共同プロジェクトは三大陸をまたぐ13のプロジェクトへ拡大
ルノー・日産アライアンスとダイムラーAGの両CEOは16日、フランクフルトモーターショーに合わせて実施した記者会見で、今年、戦略的協力関係の開始から6年目を迎えたことを踏まえ、両社間のパートナーシップをさらに加速・強化させていることを改めて発表した。
パートナーシップの加速・強化にあたって、ルノー・日産アライアンスのCEO兼会長のカルロス ゴーン氏は、両社のパートナーシップを、「業界で最も生産性の高い協業のひとつである」と指摘し、「この協業により、商品投入に要する時間が短縮され、両社は紛れもなく戦略的優位性を享受しています。
今後も、更なる共同プロジェクトの拡大によって、この協業が発展し続けていくことを期待しています」と語った。
2015年は、メキシコの共同生産工場の着工やピックアップトラックの協業拡大など、重要なマイルストーンを達成
対して、ダイムラー取締役会長兼メルセデス・ベンツ・カーズ会長のディーター ツェッチェもこれに同意し、「2010年に協業を開始して以来、両社の共同プロジェクトは世界中のお客さまへの価値を創造してきました。
今年は全く新しいプロジェクトを2件発表し、コラボレーションをさらに深めました。引き続き、双方に有益なプロジェクトには互いに協力して取り組んでいきます」と述べている。
両社発表による2015年の主なプロジェクトは以下の通り。
日産とダイムラーは先に、10億USドル(約1,210億円)を投資するアグアスカリエンテス新工場の建設に着工した。
新工場では、2017年よりインフィニティ向け次世代プレミアムコンパクトカーを、2018年にはメルセデス・ベンツ向け車両の生産を予定している。
併せて日産とダイムラーは、車両の共同開発も行う。新工場は2020年までに年間23万台以上の生産を見込んでいる。
次世代プレミアムコンパクトカーは欧州や中国でも生産される予定。この共同組立工場はアグアスカリエンテスの日産工場の隣接地に建設される。
ダイムラーと日産は本年4月、メルセデス・ベンツのピックアップセグメント参入に向けて車両の共同開発を発表した。
新型ピックアップトラックは、日産の新型「NP300」のアーキテクチャーの一部を共有するが、欧州、オーストラリア、南アフリカ、中南米のユーザーニーズに対応できるよう、設計およびデザインはダイムラーが行う。
この車両は、メルセデス・ベンツが持つすべての特徴と装備を有することになる。同車は、日産「NP300」およびルノーの1トントラックと共に、中南米向けに、アルゼンチン・コルドバにあるルノーの工場内に設けた専用ラインで、日産が生産する予定。
この3ブランドのトラックは、スペインの日産バルセロナ工場でも生産される。メルセデス・ベンツトラックの生産は、この2つの工場で2020年までに開始する予定。
フランクフルトモーターショーにて初公開となるインフィニティ「Q30」は今年後半に生産を開始
プレミアムアクティブコンパクト「Q30」はダイムラーのコンパクトカーアーキテクチャーのコンポーネントを共有している。
このクルマは、インフィニティブランドのユーザーニーズに応えるため、インフィニティ自身がゼロから設計・デザインしたものである。
同車はフランクフルトモーターショーにて初公開された。生産は本年後半に英国にある日産のサンダーランド工場で開始する予定。
新型「スマート フォーツー」、「スマート フォーフォー」のEVモデルはルノー製のモーターを搭載
新型シティカー「スマート フォーツー」、「スマート フォーフォー」の発売から約1年。両モデルとルノー「トゥインゴ」はダイムラーとアライアンスの共同プラットフォームをもとに開発された初の車両である。
上記3車種に対するマーケットの反応は非常に好意的である。両社が発表した通り、「スマート フォーツー」と「スマート フォーフォー」のEVモデルは2016年後半に発売予定だ。
両モデルは、ルノー「ZOE」にも採用されている、フランス・クレオンにあるルノーの工場で生産された電動モーターを搭載する予定。
同車が搭載するバッテリーは、ドイツ・カーメンツにあるダイムラーの子会社Deutsche ACCUmotive(ドイチェ アキュモーティブ)社が生産する。
2010年4月に、ダイムラーとルノー・日産アライアンスが協業を開始した当初は、主に欧州地域における3つのプロジェクトに限られていた。
しかし現在は、欧州に加え、アジアや北米地域を含む13のプロジェクトへと拡大している。*為替は便宜上、直近の為替レートである1US ドル=121円としている。