ファーウェイ(中国語表記:華為技術、英語表記:HUAWEI)とボーダフォンは英国時間の12月1日、「グローバルモバイルブロードバンドフォーラム 2017」(11月15日~16日、英国・ロンドン)で、標準化前の第5世代移動体通信(5G)ネットワークを介して、あらかじめ承認を受けた運転手が自動車を遠隔運転する様子を欧州で初披露した。
英国サリー大学 5Gイノベーションセンター(5GIC)と、ドイツ・ミュンヘン工科大学の協力のもと、標準化前の5G技術を用いて行われた今回の公開試験では、フォーラム会場となったロンドンのエクセル展覧会センターから、サリー大学のキャンパスに配備された車両を完全に暗号化された通信を利用して制御する様子が披露された。
両社では、今後は5Gを活用することで、採掘や廃棄物処理などのとりわけ過酷で危険な環境において、訓練を経て承認を受けたオペレーターがマシンを完全に暗号化された通信を介して遠隔制御することが可能になります。また、自動運転車両に対する緊急時の制御にも活用可能としている。
なお今回の試験では、車両は50キロメートル離れた場所から遠隔操作され、時速約20キロメートルの速度で走行した際の制動距離の誤差はわずか6センチメートルだったと云う。
これは、遅延をエンドツーエンドのネットワークで10ミリ秒未満に、無線インターフェースで1ミリ秒未満に抑えることで達成された。
この結果についてボーダフォン・グループ R&Dならびに技術戦略部門トップであるルーク・イベットソン(Luke Ibbetson)氏は、 「5Gに関する標準策定は完成に近づいており、今回の試験を通じて低遅延や高信頼などの5Gの特長が実現されつつあることが示され、今後への自信となりました。
また、高度モバイルブロードバンドの提供に向けて5Gが果たす役割に加え、素晴らしい未来の一端をうかがい知ることができました。
今回の試験は、私たちのネットワークが将来の5Gコネクテッドカーをサポートできるようファーウェイと推進してきた協業におけるマイルストーンともなりました」と語っている。
またファーウェイ 5Gプロダクトライン プレジデントの楊超斌氏(ヤン・チャオビン)は、 「ファーウェイは、5Gにさらなる活力をもたらす新たなアプリケーションの探究に注力しています。
コネクテッドカーは、5Gエコシステムを構成する最も重要な要素の1つです。
今回のボーダフォンとの協業では、5Gネットワークがインテリジェントなネットワーク技術の発展を促し、産業チェーンの成熟を加速することが示されました」と述べた。
さらにサリー大学5GICの創設者兼ディレクターであるラヒム・タファゾリ氏(Rahim Tafazolli)は、 「今回のデモにより、5Gが実現に近づいており、私たちの生活のあらゆる面で革新的なインパクトを与えるものであることが示されました」とコメントし、ミュンヘン工科大学 自動車工学科 学科長であるマーカス・リーエンカンプ(Markus Lienkamp)教授は、 「私たちは自動車の遠隔運転が5Gで実現可能であることを示しました。これにより、新たなモビリティコンセプトが実現されるでしょう」と今後の抱負を含む見解で結んでいる。
なお今回、開発に協力したサリー大学は、英国屈指の教育機関の1つとして、『The Times and Sunday Times Good University Guide 2016』の「University of the Year」に選ばれた拠点。
同大学はもバタシーでの創立から125年の歴史を誇ると同時に、ギルフォードで50年にわたり世界トップクラスの授業と研究を行ってきた実績がある。
学校規模は、15,200人以上の学生、100,000人以上の卒業生、2,800人以上のスタッフを擁する。また同大学は、先進的で高度な教育が評価され、3つの「Queen’s Anniversary Prizes」を受賞している。
一方、ミュンヘン工科大学(TUM)は、欧州の研究をリードする大学の1つとして、550人以上の教授、約10,000人の研究スタッフやその他のスタッフを擁し、40,000人の学生が学んでいる。
同大学では、理工学、自然科学、ライフサイエンス、医療に注力すると同時に、経済や社会科学との融合にも力を入れる。
同大学は、シンガポールにもキャンパスを有するほか、北京、ブリュッセル、カイロ、ムンバイ、サンフランシスコ、サンパウロにオフィスを構え、世界各地でその存在感を示している。
またルドルフ・ディーゼル(Rudolf Diesel)氏、カール・フォン・リンデ(Carl von Linde)氏、ルドルフ・メスバウアー(Rudolf Mößbauer)氏などのノーベル賞受賞者や発明家を輩出していることでも著名だ。