 Lp. down.png 27
44 55 NATIONAL MOTOS HONDA FMA DL SST Honda 100 Lp. up.png 3
45 19 Team TATARA aprilia DL SST Aprilia 65 Lp. up.png 1
46 56 AOSHIMA MEGU with HAMAGUCHI Racing BS EWC Yamaha 106 Lp. up.png 2
47 15 IWATA RACING FAMILY DL EWC Yamaha 61 Lp. down.png 2
48 503 EDWIN GESUNDHEIT Racing DL SST Honda 200 Lp. up.png 1
49 7 YART – YAMAHA BS EWC Yamaha 106 Lp. up.png 1
50 17 Astemo Pro Honda SI Racing BS EWC Honda 153 Lp. up.png 1
51 5 F.C.C. TSR Honda France BS EWC Honda 190 Lp. up.png 1
52 4 Tati team AVA6 racing BS EWC Honda 159 Lp. up.png 1
53 112 Honda Tochigi Racing & Koyokai DREAM RT DL EWC Honda 36 Lp. down.png 33
54 78 Honda Blue Helmets MSC Kumamoto & Asaka DL EWC Honda 183 Lp. keep.png 0
55 13 Taira Promote Racing DL SST Yamaha 209 Lp. keep.png 0