大分県のオートポリスで9月13日、2015年全日本選手権スーパーフォーミュラ第5戦の決勝レースが開催された。
結果は予選3位のポジションからジャンプアップしたNo.1 中嶋一貴選手(PETRONAS TOM’S SF14)が今季初優勝を獲得。
2位は結果的にランキング首位を堅守したNo.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)、3位はNo.8 小林可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)となった。
決勝レースは、外気温20度、路面温度27度のコンディション下でスタートが切られ、No.1 中嶋一貴選手(PETRONAS TOM’S SF14)がインからのトップポジションで1コーナーをクリア。
これに続く結果となったのがNo.8 小林可夢偉選手(Team KYGNUS SUNOCO SF14)、3番手にはスタートミスで後退したNo.38 石浦宏明選手(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が続く展開。
さらにNo.2 アンドレ・ロッテラー選手(PETRONAS TOM’S SF14)、No.7 平川亮選手(ACHIEVEMENT Team KYGNUS SUNOCO SF14)、11番グリッドから駆け上ってきたNo.19 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手(LENOVO TEAM IMPUL SF14)という布陣。
しかし3周目にロッテラー選手がジャンプスタートでドライブスルーペナルティーとなり5周目にピットイン。図らずも4番手を手にした平川選手だが、先行する3台に追走出来ず、徐々に後退する。
トップ3台のうち30周目に可夢偉がピットインしたが、コースに復帰した際、最後列を走るロッテラー選手の後ろに付いてしまいペースアップで難航する結果となってしまった。
その後、45周を終えたところで残る上位2台がピットイン。しかし給油のみで終えた中嶋一貴選手に対して、石浦選手は給油とフロントタイヤ交換を行ったことから、結果的に暖まったタイヤを温存した中嶋一貴選手がリードを保つ。
レース周回が残り3周となった時点で、タイヤが温まりペースを上げてきた石浦選手が中嶋一貴選手との差を徐々に削るのだが、最終的にトップを走る中嶋一貴選手が、タイヤ無交換ながら踏ん張りを見せて今季初優勝。シリーズランキングで2位に浮上した。
2位には7ポイント差で、シリーズ首位の地位を守った石浦選手。3位は後半なんとか追い上げて、今季2度目の表彰台獲得となった小林可夢偉選手。
以下、平川選手、デ・オリベイラ選手、ロシター選手、山本選手、国本選手まで入賞圏内に食い込んだ。
これによりドライバーズ・チャンピオン争いは、首位の石浦選手、2位の中嶋一貴選手、デ・オリベイラ選手、ロッテラー選手、小林可夢偉選手の5人となった。
ちなみに首位の石浦選手、2位の中嶋一貴選手、3位デ・オリベイラ選手は僅差による接戦。シリーズ終盤戦に向けて、3人がシリーズチャンピオンを争う展開が見えてきた。
【記者会見】
優勝 No.1 中嶋一貴(PETRONAS TOM’S SF14)
これまでずっと2位だったので優勝できて良かった。
非常に苦しいレースでしたが、狙いどおりのレースができました。とりあえずホッとしているのと、これまでずっと2位だった優勝できて良かった。
今朝のフリー走行ではトライしたセットアップがあまりうまく行きませんでした。でも走り出しのペースは悪くなかったので、決勝レースでは戦えるかなと思っていました。
レース途中で、タイヤは4輪交換したかったのですが、こっちが換えれば石浦選手は換えないだろうなと思ったし、かといって僕のクルマの感じからして前後どちらかだけを換えるという選択肢はありませんでした。
4輪換えるか換えないかという話をチームとずっとしていて、最終的に45周終了まで行ったら換えないということになりました。
レース終盤、ペースアップできたのはオーバーテイクボタンを押したから。コンマ3秒くらい上がりますね。それと自分自身のがんばりですかね(笑)。
2位 No.38 石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)
最後まで諦めずに走れたのは良かった。
今週はずっといい流れで行ってて、今朝の満タンの状態でもタイムが良かったし、常にいい流れでした。
唯一スタートだけが、ちょっとホイールスピンしちゃって、両側から一貴選手と可夢偉選手に挟まれる形で、ちょっと1コーナーで引くことになりました。
もしかしたら、ガソリン搭載量で軽いクルマがいるかもという思いがあったので、諦めずについていけばチャンスがあるかもと思い必死でした。
フロントタイヤ2本を交換する作戦は自分が決めました。でも換えてみたら想像以上にオーバーステアがひどくてちょっと最終コーナーでスピンしかけて危なかったんですが、ちょっとずつ慣れてきて追い上げることができました。
最後はオーバーテイクシステムも使い切って少しでもチャンスが生まれたら、と(チャンスを)待っていたのですが、一貴選手は全然ミスをしてくれなくて。ただ最後まで諦めずに走れたのは良かったかなと思います。
フロントタイヤの交換を決めたのは、タイヤを交換する前の段階で、上りセクションでは、荷重のない状態でハンドルを切っているので、結構アンダーステアでタイムが落ちているかなという感じがありました。
もちろんリアも落ちてくるんですが、どっちを換えたらタイムアップするかなと考えたときに、安易な考えではあったのですが、前を換えたらボトムスピードが上がるかなと思って決めました。
こからプッシュしたらものすごいオーバーステアで困りました。そこで走り方をあまりがんばらず、それなりに走ったらだんだんタイムも上がってきました。
一貴選手がミスをしてくれたら嬉しいなと思い、オーバーテイクボタンを押したんですが、あまり前に近づくと空力が乱れて危ない感じだったので、あれ以上はなかなか前との差を詰めることはできませんでした。
選手権ポイントは、昨日のポールポジション獲得で1点多く追加できたのが良かったです。
やっぱり毎戦同じようなメンバーで表彰台に上がっていると、あまりその差はかわりませんが、僕の中では最終戦でチャンピオン争いをしてそこで勝負かなと思います。なので次のレースでもそのチャンスを失わないように、できることならポイント差を広げて最終戦を迎えたいです。
3位 No.8 小林 可夢偉(Team KYGNUS SUNOCO SF14)
ロッテラー選手の後ろに付いてしまったのは計算外でした。
オートポリスでレースをするのが初めてで、ほとんどわからない状態でしたが、流れとしては悪くはなかったかと思います。一番のハイライトはというと、僕の戦略ですね。
今日、僕は誕生日なので運があると思っていたんです。だからスタートで前に立ったら逃げ切って、多分優勝できると思い、そこに賭けたんです。
今朝のフリー走行でペース的に僕のほうが石浦選手や一貴選手に若干負けているという気がしたので、まともに行っても勝負できないと思ったからです。
この戦略を採ったとしても表彰台には上がれるという自信はありました。でも普通に行ったら勝てないので違う戦略を採らなきゃいけないなと思ったんです。
自分たちの中でチャレンジした結果ですね。僕としては残念ながら運がなかったかなと思います。ペース的には、やっぱりちょっと負けている部分がありながらも、燃料が軽い分でカバーできたと思います。
残念ながらロッテラー選手の後ろに付いてしまったのは計算外でしたね。もし彼がいなければトップ集団についていけたので、そこが惜しいです。
それ以外は全体的にいい一週間だったなと思います。チームのみなさんもすごくがんばってくれて、ここまでの戦いを作れたのかなと思います。
優勝チーム監督 舘信秀監督(PETRONAS TEAM TOM’S)
タイヤ無交換の作戦が奏功した、しびれるレースでした。
すごくしびれるレースでしたね。結果的には作戦が成功したのですが、ちょっと小林可夢偉選手がドジってくれたから(笑)、あ、そうじゃない。作戦だね、ごめんなさい(笑)。
ちょっとガソリン搭載量を軽めに行ってくれたので、ピットイン時にガソリンたくさん入れてくれたのでそういう意味では良かった。
あとはいつも異次元のスピードを見せてくれる石浦宏明選手に、一貴が耐えて走りました。タイヤ無交換の作戦が奏功したと思います。ありがとうございました。