ＦＩＡフォーミュラ・ワン世界選手権、第６戦モナコＧＰ（開催地：モナコ、モンテカルロ市街地コース<コース全長：３.３３７km・決勝７８周>、開催期間：５月２６～２９日）の予選セッションが、現地時間５月２８日（土曜日）の１４時から実施された。

まずその結果だが、ここのところの定説を覆したレッドブルのダニエル・リカルドが、ポール・ポジションを獲得している。

メルセデス以外が、ＰＰスタートを切るのは今季初というだけでなく、リカルド自身、モナコでのＰＰ獲得は初との事となった。またスーパーソフトタイヤを履いてＱ２のベストタイムを叩き出したことも特筆に値する成果だ。

これに続いたのがニコ・ロズベルクと、ルイス・ハミルトンのメルセデス陣営。

期待のマクラーレン・ホンダ勢は、フェルナンド・アロンソ（スペイン）がＱ３進出を果たして１０番手（決勝スタート時には他のドライバーの降格により、９番手スタートとなる見込み・後述）、ジェンソン・バトンが１３番手となった。

フォーミュラ・ワン世界選手権は、ヨーロッパラウンドに於ける最初の佳境となる第６戦を迎え、難攻不落のモナコ市街地のクラシックコースが舞台となる。

コースそのものは１９５０年の初開催以来、ほぼ不変。ＧＰ開催中の夕方を含め、一般道路として普段から使われているため、トラックコンディションはグリップレベルが低く、その状態も猫の目のように変わる厄介なコースだ。

レースでは、市街地コース特有のパンピーさにより、マシンの上下動が大きくソフトなサスペンション設定となる。このため中低速コーナーからのトラクションを活かし切ったチームに勝機がある。

前日のフリープラクティスでは、当初、ルイス・ハミルトンと、ニコ・ロズベルグが好タイムを記録していのだが、それをレッドブルのリカルドが巻き返し、さらにセバスチャン・ベッテル（フェラーリ）がそれを上回るという接近戦が繰り広げられ、上位４名が０.０６秒以内に収まる事態となった。

そして明けて２８日の公式予選、気温２１度・湿度５３％・路面温度４０度のドライコンディション下で、Ｑ１のスタートが切られた。

ところが開始早々の段階で、フェリペ・ナッセ（ザウバー）のマシンがエンジントラブルでストップ。まだコースインをしていないドライバーが控えているなか、なんとセッション中断となってしまった。

程なく再開したＱ１で、セバスチャン・ベッテル（フェラーリ）がトップタイムをマークする。しかしマックス・フェルスタッペン（レッドブル）がサスペンション破損でクラッシュ。これでＱ１は再度中断された。

その後、残り６分を残した段階で２度目の再開。ここでフェルナンド・アロンソ（マクラーレン）がようやくタイムを刻んでＱ１順位で１１番手に食い込む。

結果Ｑ１敗退は、マーカス・エリクソン（ザウバー）、ジョリオン・パーマー（ルノー）、リオ・ハリアント（マノー）、パスカル・ウェーレイン（マノー）、マックス・フェルスタッペン（レッドブル）、フェリペ・ナッサー（ザウバー）の６名となった。

続くＱ２では、全車がウルトラソフトタイヤでタイムアタックに望むなかで、リカルドはひとりスーパーソフトタイヤを履いて自己ベストを更新した。

結果Ｑ２敗退は、バルテリ・ボッタス（ウィリアムズ）、グエステバン・グティエレス（ハース）、ジェンソン・バトン（マクラーレン）、フェリペ・マッサ（ウィリアムズ）、ロマン・グロージャン（ハース）、ケビン・マグヌッセン（ルノー）の６名となった。

続くＱ３では、リカルドが早くも１分１３秒６２２を記録してトップポジションをキープ。これにロズベルグ、ベッテル、ライコネン、ヒュルケンベルグが続く。

当初、エンジントラブルでピットに逆戻りしていたハミルトンは、最終ラップでロズベルグに次ぐ３番手のタイムを刻む。

以下、ベッテル、ヒュルケンベルグ、ライコネン、サインツ、ペレス、クビアト、アロンソとなった。

但しライコネンは、２日目の２８日のフリープラクティスでギアボックスを交換したため、５グリッド降格処分となる。なお決勝レースは、２９日（日）の１４時（日本時間２１時）から実施される予定だ。

 

以下はマクラーレン・ホンダ陣営の予選終了後のコメント

フェルナンド・アロンソ
MP4-31-04
FP3
12番手 1分16.257秒(トップとの差 +1.607秒) 24周

予選
Q1 11番手 1分15.504秒(オプションタイヤ)
Q2 10番手 1分15.107秒(オプションタイヤ)
Q3 10番手 ※ 1分15.363秒(オプションタイヤ)
※キミ・ライコネン選手(Ferrari)が5グリッド降格ペナルティを受けるため、決勝は9番手からスタート

「Q1では赤旗によるセッション中断があったため、それによって少し神経をすり減らす結果となった。その時点で、セッション終了まで6分しか残っておらず、私はまだタイム計測をしていなかった。

我々の今日の目標はQ3に進出することだったが、マシンにはまだ十分に満足していない。

マシンに対する感触が完ぺきではないため、コーナーで十分にアタックできるほどの自信が持てないからだ。

今週末を迎える前の我々の予想は、少し楽観的過ぎたかもしれない。ただ、明日なにが起こるのかを愉しみにしておきたい。

明日のレースで我々が最も有利となるためには、雨か雪などが必要となるだろうが、悪天候によって、できればそうしたレース展開となるよう願っている。いずれにしても、明日の決勝で、幾つかポイントを獲得できれば嬉しい」

ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP3
13番手 1分16.298秒(トップとの差 +1.648秒) 23周

予選
Q1 13番手 1分15.554秒(オプションタイヤ)
Q2 13番手 1分15.352秒(オプションタイヤ)

「Q1のラップはいいように感じたのだが、その後、サーキットのグリップが増すにつれて、マシンのバランスが悪化した。

Q2の最後の走行では、3コーナーで左フロントタイヤをロックし、オーバーヒートしたため、その後はフロンドエンドのグリップを失ってしまった。

ただ、モナコではどんなことも起こりえる。通常、1コーナーではさまざまなアクシデントが生まれるが、それ以降は前方のマシンを追従するだけとなる。

もちろん10コーナー(ハーバーシケイン)で、他のマシンの内側に飛び込んでオーバーテイクすることは可能だが、我々のマシンの場合は、コーナーに辿り着く頃には、前方のマシンから引き離されてしまっているだろう。明日は雨が降ることを願っている」

エリック・ブーリエ
McLaren-Honda Racing Director
「当然のことながら、ここモナコでの我々の予選パフォーマンスは残念な結果でした。

こういった曲がりくねったサーキットでは、我々のマシンは他の一部のライバルよりも、もう少しいい走りをすると期待していたからです。

いずれのドライバーも、ここでのマシンのバランスには十分に満足していませんでしたが、2人とも懸命な走りを見せてくれて、ラップをうまくまとめてくれました。

Q3に進出できたのが1台だけだったことは残念ですが、それは我々が努力しなかったからではありません。

明日は雨が予想されており、ここモナコで雨が降れば、言わずと知れた予測不可能なレースとなるでしょう。その場合、どんなことも起こりえます。

両ドライバーがポイント圏内で完走することが、我々の目標です」

長谷川　祐介｜(株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者

「予選ポジションが非常に重要となるここモナコで、アロンソ選手が再びQ3に進出できたことは非常に心強い結果となりました。

今週末を通して、初登場のウルトラソフト・タイヤの使い方に多少苦労していましたが、予選ではうまく走行をまとめられたと思います。

パワーユニットの観点では、バルセロナGP後にテストしたモナコ仕様のデータ調整が進み、ドライバビリティなどはうまくまとまっていると思います。

明日は、天候の変化やアクシデントなど予測不可能な事態も想定されるため、ベテラン・ドライバー2人のレースマネージメントに期待してポイント獲得を目指します」

２０１６Ｆ１モナコＧＰ予選結果
順位＿＃・ドライバー＿＿＿＿／チーム／Ｑ１＿Ｑ２＿Ｑ３
１＿＿３・Ｄ．リカルド＿＿＿＿
／レッドブル＿＿1分14秒912＿1分14秒357＿1分13秒622
２＿＿６・Ｎ．ロズベルグ＿＿＿
／メルセデス＿＿1分14秒826＿1分14秒043＿1分13秒791
３＿＿44・Ｌ．ハミルトン＿＿＿
／メルセデス＿＿1分14秒826＿1分14秒056＿1分13秒942
４＿＿５・Ｓ．ベッテル＿＿＿＿
／フェラーリ＿＿1分14秒610＿1分14秒318＿1分14秒552
５＿＿27・Ｎ．ヒュルケンベルグ
／Ｆインディア＿1分15秒333＿1分14秒789＿1分14秒726
６＿＿７・Ｋ．ライコネン＿＿＿
／フェラーリ＿＿1分15秒499＿1分14秒499＿1分14秒732
７＿＿55・Ｃ．サインツＪｒ．＿
／トロロッソ＿＿1分15秒467＿1分14秒805＿1分14秒749
８＿＿11・Ｓ．ペレス＿＿＿＿＿
／Ｆインディア＿1分15秒328＿1分14秒937＿1分14秒902
９＿＿26・Ｄ．クビアト＿＿＿＿
／トロロッソ＿＿1分15秒384＿1分15秒794＿1分15秒273
10＿＿14・Ｆ．アロンソ＿＿＿＿
／マクラーレン＿1分15秒504＿1分14秒107＿1分15秒363
11＿＿77・Ｖ．ボッタス＿＿＿＿
／ウイリアムズ＿1分15秒521＿1分15秒273
12＿＿21・Ｅ．グティエレス＿＿
／ハース＿＿＿＿1分15秒592＿1分15秒293
13＿＿22・Ｊ．バトン＿＿＿＿＿
／マクラーレン＿1分15秒554＿1分15秒352
14＿＿19・Ｆ．マッサ＿＿＿＿＿
／ウイリアムズ＿1分15秒710＿1分15秒385
15＿＿８・Ｒ．グロージャン＿＿
／ハース＿＿＿＿1分15秒465＿1分15秒571
16＿＿20・Ｋ．マグヌッセン＿＿
／ルノー＿＿＿＿1分17秒253＿1分16秒058
17＿＿９・Ｍ．エリクソン＿＿＿
／ザウバー＿＿＿1分17秒299
18＿＿30・Ｊ．パーマー＿＿＿＿
／ルノー＿＿＿＿1分16秒586
19＿＿88・Ｒ．ハリアント＿＿＿
／マノー＿＿＿＿1分17秒295
20＿＿94・Ｐ．ウェーレイン＿＿
／マノー＿＿＿＿1分17秒452
21＿＿33・Ｍ．フェルスタッペン
／レッドブル＿＿1分22秒467
22＿＿12・Ｆ．ナッセ＿＿＿＿＿
／ザウバー＿＿＿–