既に当地で25カ所55基の大規模な急速充電ステーション回廊が完成
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川廣人)と、NEDOこと国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(所在地:神奈川県川崎市、理事長:古川一夫)並びに兼松株式会社(本社:東京都港区、社長:谷川薫)は、米国カリフォルニア州内に25カ所・55基の大規模な急速充電ステーションネットワークを完成させた。
さらにEVドライバー向けのスマホアプリ“DRIVEtheARC”を、日産自動車の自動車情報サービス“NissanConnect”とデータ連携させるなどを行い、EVの利用範囲拡大を目指す実証事業を当地にて本格的に始動した。
この実証事業では、これから約2年間の実証期間を通じて、急速充電器の適正な設置箇所や、利用者の充電行動などEVの様々な行動パターンのデータを集積・分析し、EV利用距離の延伸の可能性についても評価分析していく。
また今後、日産と兼松は同実証事業を通じて、EVのリアルタイムデータやビッグデータビジネスの検討を進めていくとしている。
充電ステーションおよび情報サービス詳細情報 – https://drivethearc.com
上記概要は、そもそもNEDOプロジェクト(※1)に於いて、日産自動車株式会社と兼松は、急速充電網の整備と電気自動車(EV)ドライバーへのリアルタイム情報サービスの提供を通じ、EVの利用頻度拡大および行動範囲拡大を目指した実証事業を実施してきた。
そうしたなか米国は早くからEVに注目し、様々な取り組みを実施している中、特にカリフォルニア州は、2025年までに150万台のZEV(Zero Emission Vehicle)普及を目標に掲げている。
このために州内で一定台数以上の自動車を販売するメーカーに対して、一定比率のEVやプラグインハイブリッド車などの販売を義務付ける(ZEV規制)や、EV購入者は優先レーンの通行許可が得られるといった優遇措置を充実させており、現在、米国に於いて自家用EVの販売台数が最も多い州となっている。
一方、EVの普及が進む同州でもEVは充電インフラが比較的整備されている都市内での近距離移動などの限定的な使われ方が主体だ。
そこで今実証事業で、日産と兼松は2016年11月14日から準備を進めてきた、海沿いのモントレーから山間部のレイクタホまでの区間に25カ所・55基の急速充電ステーションの回廊(コリドー)(※2)を2017年11月14日に完成させた。
また2016年11月以降、EVドライバー向けに提供しているリアルタイム情報スマホアプリサービス“DRIVEtheARC”を2017年11月に従来より機能バージョンアップし、日産の自動車情報サービスであるNissanConnectとの連携を行った。
今回は、これらの取り組みにより実証事業の本格稼働に至った。実証事業では、これから約2年間の実証期間を通じて、急速充電器の適正な設置箇所や、利用者の充電行動などEVのさまざまな行動パターンのデータを集積・分析。
EV利用距離の延伸の可能性について評価分析。これらの取り組みを通じて、EVの普及と利用拡大モデルの確立を図っていく。
日産・兼松の参加2者の役割は以下の通り
日産自動車
– 急速充電器の設置および運用。
– EVの行動変化分析。
NissanConnectグローバルデータセンター(GDC)に集積された世界各国のEVの走行データをベースに、EVユーザーの運転・充電行動を検証。GDCに集積されたデータの活用を通じて、EV運転頻度および行動範囲の拡大に資する効率的な急速充電網の整備に役立てていく。
兼松
– EVユーザー向け誘導情報サービスなどの提供。
– EVやEV充電に関わるリアルタイムデータビジネスやビッグデータビジネスの検討。
兼松は、M2M/IoT(Machine to Machine/Internet of Things)※3分野および車載デバイス分野で、EVドライバー向けリアルタイム情報サービスを日産と協力して展開し、事業化を検討する。
さらに、M2M/IoTソリューションおよび車載ハードウェア製品の提案によって、より高機能なコネクテッド・カー※4のシステムやサービスを実現し、新たなビジネスモデルの構築を目指す。
今後は、EVドライバー向けリアルタイム情報サービスでのデータ集積、分析により、充電ステーションの混雑予想情報、EVドライバー運転行動統計情報、全体最適案内の機能バージョンアップを予定している。
(※1) NEDOプロジェクト
「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業/米国カリフォルニア州の北部都市圏におけるEVの行動範囲拡大実証事業」(2015年度~2020年度)
(※2) 回廊(コリドー)
交通の幹線を意味し、本実証事業では、モントレーから、シリコンバレー、サクラメントを経由し、レイクタホに至る急速充電ステーション網を指す。
(※3) M2M/IoT(Machine to Machine/Internet of Things)
マシン・トゥ・マシン/インターネット・オブ・シングス。モノが自ら信号をインターネットで相互通信する仕組み。
(※4) コネクテッド・カー
インターネットを介してさまざまなネットワークサービスを提供する仕組みを持つ自動車。