4億5,000万ポンド（約832億円）を投じて「エンジン・マニュファクチュアリング・センター（EMC：Engine Manufacturing Centre）」を２倍に
ジャガー・ランドローバー（Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社：英国・コベントリー、ＣＥＯ：ラルフ・スペッツ＜Ralf Speth＞）は、4億5,000万ポンド（約832億円）を投じる拡張プログラムの一環として、「エンジン・マニュファクチャリング・センター（EMC：Engine Manufacturing Centre）の面積を2倍に拡大する計画を発表した。
今回の施策は、ジャガー・ランドローバーが英国製造業屈指の投資企業として、英国への長期的なコミットメントを示すことを示すために計画したもの。
こうした背景を踏まえ昨年、同社が開設したEMCへの投資総額は、既に10億ポンド（約1,850億円）に上り、英国内の自動車製造施設としては、過去10年間で最大規模となっている。
この拠点EMCはミッドランド州に位置し、今世代初となるジャガー・ランドローバー内製エンジンのなかで、最も高い技術力を背景に、優れた環境性能に裏打ちされたINGENIUM（インジニウム）エンジンの開発拠点でもある。
同拠点では、およそ12か月でプロトタイプの製造から量産体制へと移行し、現在、INGENIUMエンジンを筆頭に5万台超のエンジンを製造しているという。なおINGENIUMエンジンは、2015年4月にジャガー「XE」に初搭載し、その後「ディスカバリー・スポーツ」にも搭載された。
両モデルは、これまでに計6万5,800台を販売。現在EMCは、ジャガー・ランドローバーに於ける英国製造事業の中核を担い、3つの車両製造工場にエンジンを供給。
最新鋭車の「レンジローバー・イヴォーク」や「XF」のほか、ほどなくジャガー初のパフォーマンスSUVとして世界各国で本格的な発売計画が実される「F-PACE」にも、EMC製エンジンが搭載されている。
そんなEMCでは、世界のジャガー・ランドローバー車に安定的にパワーユニットを提供し続けるため、施設の敷地面積を現在の倍にあたる20万平方メートルに拡張して、生産能力の強化を図っている。
こうした取り組みに際して、ジャガー・ランドローバー最高経営責任者（CEO）のラルフ・スペッツ博士は、「英国における高度な製造施設にこのような大規模投資が行えることを、大変誇りに思っています。
また今回の拡張によって新規雇用を創出できることに大きな期待を寄せています。EMCは、ジャガー・ランドローバーにとって重要な戦略的施設です。
EMCを拡張するという決断は、よりクリーンかつ効率的なエンジンを求めるお客様のご要望にお応えするとともに、英国が世界的な競争力を維持するために必要なスキルと能力を持つ人材を育成するという、当社のコミットメントを明確に示すものです。
EMCの拡張により、新たに数百人もの新規雇用を創出することとなり、ジャガー・ランドローバーの従業員数は、来年までに全世界で4万人超となる見込みです。
EMC開設からわずか12か月で約700名を雇用し、現在も継続して採用活動を行っています。
本プロジェクトのメンバーとして2011年に採用し、実習生として働いてきた第1期生8名の社員は、ジャガー・ランドローバーの業界をリードするプログラムを経て、現在ではEMC内およびより広範なパワートレイン部門で重要な役割を担っています」と述べた。
また今後、英国の将来を担う人材のひとりであるEMC最初の実習生のローレン・クイン氏は、「EMCで過ごした実習生としての時間は、私の期待をはるかに上回るものでした。
5年前に夢見ていた未来が、現実のものとなりました。2011年に入社した当初、私はこのプロジェクトを担当する8名の正社員のうちのひとりでしかなく、工場の敷地もまだ更地でした。
その後、わずかな期間でここまでの規模となり、世界レベルのチームの一員となれたこと、そしてこれからのジャガー・ランドローバーの主要施設となるEMCの誕生に立ち会えたことを、心から誇りに思います」とコメントした。
これを受けてジャガー・ランドローバーは、「EMCは、ジャガー・ランドローバーが所有する英国の4つの製造施設*のひとつです。
コベントリーとゲイドンの研究開発センターと合わせて、ジャガー・ランドローバーは総額110億ポンド（約2兆333億円）を製品開発と施設に投じ、この5年間で2万人を超える新たな雇用を創出しています」と語った。
*ジャガー・ランドローバーの英国における4つの製造工場は以下の通り。
■エンジン・マニュファクチュアリング・センター（EMC：Engine Manufacturing Centre）
敷地面積:10万平方メートル（サッカー競技場14面に相当）
従業員数:700名（フル稼働時は1,400名）
製造:INGENIUMエンジン・ファミリー（現在は、超低排出4気筒ディーゼル・エンジン）
投資額:5億ポンド（約925億円）を、機械加工と組み立てホールを組み込んだ最先端設備 に投入
■ソリハル
敷地面積:300エーカー（≒121万4,100m2）
従業員数:9,000名（5年間で2倍に増員）
製造:ランドローバー「ディフェンダー」、「レンジローバー」、「レンジローバー・スポーツ」、「ディスカバリー」、ジャガー「XE」
世界的な需要を満たすため、3シフト制で24時間稼働し、生産規模は5年間でほぼ3倍に増加
投資額:過去5年間の投資総額は15億ポンド（約2,775億円）
– 3億7,000万ポンド（約685億円）を投じて、「レンジローバー」「レンジローバー・スポーツ」の車両軽量化に関する専門知識を強化
– 欧州最大のアルミニウム車体工場と最先端の最終組み立てホールに5億ポンド（約925億円）を投じて、ジャガー「XE」と「F-PACE」の製造をサポート
– 2,100万ポンド（約38億円）を投じて、世界的な需要の高まりに対応するために31エーカー（≒12万5,500平方メートル）の最新発送施設を建設
■キャッスル・ブロムウィッチ
敷地面積:112エーカー（≒45万3,264平方メートル）
従業員数:3,700名
製造:ジャガー「Fタイプ」、「XJ」、新型「XF」を含む、オール・アルミニウムのラインアップ
投資額:工場単独では歴史的な大規模投資となる4億ポンド（約740億円）を投じ、新型「XF」の製造をサポート
– 最先端のアルミニウム車体工場に3億2,000万ポンド（約592億円）を投資。ジャガー・ランドローバー全体で最もフレキシブルで拡張性の高い工場であり、現行のジャガーの全ラインアップに対応可能
– ブランカー製造ライン新設に1,600万ポンド（約29億6,000万円）
– Aidaプレスライン新設に5,000万ポンド（約92億5,000万円）
– トリムと最終組み立てホール増設に3,000万ポンド（約55億5,000万円）
■ヘイルウッド
敷地面積:300エーカー（≒121万4,100平方メートル）
従業員数:4,200名（5年間で3倍に増員）
製造:ジャガー・ランドローバー史上最速の販売台数を記録した「レンジローバー・イヴォーク」と「ディスカバリー・スポーツ」
投資額:2010年以降の投資総額は5億ポンド（約925億円）
– 「レンジローバー・イヴォーク」の市場投入サポートに2億5,000万ポンド（約462億円）
– 工場全体の改良、「ディスカバリー・スポーツ」の市場投入サポートに2億ポンド（約370億円）
– Aidaプレスライン新設に4,500万ポンド（約83億2,500万円）
※以上1ポンド＝185円にて換算（2015年11月27日現在）