ティッセンクルップ、ハンガリーで新工場の稼働を開始


ティッセンクルップAG (Thyssenkrupp AG、本社:独ノルトライン=ヴェストファーレン州エッセン、CEO:ハインリヒ・ヒージンガー)は2018年3月2日、東欧ハンガリーに新設したステアリングシステム及びエンジン部品の製造拠点を稼働を開始した。

新製造拠点での具体的な製造製品は、ドイツ国内および海外向けの自動車OEMの電動パワーアシストステアリングシステム とバルブトレインシステム部品で、この新拠点はブダペストから東70kmの位置にあるヤースフェーニサル(Ja´szfe´nyszaru)市に数か月をかけて建設された。

新工場群建設への投資金額は約1億ユーロ。今後の生産拡大計画に伴い今後数か月で最大500人の新規雇用創出を見込んでいる。

新拠点の稼働開始についてティッセンクルップのコンポーネント テクノロジー事業領域のCEO、カルステン・クロース氏(Karsten Kroos)は、「ハンガリーは近年、欧州自動車産業の主要プレイヤーとして成長しており、昨年だけで、約48万台の車がハンガリーの生産ラインから生まれました。

新工場への顧客の投資を受け、当社としてもハンガリーで利益ある成長を続けていく所存で、高効率の内燃エンジンや電動モーター用の部品と電動パワーアシストステアリングシステムなどのハイテク製品に注力します」と話している。

加えて現在、スプリングやスタビライザーの製造拠点として別の工場も同じくハンガリー内に建設中で、こちらの拠点も今年後半の稼動開始が予定されている。当地に於ける生産拠点の相次ぐ進出の理由は、顧客の新規発注がハンガリーでの生産能力拡大を求めていることにあると云う。

これを踏まえティッセンクルップは、部品事業で利益ある拡大の戦略をさらに継続していく。なお部品事業部門での昨年度の受注は14%増加している。

ちなみに同社は、ヨーロッパで初の取り組みとして新工場に、2つの製品技術を並置し、プロセスの統合を通じて効率化とコスト面でのメリットを狙っている。同社では、このような製品技術の統合拠点は、既に数年前の段階で中国と北米で稼働させて軌道に乗せている。

なお現在ティッセンクルップは、ハンガリーの自動車購入者向けの車軸組立工場とスチール・サービス・センターをジェール市で操業。

またブダペストにはソフトウェア開発センターがあり、ステアバイワイヤや、自動運転技術向けの電動パワーステアリングシステム及び新アプリケーションのためのソフトウェア製品を送りだしている。結果、同社はハンガリーの自動車産業で約 1,100人を雇用し、同国の産業拡大に貢献を果たしている。

ちなみにティッセンクルップは、製鉄業を源流に持つ200年に及ぶ歴史を誇るドイツ有数の複合企業である。現在はプラント設計・建設、製鉄、エレベーター、重産機/自動車部品、素材商社と事業領域は多岐にわたり幅広い事業エリアでの活動を展開している。

自動車産業におけるティッセンクルップ は、自動車産業向けに鋼板と基幹部品を手掛ける世界有数のサプライヤーで、高級車セグメント10車種中9車種で同社の部品が使われているほか、3分の1のトラックの駆動部品としても搭載されている。

また上記よりも、国内外のプレミアムカーやスポーツカーのダンパーとして採用されている「ビルシュタイン」ブランドを配するメーカーとしての方が、一般ユーザーには馴染み深い企業に映るだろう。

2017年度の同社の自動車セクターの売上は、約112億ユーロに到達。日本では国内自動車メーカーと協力しながら、ステアリング、シャシー、エンジン関連部品のほか、鋼材をグローバルに提供している。