日産自動車とニスモ、17年のモータースポーツ活動発表。新GT-R GT3(R35)の開発着手へ


日産とニスモは、17年仕様の新型Nissan GT-R NISMO GT500でSUPER GTのタイトル奪還を狙う

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン 以下、日産)およびニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社(本社:神奈川県横浜市鶴見区、社長:片桐隆夫 以下、ニスモ)は2月17日、日産/ニスモの2017年モータースポーツ活動を発表した。

1. SUPER GT GT500
日産とニスモは、2017年、新規に開発した4台のNissan GT-R NISMO GT500で参戦し、SUPER GT GT500クラスのタイトル奪還を目指す。

参戦チームは昨年度以上の強力な布陣を目指した。2014年、2015年と2年連続でシリーズチャンピオンを獲得し、2016年には最終大会までシリーズをリードしたNISMOは、今年、日産のエースナンバー23号車の松田次生/ロニー・クインタレッリの両ドライバーで、再びシリーズを戦う。

また、GTアカデミー卒業生のヤン・マーデンボローが、GT300クラスからステップアップしてGT500クラスにデビューし、安田裕信とTEAM IMPULでタッグを組む。

昨年2勝を挙げたKONDO Racingは、佐々木大樹と7年ぶりにチームに戻ったジョアオ・パオロ・デ・オリベイラというコンビネーションで臨むことになった。

加えてMOLAは、昨年素晴らしいコンビネーションを見せたベテランの本山哲と若手の千代勝正がシリーズに挑む。

なお日産系チームの総監督は、ニスモ常務執行役員の田中利和が引き続き務める。

日産/ニスモの新型車は、ベースとなるNissan GT-R NISMO(2017年モデル)の特徴的なデザインを取り込みながら、これまでのNissan GT-R NISMO GT500の速さと強さのDNAを継承しつつ、2017年のSUPER GTの技術規則に沿って開発された。

昨年11月に公開した新型車は、日本国内やマレーシアのセパンでテストを行い、開幕戦まで更なる改良を続けていく構え。

そして両社は、モータースポーツの歴史に燦然と輝くGT-Rの名に恥じない、さらに強く、競争力の高い車両を目指していくと述べた。

GT3、デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)、LM P1(プライベーター向け)、LM P3エンジンなどの国際的なレーシングプログラムを強化

2.カスタマーレーシングプログラム
日産/ニスモは、レースカーやエンジンを世界各国に供給するカスタマーレーシングプログラムを拡大していく。

1) カスタマーレーシング – GT3 プログラム
2012年に販売を開始したNissan GT-R NISMO GT3は、これまで33台を販売し、日本、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、中国でレースに参戦してきた。

2016年には20台が世界各地でレースシリーズに参加し、スーパー耐久シリーズのST-Xクラスチャンピオン獲得をはじめ、各国のレースで勝利を挙げた。

ニスモは、2017年も引き続きNissan GT-R NISMO GT3のカスタマーへ、車両供給、及び技術支援を行う。

日産/ニスモは、SUPER GT、スーパー耐久等に参戦するカスタマーチームに技術支援を行うと共に、以下のレースに参戦するチームを支援していく。

– ブランパンGTシリーズ エンデュアランスカップ
日産/ニスモは ブランパンGTシリーズのエンデュアランスカップ(プロクラス)にボブ・ネヴィルを監督として参戦するTeam RJN NISSANを引き続き支援する。

ドライバーは、日産のグローバルなモータースポーツファミリーから、2015年のチャンピオンペアである千代勝正/アレックス・バンコムと、2008年の初代GTアカデミー勝者のルーカス・オルドネスが選ばれた。

– SUPER GT GT300クラス
若手ドライバーの育成に主眼を置いたNDDP Racingは、SUPER GT GT300クラスに高星明誠を起用します。高星の指導役として星野一樹がペアを組んで参戦する。チーム運営は、昨年に引き続きB-MAXが行う。



– スーパー耐久シリーズ ST-Xクラス
KONDO Racingは、2016年にシリーズチャンピオンを獲得したスリーボンド日産自動車大学校GT-Rで2連覇を目指して今年もST-Xクラスに参戦する。

ドライバーの一人には、藤井誠暢が名を連ねている。このKONDO Racingと日産自動車大学校とのコラボレーションは、教育とモータースポーツを結びつけたユニークな活動を今期も続けて行く。

日産とニスモは、大幅な戦闘力向上を目指し、Nissan GT-R NISMO GT3(R35)エボルーション車の開発に着手

Nissan GT-R NISMO GT3(R35)エボルーション車の開発
日産/ニスモは、競争が激化するGT3市場での大幅な戦闘力向上を目指し、2018年に向けてNissan GT-R NISMO GT3(R35)エボルーション車を開発する。

開発ドライバーには柳田真孝とミハエル・クルムを起用して、日本及び欧州でのテストを含めた開発を行う。

2) カスタマーレーシング – エンジンサプライプログラム
日産/ニスモは、エンジンサプライプログラムを拡大します。今季は新たに、IMSAのデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)とFIA世界耐久選手権(WEC)のLM P1クラスのプライベーター向けエンジンを供給する。

WECのLM P2クラスでのエンジン供給では、昨年、過去5年で37勝という成績で終えた。日産/ニスモは、グローバルに拡大を続けているLM P3クラスへのエンジン供給を継続していく。

– IMSA デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)
日産/ニスモは、新たにDPi車両向けのGT3仕様をベースとしたVR38エンジンを、米国フロリダを本拠地とするエクストリーム・スピード・モータースポーツ(ESM)に供給し、技術支援を行う。ESMは、2017 IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に2台で参戦する。

FIA 世界耐久選手権(WEC) LM P1
日産/ニスモは、V6ターボ3.0リッターエンジン(VRX30A evo.)を新たにドイツをベースとするプライベートチームのバイコレスレーシングチームに供給し、技術支援を行う。バイコレスは、FIA WECのLM P1クラスに参戦する。

– LM P3 各シリーズ
日産/ニスモは、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズやミシュラン・ル・マン・カップ、アジアン・ル・マン・シリーズ等に参戦するチームに、3年間で111基供給した実績のあるVK50エンジンを供給し、さらに技術支援を行う。なお両社は、LM P3クラスの人気が今年も拡大し、グリッド上での日産の存在がさらに大きなものとなると見ている。

3.ドライバー育成
日産/ニスモは、若手ドライバーのレース参戦を引き続き支援する。

具体的には、前述のSUPER GT GT300クラスへのエントリーに加え、高星明誠の全日本F3選手権への参戦を支援。また、高星のエグゼクティブアドバイザーとして、GT500ドライバーの本山哲がチームに加わる。

4.その他の活動
オーストラリア: スーパーカーズ選手権
日産は、アルティマでオーストラリアのスーパーカーズ選手権に継続参戦。ドライバーは、リック・ケリー、トッド・ケリー、マイケル・カルーソに加え、新たにシモーナ・デ・シルベストロが参戦していく。

以上、今期のニッサン・モータースポーツ・インターナショナルの活動発表にあたり、株式会社ニスモCEOの片桐隆夫氏は、「今年はSUPER GTのGT500クラスに17年仕様のGT-R NISMOをベースとした新型車で参戦します。

なんとしてもシリーズチャンピオンを奪還するという固い決意で、クルマ、組織、体制といったあらゆるものを見直し、これまで以上の準備を行っています。

チーム体制も4チームそれぞれがタイトルを狙える強力な布陣としました。今年も全力で戦いますので、ファンの皆様にはこれまで同様の熱い応援をお願いいたします。

また、今年はグローバルなカスタマーレーシングプログラムを強化していきます。

世界各国で戦うNissan GT-R NISMO GT3の技術支援と並行して、Nissan GT-R NISMO GT3エボルーション車の開発にも取り組みます。

欧州メーカーや新たに投入されてくるライバル勢など、数あるGT3車両の中からGT-Rを選んでいただけるよう、戦闘力の高い車両といたしますので、こちらもご期待ください。

そして、エンジンサプライプログラムも拡大してまいります。

デイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)や、世界耐久選手権(WEC)のLM P1 (プライベーター)、LM P3各シリーズ等、世界各地の著名なレースで各チームが好成績をあげられるよう、戦闘力の高いレーシングエンジンと、LM P2で培った技術支援を提供していきたいと考えています。

併せてNISMOブランドにとって、多くのお客様に手軽にモータースポーツを参加・体験していただくことも我々の大事な使命と考えております。

その取り組みの一環として、NISMOロードカーのラインアップの拡充やドライビングエクスペリエンスの場の提供などにも積極的に取り組みます。

モータースポーツを通した様々な、わくわくを皆様にお届けしてまいります」と結んでいる。