新日鐵住金株式会社(本社:東京都千代田区、社長:進藤孝生 以下、新日鐵住金)および日新製鋼株(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:三喜 俊典、以下、日新製鋼)は、2月1日に開催された各々の取締役会における決議に基づき、2017年3月を目途に新日鐵住金が日新製鋼を子会社化すること(以下、本子会社化)及び、これを前提に、新日鐵住金が日新製鋼に鋼片を継続的に供給することについて検討(以下、本検討)を開始する旨の覚書を取り交わした。
なお、本子会社化の具体的な方法、新日鐵住金の日新製鋼に対する出資比率等については、今後、両社間で検討し、協議が整い次第公表する予定(本年5月中旬目途)。
また、日新製鋼は、新日鐵住金の子会社となった後も、上場を維持する予定。
Ⅰ.検討の狙い、並びに趣旨
1.検討の狙い
両社は、本子会社化の実現により、各々がこれまでに培ってきた経営資源を持ち寄り、相乗効果を創出することで競争力を高め、新たに日新製鋼を加えた新日鐵住金グループとして『総合力世界 No.1 の鉄鋼メーカー』の地位を強化し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図っていく。
併せて、競争力向上の観点から、本子会社化を前提に新日鐵住金による日新製鋼への鋼片の継続的供給についても検討する。
2.検討の経緯、趣旨
現在、鉄鋼業を取り巻く国内外の事業環境は極めて厳しく、日新製鋼は、国内薄板事業の重点化・強化策と呉製鉄所第 2 高炉休止を伴う鉄源工程の合理化策を検討すると共に、新日鐵住金に対し、継続的な鋼片供給についての検討を申し入れた。
その後、両社で協議した結果、この厳しい事業環境を乗り越え、競争力のある事業基盤を維持・構築するためには、各々の経営資源を持ち寄り、相乗効果を創出することが必要であるとの共通認識に至り、本日、本検討を開始することについて合意した。
(1)鉄鋼業を取り巻く厳しい事業環境
世界の鋼材需給環境は、将来的・長期的には経済・産業の発展とともに鉄鋼需要は着実に増加する見込みであるものの、現下はアジアを中心とする過剰な生産能力と中国経済の減速に伴う鋼材需要の減退により、急速に悪化している。
特に、中国の粗鋼生産能力は 11 億トン/年を超えるレベルに達しており、中国内需に対し約 4 億トン/年もの過剰能力を有している。
その結果、中国からの鋼材輸出は足下、年間 1 億トンを超える水準にまで達し、東アジアを中心に鋼材市況が低迷する要因になっている。
また、新日鐵住金、日新製鋼各々のグループが手がけるステンレス事業については、中国をはじめとする海外ステンレスメーカーの生産能力が増強され、新日鐵住金、日新製鋼各々のグループはステンレス粗鋼生産規模で世界 10 位圏外となっている。
この結果、国内市場ではこれら海外の大規模なステンレスメーカーからの輸入品が増加するなど、国内外で競争が一層激化。
中国の過剰生産能力の解消には、今後相当の時間がかかるものと予想されることに加え、日本国内の鋼材消費は、人口減少の影響等を踏まえると拡大は期待出来ない。
このように極めて厳しい鋼材マーケット環境の中、新日鐵住金、日新製鋼および両社のグループ会社の収益は急速に低下している。
(2) 新日鐵住金、日新製鋼各々の構造対策への取組み
上記のような厳しい事業環境の中、新日鐵住金は、2012年10月の新日本製鐵㈱と住友金属工業㈱との経営統合以降、2,000 億円/年の統合効果発揮に目途を付け、着実に収益体質および財務体質の改善を進めてきた。
また、日新製鋼は、現行の中期計画施策の確実な実行に加えて、競争力のある製品への経営資源の集中と、呉製鉄所第 2 高炉休止による鉄源合理化を含む構造対策を検討し、その代替鉄源として新日鐵住金に対し継続的な鋼片供給を申し入れるに至った。
その後、両社で協議した結果、厳しい事業環境下においても強固な事業・収益基盤を維持するためには、両社グループの経営資源を持ち寄り、相乗効果を創出することが必要との認識で一致した。
Ⅱ. この検討の実現により両社が目指す姿
両社は、新たに日新製鋼を加えた新日鐵住金グループとして『総合力世界 No1.の鉄鋼メーカー』の地位を強化し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目指して、以下の施策・目標の実現に取り組んでいく。
1. 両社グループの経営資源を活かした相乗効果の創出
新日鐵住金の強みは、世界トップレベルの技術先進性・商品対応力と、鉄源を中心としたコスト競争力及びグローバル対応力であり、日新製鋼の強みは、需要家のニーズに即したきめ細かな開発営業等による顧客・市場対応力にある。
両社は、各々の経営資源を持ち寄り、各々の強みを活かした相乗効果を創出してまいります。これにより、顧客ニーズに応えたより良い商品・技術・サービスを国内及びグローバルに提供し、収益力の向上を図る。
2. 連携施策の推進
両社は、本子会社化の実現後、鋼片供給の実施に加え、操業、技術、設備、原料・資機材調達、製造現場マネジメント(安全、環境、防災、整備等)分野等での様々な連携施策を推進し、グローバル競争を勝ち抜くコスト競争力を構築していく。
3. 企業価値の最大化と株主・資本市場からの評価の向上
両社は、本子会社化を通じ、資金・資産の効率的活用により強固な財務体質を構築し、健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の最大化を図り、株主の皆様及びその他の資本市場からもより高い評価を得られるよう取り組んでいく。
Ⅲ. 今後の見通し(予定)
新日鐵住金および日新製鋼は、本検討を直ちに開始し協議が整い次第、両社間で正式契約を締結し(本年5月中旬目途)、国内外の競争当局によるご承認、その他の必要な手続を経たうえで、
2017年3月を目途に本子会社化を実施する予定。
1. 本検討のスケジュール(予定)
(1)2016年2月1日 本検討に関する覚書の締結(本日)
(2)2016年5月中旬目途 正式契約の締結および適時開示
(3)2017年3月目途 本子会社化
(4)2019年度内 新日鐵住金による日新製鋼への鋼片供給開始
2.本子会社化の方法等
(1)本子会社化の方法
新日鐵住金が日新製鋼の普通株式を金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号)に基づく公開買付けにより取得する方法、日新製鋼が第三者割当により発行・処分する普通株式を新日鐵住金が取得する方法またはそれらの組合せによる方法等を想定中。
公開買付けにより取得する方法を第一案に他の方法と比較考量のうえ、今後両社間で協議のうえ正式契約に定める予定。
(2)本子会社化後の出資比率(議決権所有割合)
本子会社化後における新日鐵住金の日新製鋼に対する出資比率(議決権所有割合)は、現時点では、51%から 66%の範囲を想定しておりますが、今後両社間で協議のうえ正式契約に定める予定。日新製鋼は、新日鐵住金の子会社となった後も、上場を維持する予定。
(3)取得価額等
上記(1)及び(2)にかかる一連の取引を通じた、新日鐵住金による日新製鋼普通株式の取得価格(総額)及び対価の種類(金銭、有価証券等)は未定。
今後両社間で協議のうえ正式契約に定める。なお、対価として金銭を選択する場合、新日鐵住金は、自己資金又は借入により調達する資金で対応する。
3. 本検討の推進体制
両社は、「検討委員会」(仮称)を設置し、本検討を開始する。
4.業績に与える影響の見込
新日鐵住金および日新製鋼の当期の業績に与える影響はない。また、両社の来期以降の業績に与える影響は未定。
当期連結業績予想および前期連結実績
(1) 新日鐵住金
(2) 日新製鋼