マクラーレン・ホンダ、新型F1マシン「MP4‐31」を公開


マクラーレン・レーシング・リミテッド(McLaren Racing Limited、所在地:英サリー州ウォキング、グループ代表:ロン・デニス)と、本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)によるフォーミュラONEレーシングチームのMcLaren‐Honda(マクラーレン・ホンダ)は、3月18日(金)にオーストラリアで開幕する2016 FIA※フォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の参戦に先立つ2月21日、新型マシン「MP4‐31」を公開した。

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-6

この「MP4‐31」には、ホンダが開発し、最先端のハイブリッド技術とコンパクトなレイアウトが特長のパワーユニット「Honda RA616H」を搭載することで、マシンの空力特性をさらに高めたデザインを実現している。

なお、チームは2月22日(月)から始まるスペイン・バルセロナのテストで、実戦に向けた調整を行う。

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-2

■フェルナンド・アロンソ選手のコメント
「新しいシーズンの始まりは、たくさんの期待感が入り交り、いつも特別な気持ちになります。

昨年は、McLaren‐Hondaにとって新しい船出となり、多くの注目を浴びた一方で、厳しくも学ぶことが多いシーズンでした。

シーズンオフの間、ハードなトレーニング、家族との楽しい時間、チームとの開発状況の確認など、非常に有意義に過ごすことができました。

ウォーキングそしてさくらの仲間たちは、テストに向け、すばらしい仕事をしてくれました。空力パッケージは細部に渡り、良く仕上がっていて、マシン全体も見事です。今シーズンのチャレンジに向け、準備万端です」

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-3

■ジェンソン・バトン選手のコメント
「オフシーズンの間、MP4-31を懸命に開発してくれたチームメイトたちを誇りに思うと同時に、今シーズンへの私のモチベーションにつながっています。

昨年は山あり谷ありのシーズンでしたが、それでも着実に進化できたことは、自信につながりました。前に進むためのポジティブな要素と体制が整っています。

空力面を取っても、マシンは素晴らしいです。バルセロナでのテスト初日のドライブが本当に待ち遠しいです」

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-19mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-8mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-17

■McLaren Technology Group ロン・デニス CEOのコメント
「昨年、新たに参戦を果たし、2シーズン目となるMcLaren‐Hondaは、勝利という共通のゴールを目指し、一丸となって開発を進めています。

いつ勝てるのかを予測するのは容易ではありませんが、このオフ・シーズンの数ヵ月、開発に専念したチームの努力に敬意を表します。

自動車メーカーとともに挑む体制こそ、現在のF1で唯一成功を収められるのです。昨年に直面したチャレンジングなシーズンを経て、私たちの絆は深まり、『共に戦い、共に勝つ』という意思はより強固なものになりました」

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-16

■株式会社本田技術研究所 専務執行役員 F1プロジェクト総責任者 新井 康久のコメント
「オフシーズンの間、2016年の準備を着々と進めることができました。また、マクラーレンのエンジニアと共に昼夜の作業を行うことで、チーム内の連携強化も図れました。

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-10

今年のパワーユニットは基本コンセプトを変えず、昨シーズンのレースデータを元に、課題となっていたコンプレッサー周りなどを中心に、ハードウェアを進化させています。

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-13

明日からのテストでは、まずシャーシと新しいパワーユニットとのマッチングや、ERSの特性などを確認することに注力します。テストを通じて得たデータを分析し、開幕戦のメルボルンに備えたいと思います」

McLaren-Honda 「MP4-31」 主要諸元

シャシー
モノコック カーボンファイバーコンポジット製
安全機構 コックピット・サバイバル・セル
(耐衝撃構造、貫通防止パネル、車体前部・側部・後部の衝撃力緩和構造、前後のロール構造)
ボディワーク カーボンファイバー・コンポジット製。エンジンカバー、サイドポッド、フロア、ノーズ、フロントウイング、リアウイング、ドライバー操作による空気抵抗低減システム(DRS)
フロントサスペンション カーボンファイバー製ウィッシュボーン。プッシュロッド方式トーションバー、ダンパーシステム
リアサスペンション カーボンファイバー製ウィッシュボーン。プルロッド方式トーションバー、ダンパーシステム
重量 702kg(ドライバー重量を含む、燃料は含まず)
重量配分は45.5%~46.5%
電子機器 マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ製。シャシー制御とパワーユニット制御、データ収集機器、センサー、データ解析およびテレメトリー・システムを含む
計器類 マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ製ダッシュボード
潤滑油 モービリス SHC 1500グリース
高温のドライブシャフトのトライポッドジョイントを潤滑モービリス SHC 220グリース
セラミック・ホイールベアリングの回転抵抗を最小限に抑えるモービリス SHC油圧オイル
高圧・高温の油圧オイル。シャシー、トランスミッション、パワーユニットのアクチュエーターに使用
ブレーキシステム Akebono製ブレーキキャリパー、マスターシリンダー
Akebono製“ブレーキ・バイ・ワイヤ”ブレーキコントロールシステム
カーボン製ディスク、パッド
ステアリング ラック・アンド・ピニオン型パワーステアリング
タイヤ ピレリ製P Zero
ホイール エンケイ製
無線機器 ケンウッド製
塗装 シッケンズ製品によるアクゾノーベル・カー・リフィニッシュ・システム
パワーユニット
型式 Honda RA616H
最小重量 145kg
パワーユニットコンポーネント エンジン
MGU-K
MGU-H
エネルギー貯蔵装置
ターボチャージャー
コントロールユニット
エンジン
排気量 1.6L
気筒数 6気筒
バンク角 90度
バルブ数 24
最大回転数 15,000rpm
最大燃料流量 100kg/時(10,500rpm)
燃料搭載量 100kg
燃料噴射方式 直噴(1シリンダーあたり1噴射器、最大500bar)
過給機 同軸単段コンプレッサー、タービン
燃料 エクソンモービル製ハイパフォーマンス無鉛燃料(5.75%はバイオ燃料)
潤滑油 モービル1 レーシングオイル
エネルギー回生システム
機構 モーター・ジェネレーター・ユニットによるハイブリッド・エネルギー回生。MGU-Kはクランクシャフトに、MGU-Hはターボチャージャーに接続
エネルギー貯蔵装置 リチウムイオンバッテリー(20~25kg)
1周あたり最大4MJを貯蔵
MGU-K 最大回転数
50,000rpm最大出力
120kW最大回生量
1周あたり2MJ
MGU-H 最大回転数
125,000rpm最大出力
無制限最大回生量
無制限最大エネルギー放出量
無制限
トランスミッション
ギアボックス カーボンファイバーコンポジット製ケース、縦置き
ギア数 前進8速、後退1速
ギア操作 電動油圧式シームレスシフト
デフ 遊星歯車構造の多板リミテッド・スリップ・クラッチ式ディファレンシャル
クラッチ 電動油圧式カーボン製多板クラッチ
潤滑油 モービル1 SHCレーシングギアオイル
トラクション・ロスを低減し、ギアとベアリングを高効率に潤滑・冷却

新型マシン「MP4‐31」に関する詳細:
http://www.honda.co.jp/F1/race2016/formation/mp4-31/

※FIAとは、Federation Internationale de l’Automobile(国際自動車連盟)の略称

mclaren-honda-publish-a-new-machine-mp4-3120160221-20