FIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第10戦イギリスアGP(開催地:イギリス・トウスター、英シルバーストーン・サーキット<コース全長:5.891km・決勝52周>、開催期間:7月8~10日)の予選セッションが、現地時間7月9日(土曜日)の13時から実施された。
結果は、ルイス・ハミルトン(メルセデス)がホームコースに於いてPP獲得。2番手に僚友のニコ・ロズベルグ(メルセデス)、この後方に3番手マックス・フェルスタッペンと、4番手ダニエル・リカルドのレッドブル陣営が付けて、セカンドポジションを手中にしている。
また、ここのところマシンパフォーマンスを上げてきているマクラーレン・ホンダ陣営は、フェルナンド・アロンソが10番手。ジェンソン・バトンは17番手となった。
英国シルバーストーン・サーキットは、フラットなコースレイアウトで、かつ複数のストレートを高速コーナーで結んだコースレイアウトであることから、その成果はマシンの空力特性と、パワーユニットに依存する。
攻略ポイントは、ターン9からターン13に至る回頭性が鍵だ。今回のシルバーストーンでは、フリープラクティス初日からルイス・ハミルトン(メルセデス)が波に乗れており、これをニコ・ロズベルグ(メルセデス)が追走する展開となった。
一方、本来メルセデス勢を脅かす存在である筈のフェラーリ陣営は、ここ数戦来ギアボックストラブルを抱えており、セバスチャン・ベッテルはここシルバーストーンでもフリープラクティスに於いて同ユニットの交換を実施。
これに伴い決勝グリッドに於いて5グリッド降格が決まっている。またマーカス・エリクソン(ザウバー)は、フリープラクティスに於いて、痛恨のクラッシュを喫し、すべての予選セッションに参加できすに終わっている。
7月9日の予選セッションは、ドライコンディションではあるが、気温20度・湿度79%・路面温度25度の曇天。
Q1開始早々、2台のメルセデスが他のライバルを引き離しに掛かる。これに辛うじてレッドブルとフェラーリ陣営が続く展開となった。
この段階で、ジェンソン・バトン(マクラーレン)は、マシンのリアウイングを固定するエンドプレートの一部がフロアから外れたためダウンフォースを失い、ジョリオン・パーマー(ルノー)、リオ・ハリアント(マノー)、パスカル・ウェーレイン(マノー)、フェリペ・ナッサー(ザウバー)がQ1敗退となった。
続くQ2でも、メルセデス陣営の好調さは変わらず、これにマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が食らいつく展開。
一方フェラーリ陣営は、4番手を走るセバスチャン・ベッテル、それに続くキミ・ライコネンも走りに生彩を欠いている。
結果、セルジオ・ペレス(フォース・インディア)、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)、ロマン・グロージャン(ハース)、エステバン・グティエレス(ハース)、ダニール・クビアト(トロ・ロッソ)、ケビン・マグヌッセン(ルノー)がQ2敗退となった。
最終セッションのQ3でも、2台のメルセデスによる一騎打ちの様相は変わらず。最終的にルイス・ハミルトンが、1分29秒287で、2番手のニコ・ロズベルグに競り勝ってポールポジションを獲得した。
3番手マックス・フェルスタッペン、4番手ダニエル・リカルド(レッドブル)、5番手キミ・ライコネン(フェラーリ)、6番手セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、7番手バルテリ・ボッタス(ウィリアムズ)、8番手カルロス・サインツ(トロ・ロッソ)、9番手ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、そして10番手には、1分31秒687秒で一時期8番手の記録を刻みながらも、計測中にトラックリミットを越えたため記録取り消しとなったアロンソが食い込んだ。
なおマクラーレン・ホンダ陣営は、これで今季5度目Q3進出を果たしたことになる。
予選1番手・ルイス・ハミルトン
「まず最初にホームコースに帰って来た僕を応援してくれた地元ファンに心から感謝したい。
今日の予選セッションは、ペースこそ崩さすにQ3まで持ち込めたが、そのQ3の最初のラップで、少しワイドに膨らんだことから、トラックリミットを越えてしまいタイムが取り消された。
このためQ3の最終ラップは、プレッシャーに打ち勝つ必要があった。その際、ファンの期待に応えたい一心で集中し、慎重にラップタイムを刻んだことでポールポジションが獲得できた。
だから今日はチーム全員のハードワークだけでなく、ファンの人たちにも感謝したい気持ちだ。
きっと明日はタフなレースになるだろう。けれども、マシンの手応えは確かだ。明日は良いレースが出来ると信じている」
予選2番手・ニコ・ロズベルグ
「チームは僕たち(ルイスと自分)に最高のクルマを提供してくれた。
今日の高速コーナーは、まるでレールの上に乗っているみたいに綺麗に走れた。この過度特性は、僕たちF1ドライバーの理想の仕上がりだ。だからこれを可能にしてくれたチーム全員に心から感謝したい。
また素晴らしい仕事をしたルイスには、おめでとうと言いたい。しかし本番は明日だ。決勝レースは、ルイスと僕のバトルになるだろう。
明日はタイヤデグラデーションが、明日の戦略にどう影響するかがポイントになる。ただ僕は、このところスタートで好位置につけられているから、明日の決勝には期待しているんだ」
予選3番手・マックス・フェルスタッペン
「僕たちのマシンは力強くコントラーブルだった。それが良い成果につながった。
今季も時々、予選で上手く行かない時があるけれど、今日はすべてが上手く運んだと思う。このまま明日も集中力を切らさず、最後まで頑張りたい。
シルバーストーンは素晴らしいコースだし、ここを走るのはいつも楽しい。特に今日は、マゴッツからベケッツを抜ける時も、マシンはオーバーステアやアンダーステアを一切感じることも無く、良い仕上がりを維持できている。
だからコーナーを抜けるのがすごく愉しい。決勝レースを愉しみにして、このまま良いポジションを維持できるようにしたい。
明日は守り続けることも、後続と戦い続けることも重要だが、もしも明日、雨が降ったら、前を走るメルセデスにもっと近付けるはずだ」
以下はマクラーレン・ホンダ陣営の予選終了後のコメントとなる
フェルナンド・アロンソ
MP4-31-02
FP3 7番手 1分32.754秒(トップとの差 +1.850秒)11周
予選
Q1 9番手 1分32.281秒(オプションタイヤ)
Q2 9番手 1分31.740秒(オプションタイヤ)
Q3 10番手(※)1分32.343秒(オプションタイヤ)
※ベッテルが、ペナルティーを受けるため、明日は9番手からスタートとなる。
「今のところ我々にとってはポジティブな週末になっている。
ストレートでのスピードは若干不足しているが、幸いにも長いコーナーでその埋め合わせができている。だから明日は、ポイントを獲得できる位置につけられると踏んでいる。
Q3では、現在のポジションを上回るスピードは得られなかったが、セバスチャン・ベッテル選手のペナルティーにより、決勝は9番手スタートになる。
これは、ここ2戦で信頼性の問題が発生していたことを考えると、良いポジションだと言えるだろう。
また明日は雨の予報なので、レースの途中で雨が降り出すことになれば、興味深い展開になると考えている。チャンスが生まれた際は、それをものにする準備はできている。明日はMcLaren-Hondaが2台揃って入賞することを目標にしたい」
ジェンソン・バトン
MP4-31-03
FP3 12番手1分33.042秒(トップとの差 +2.138秒)11周
予選
Q1 17番手1分32.788秒(オプションタイヤ)
「Q1開始早々のアタック時に於いて、リアウイングのエンドプレートのうち1枚がフロアから外れ、マシンのダウンフォースが徐々に悪化し始めた。
特にターン8からは、高速コーナーの連続となるためダウンフォースが圧倒的に不足すると思われたが、最悪の結果は免れたようだ。
その後、2回目のタイム計測に臨むためにマシンの修理に取りかかったが、残念ながら、その途中でセッション時間が尽きてしまった。
ただ自身ではそんなに落胆していない。むしろ明日は雨が降って、レースでなにか予期せぬことが起きるのを期待している。明日の目標は、ポイント圏内での完走を目指したい」
エリック・ブーリエ|McLaren-Honda Racing Director
「ありきたりの決まり文句になりますが、今日の予選セッションは明暗が分かれる結果となりました。
まずジェンソンは、マシンのリアウイングのエンドプレートがフロアーから外れてしまい、それに伴って発生した損傷を修理するのに時間が掛かったため、2回目のアタックラップに臨むことができませんでした。
ジェンソンは、当然のことながら母国グランプリでいい走りをみせようとしていただけに、非常に残念でした。
一方のフェルナンドは、今週末好調であり、今日の予選でも引き続き非常にいい走りをしてくれました。
Q1とQ2を落ち着いて突破し、午後のセッションでは期待通りに8番手のラップタイムを記録しました。
しかしこれき、トラックリミットのルールによって抹消され、結果10番手に下がったものの、セバスチャン・ベッテル選手がペナルティーを受けるため、明日は9番グリッドからスタートします。
明日の午後は雨の予報です。もし雨が降った場合は、両ドライバーがこれまでに悪天候のレースですばらしい走りを披露してきたことを考えれば、スタートと同時にフェルナンドとジェンソンが徐々にポジションを上げるのを見て驚くことはないでしょう。
イギリスGPは、McLaren-Hondaのメンバー全員にとって重要な意味を持っています。明日の決勝で、世界一と呼ばれるファンの皆さんに応援していただけるような走りができれば、とてもうれしいです」
長谷川 祐介|本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
「シルバーストーンというパワーサーキットでQ3にアロンソが再び進出できました。
コースオフでベストタイムは取り消されましたが、実力としては8番手を獲得できた可能性もあったので、マシンの進化が確認できたと思います。
一方ジェンソンは、シャシーのリアウィングのプレートがフロアから外れてしまい、残念ながらQ1で2度目のアタックができず、残念ながら17番手で敗退となりましたが、明日の巻き返しを期待しています」
2016年 イギリスGP 予選結果
順位_ドライバー/コンストラクターズ_Q1_Q2_Q3
1_ルイス・ハミルトン
/メルセデス_1分30秒739_1分29秒243_1分29秒287
2_ニコ・ロズベルグ
/メルセデス_1分30秒724_1分29秒970_1分29秒606
3_マックス・フェルスタッペン
/レッドブル_1分31秒305_1分30秒697_1分30秒313
4_ダニエル・リカルド
/レッドブル_1分31秒684_1分31秒319_1分30秒618
5_キミ・ライコネン
/フェラーリ_1分31秒326_1分31秒385_1分30秒881
6_セバスチャン・ベッテル
/フェラーリ_1分31秒606_1分30秒711_1分31秒490
7_バルテリ・ボッタス
/ウィリアムズ_1分31秒913_1分31秒478_1分31秒557
8_カルロス・サインツ
/トロ・ロッソ_1分32秒115_1分31秒708_1分31秒989
9_ニコ・ヒュルケンベルグ
/フォース・インディア_1分32秒348_1分31秒770_1分32秒171
10_フェルナンド・アロンソ
/マクラーレン_1分32秒281_1分31秒740_1分32秒343
11_セルジオ・ペレス
/フォース・インディア_1分32秒336_1分31秒875
12_フェリペ・マッサ
/ウィリアムズ_1分32秒146_1分32秒002
13_ロマン・グロージャン
/ハース_1分32秒283_1分32秒050
14_エステバン・グティエレス
/ハース_1分32秒237_1分32秒241
15_ダニール・クビアト
/トロ・ロッソ_1分32秒553_1分32秒306
16_ケビン・マグヌッセン
/ルノー_1分32秒729_1分37秒060
17_ジェンソン・バトン
/マクラーレン_1分32秒788
18_ジョリオン・パーマー
/ルノー_1分32秒905
19_リオ・ハリアント
/マノー_1分33秒098
20_パスカル・ウェーレイン
/マノー_1分33秒151
21_フェリペ・ナッサー
/ザウバー_1分33秒544
—_マーカス・エリクソン/ザウバー