11月15日まで「福岡キャンピングカー&アウトドアショー2015」を開催している一般社団法人日本RV協会(所在地:東京都町田市、会長:増田浩一、以下、日本RV協会)は、車両利用による宿泊施設である『RVパーク』を利用したキャンピングカーユーザーがどれだけいるのか、また利用したときの印象は、どのようなものだったかを調査した。
結果、RVパークを利用したキャンピングカーユーザーは、まだ回答者の4割弱に過ぎなかったが、AC電源設備やゴミ処理システムを高く評価し、公認された場所での宿泊に安心感を得たという声が多数を占めた。
また施設管理者に対して、好印象を持った利用者が多く、リピーターとして、その施設を再訪問する意欲も高いことが分かった。
RVパーク整備の取り組みは4年目・展開数は延べ58施設に
日本RV協会が同調査を実施した背景は、キャンピングカーユーザーや車中泊者のための公認された宿泊施設として、同協会が整備を進めてきたRVパークが今年で4年目を迎え、この11月9日現在で58件を数えるようになったことによる。
これを踏まえ、施設の利用比率はどのくらいなのか、また利用者の評価はどのようなものであるかを、協会ホームページを通じてアンケート調査を行った。
調査対象となったユーザーの回答数は約300件であり、そのうちの63.3%が「まだ利用したことがない」と回答しており、全体としてのRVパークの利用率は、まだそれほど高まってはいないことが判った。
一方で利用ユーザーの使用頻度は高く、「2回~5回」という回答が16.4%に上り、「1回」(15.7%)という回答を上回った。さらに「6~9回」、「10回以上」という回答もあった。
また、RVパークに付随する設備におけるAC電源の利用率を調べると、「必ず電源を利用する」と答えたユーザーが67.2%に達している。
さらに、「ほとんどの場合利用する」、「利用するかしないかは半々ぐらい」という回答まで含めると、83.6%のユーザーが電源設備を積極的に利用していることが分かった。
対して「AC電源を利用しない」人にその理由を尋ねると、「サブバッテリーに充電していた電気でまかなえると思った」(59.6%)、「AC電源に頼るほどの電装品を装備していない」(25.5%)などの回答が得られた。
また、RVパークには、旅行中に生じたゴミを処理できるシステムが整備されているが、このシステムを利用しているユーザーが多いことも分かった。
詳細をみると、「だいたいゴミ処理をお願いしている」(33.3%)、「生ゴミなどが溜まって旅行に支障が出るときに利用する」(30.8%)となり、合わせて6割強の人がゴミ処理を依頼している状況が判明した。
ただ中にはマナーの観点から、「ゴミは持ち帰りをモットーにしているので利用しない」、「ゴミの出ないような旅行を心掛けている」という声も聞かれた。
公認された場所で宿泊できることへの高評価
このたびの調査では、「RVパークを利用したときにいちばん“ありがたかった”と感じられたものは何か」という設問も設けた。
すると、ここでもやはり「AC電源が使えるので電気を使用することへの不安がなかった」(38.0%)という回答がトップに立った。
これに続き、「宿泊することが公認された場所なので、安心感があった」(32.4%)という回答が挙がっている。その回答から、宿泊がはっきりと公認されたわけではなかった道の駅などに泊ることに“後ろめたい”気分を抱いていたユーザーが多かったことが推測される。
では、RVパークの利用者は、その管理者にどのような印象を持ったのかを尋ねてみたところ、「たいへんよく対応してもらったので、利用して良かった。ここなら何度も来てみたいと思った」という回答がほぼ半数(49.5%)に上っている。
同回答に、さらに「普通の対応だったが、印象は悪くなかった」(40.4%)という回答を含めると、利用者の約9割が、泊った場所の管理者に好印象を抱いていることが判った。
それに対し、「事務的な対応をされたので、多少味気ない思いをした」、「管理者が慣れていなかったのか、あまり対応が良くなかった」という回答はすべて合わせて1割となっている。
RVパーク管理者も「集客につながった」と満足感を表明
このようなユーザー側の感想に対し、RVパークの管理者側はこのRVパークというシステムをどう評価しているのか。
同協会が、この調査とは別にRVパーク管理者に対してアンケート調査を行ったところ、管理者サイドにおいても、概ねRVパークの評価が高いことが判っている。
管理者側のアンケート調査から、記述式の回答欄に寄せられたメッセージの中から代表的な声を拾ってみると、「RVパークが車中泊をしている他の乗用車へのマナー啓蒙の役目を果たしている。新たな集客分野として期待できる」
「(母体の)ホテルが満室でも売り上げがアップした。館内のその他のサービスも利用してもらえので、トップシーズンの売り上げが増えた」などという声が届いている。
しかし、中には次のような悩みを訴える管理者もいる。「遠方から来られる利用者のマナーの悪さが目立つ。指示してもゴミの分別ができていない。断りもなく勝手に洗車をする。
車外の調理を禁じているのに堂々と料理を作る。(協会で)RVパークを利用するときのマニュアルなどを作成し、啓蒙してほしい」(※RVパークによっては車外の調理を認めている所もある)
など一部、ネガティブな感想を寄せた管理者も居たが、大半の管理者はRVパークを高く評価し、利用者のさらなる増加に期待を寄せているようだ。
ユーザーのもっとも望むものは、RVパークの増加とその全国展開
最後に、RVパークに対する将来の希望として、キャンピングカーユーザーがいちばん望んでいるものは何かということを調査した。
その結果、「さらに全国に普及させてほしい」という意見が61.7%を占めた。
それ以外の回答が分散していることを考えると、現時点でユーザーの主たる希望はRVパークの数が増えて、それが全国展開していくことに尽きるようだ。
ちなみに、それ以外の少数意見を拾ってみると、「景色が良い、見晴らしが素晴らしいなど、ロケーションの良い場所を増やしてほしい」(9.3%)
「料金・宿泊システムや施設の充実度がまちまちなので、統一基準を設けるかグレード分けを公表してほしい」(9.3%)
「電源などは必要ないから、料金を安くしてほしい」(6.2%)
「夏場のエアコンも心配なく駆動できるように、供給される電源のアンペア数を統一してほしい」(6.2%)
「基本的に中サイズの自走式車両に対応しているものが多いので、大型車両やトレーラーも苦労なく使える設備やスペースを確保してほしい」(5.6%)などといった希望が寄せられていた。
調査結果からのまとめ
今回の調査は、「RVパークを利用した人の意見」というテーマに限定したために、回答の集計数は、これまでの調査よりも若干少ないものとなった。
ただユーザーが実際にキャンピングカーを使い、現地のRVパークにおもむいて、自分の視たまま、感じたままの感想が反映しているため、非常に精度の高い調査結果になった。
またRVパークに付随する諸設備のなかで、AC電源の利用率が67.2%という高い利用率を示したことは、やはり近年のキャンピングカーの電装機器が飛躍的に充実してきたことを物語っている。
調査結果から同協会は、「全体通して伝わってくるものは、当協会が進めてきたRVパーク構想が、今や新しい『くるま旅』の形を実現し始めているという実感がある。
利用者が寄せたRVパークのメリットとして、『宿泊することが公認された場所なので安心感があった』という回答が挙がったことは、当協会が掲げてきた大きなテーマでもあったことから、うれしい評価だ。
マナーやモラルにもかかわる部分がユーザーの意識に浸透していることが確認できたことは、当協会にとっても今後の啓蒙活動への後押しになった」と述べている。
■調査概要
調査地域:全国
調査対象:日本RV協会ホームページ閲覧者
調査手法:Webアンケート
調査時期:2015年9月18日~10月17日
■団体概要
団体名:一般社団法人日本RV協会(JRVA)
代表者:会長 増田 浩一
所在地:〒194-0022 東京都町田市森野1-10-10ペアシティエンドウビル2-A
設立:1994年3月
事業内容:キャピングカー普及活動、ショー・イベントの開催、活動環境の整備・充実等
URL: http://www.jrva.com/