スーパーGTは第5戦・鈴鹿で後半戦突入、酷暑の1000km決戦で勝つのは誰か


長距離決戦はチャンピオン獲得への鍵となり得るか

AUTOBACS SUPER GTシリーズで、もっと長いレース距離となる第5戦「第44回インターナショナル鈴鹿1000km」。その名の通り1000kmというとてつもない長距離を、まだまだ暑さ厳しい中で走り切るというハード極まりないレースだ。

また走る側から1年を通した「チャンピオンシリーズ」という点で見ると、後半戦最初の戦いであり、かつ1000kmというロングディスタンスゆえに獲得ポイントが他の1戦よりも多いのが魅力でもある。

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チャンピオンを争う上では間違いなく重要な1戦。そんな見所の多い鈴鹿1000km。開催は8月29日(土、予選)、30日(日、決勝)、舞台は鈴鹿サーキットだ。

しかし1000kmと云えば「鈴鹿-青森間」の距離に匹敵する

この8月は、先の9日に行われた第4戦の富士、そして開幕迫る第5戦・鈴鹿と、このふたつのレースを総称して“真夏の連戦”と呼ばれ、チャンピオンシップを戦う上で天王山とも云える重要な時期となる。

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特に鈴鹿1000kmは、SUPER GT以前から国際レースとして永らく開催され続けてきた。その歴史は、今回で44回目と“伝統の1戦”というタイトルが付くほどの格式の高い大会でもある。

そんな鈴鹿1000kmが、過酷かつ難しいと云われる理由は、なんと言ってもその途方もない距離にある。

仮に優勝すれば、第5戦鈴鹿は通常より獲得ポイントが多い

通常SUPER GTは、300kmのレースとして行われて、長距離戦は、先の第2戦富士の500kmと、この鈴鹿1000kmの2つだけだ。

しかも1000kmと云えば通常のレースの3倍。判り易く言ってしまうと、「鈴鹿-青森間」の距離に匹敵するのだ。加えてレース開催時期は、暑さもピークに達している8月末である。

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まさにドライバーにも、マシンにもシリーズ中、最も過酷なレースであることは間違いない。そうした経緯もあって、同大会のシリーズポイントは、通常優勝での20ポイントに対し、25ポイントと高くなっており、例え10位であっても、1ポイント多い2ポイントが得られる。

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それだけに、シリーズタイトルを目指す各チームにとっては絶対落とせない、仮に首位から転がり落ちたとしても、少しでも高い順位でゴールしたい、そんな一戦だ。

今レースも連勝街道を突き進むGT-Rの独断場となるのか

ではその鈴鹿1000kmの本命はどこのチームなのか。PETRONAS TOM’S RC Fか?いや、しかしGT-RやNSXも侮れないだろう。

そもそも今季は天候不順の開幕戦こそレクサスRC Fが勝ったが、以後は日産GT-Rの3連勝。それだけに、真夏の鈴鹿はGT-Rを優勝候補に推す声が高い。

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だが、ランキングトップのNo.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、それに続くNo.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)はウェイトハンディがそれぞれ76kg、68kgとかなり大きくなってしまった。

他の2台も40kg台で、GT-R勢はこの鈴鹿では、我慢の走りで少しでも多くのポイントを稼ぐ戦いをするかもしれない。

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しかし考えてみると、昨年は84kgを背負うMOTUL AUTECH GT-Rがトップを争い演じて2位になっている。夏のレースに強いと言われるミシュランタイヤを履くMOTUL AUTECH GT-RとNo.46 S Road MOLA GT-R(本山哲/柳田真孝)は、勝ちを狙いにくる可能性が高くなる。

ランキング3位のNo.37 KeePer TOM’S RC Fは表彰台を狙う

ではトヨタ勢はどうかと眼を転じると、レクサスRC Fは昨年の勝者、No.36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔/ジェームス・ロシター)が気になる存在になりつつある。

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昨年とはドライバーこそ変わっているが、チーム自体のスキルや知見は変わらず、前年のデータやノウハウをフルに活かしていける環境にある。しかもウェイトハンディも去年の44kgよりは軽い36kgであり、かつ前戦も上位を争っているだけに、これは本命の中に入れても良い存在だと思われる。

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さらに指折り数えて行くと、前戦富士で惜しくも勝利を逃したNo.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明)もチャンピオン争いに残るためにも、ここは勝ち狙ってくるだろう。

F1経験者が加わるNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC F

開幕戦で勝ってランキング3位につけるNo.37 KeePer TOM’S RC F(アンドレア・カルダレッリ/平川亮)も表彰台狙いで、少しでも多くのポイントを、という目論見になるはずだ。

そして第3ドライバーにまたもF1経験者のクリスチャン・クリエンが加わるNo.39 DENSO KOBELCO SARD RC F(平手晃平/ヘイキ・コバライネン/クリエン)も思わぬダークホースになりつつある。

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一方で、今季まだ勝利がないのは、Honda NSX CONCEPT-GT勢。ここ鈴鹿はHondaのホームコースであり、応援も大きいだけに5台共に勝利が絶対欲しいところだ。中でも山本尚貴は、この鈴鹿1000kmでGT初勝利を挙げ、この2年連続で表彰台に上がっている。

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No.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本/伊沢拓也)も、表彰台の一番高いところを視野に入れている。また、前戦予選2位、決勝前半も2番手争いを繰り広げた野尻智紀のNo.8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻)も、チームが鈴鹿を得意とするだけに要注意の1台となりそうだ。

長距離だけにレース巧者のチームが気になるGT300

一方、GT300クラスも今季好調なのは日産GT-R勢であるが、こちらも各車ウェイトハンディが辛くなる時期。となれば、軽い中から有力候補を探すとなると、昨年のチャンピオン、No.0 グッドスマイル初音ミクSLS(谷口信輝/片岡龍也)が浮上してくる。

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残念ながら、ここまでは思うような結果を残せていない彼らだが、その分ウェイトハンディは軽い。ここで勝って、一気にタイトル争いに加わりたいだろうし、それができるチームでもある。

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さらにNo.7 Studie BMW Z4(ヨルグ・ミューラー/荒聖治)も昨年の鈴鹿で3位、今季もここまで良いレースをしている。BMW Z4としても鈴鹿は向いていると思われ、チーム初勝利のチャンスはあるだろう。

ウエイトハンディや経験値を打ち破る可能性を持つチームも

そうした中、ウェイトハンディに苦しんでいながらも、不気味な1台が控えている。それは星野一樹がエースのNo.3 B-MAX NDDP GT-R(星野/高星明誠/ウォルフガング・ライプ)だ。

彼らのウェイトハンディは76kgと些か不利なのだが、星野は2008年に安田裕信と共に、75kgを抱えたフェアレディZをこの鈴鹿1000kmで優勝させている。

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さらに星野は鈴鹿1000kmで3勝(さらにGT500でも1勝)と最多を誇るドライバーだ。今回3号車は、日産のドライバー発掘・育成プログラムであるGTアカデミーからライプも助っ人に加えており、目が離せない存在となっている。

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この他、鈴鹿と言えばスバル、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)や、侮れない戦闘力を見せるNo.25 VivaC 86 MC(土屋 武士/松井孝允/谷川達也)も気になる存在。

また第3ドライバーとして今年の全日本F3でタイトルを争っているニック・キャシディがNo.18 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴/マルコ・アスマー)でGT初参戦を迎える。彼等のフレッシュかつ果敢な走りも一発を狙うだけのポテンシャルを秘めている。

 

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