コンチネンタルとNVIDIA、AI開発を介した自動運転システムで提携


NVIDIA製DRIVE AI車載コンピューターと、Continental製センサーを組み合わせ自動運転車向けシステムを2021年に投入へ

NVIDIA Corporation(エヌビディアコーポレーション・本社:米国カリフォルニア州サンタクララ、社長兼 CEO : ジェンスン・フアン)と、独・自動車部品サプライヤー大手のコンチネンタルAG(Continental AG、本社:ドイツ、ハノーバー市、CEO:エルマー・デゲンハート)は2月5日、NVIDIA DRIVE™プラットフォームベースの完全自動運転システムの開発で提携。2021年からの関連製品の市場投入を目指す。

この提携では、レベル 2 の自動機能から車両にハンドルやペダルが搭載されていないレベル 5 の完全自動運転機能まで、幅広いAIコンピューターシステムの開発と生産を実現していく。

具体的には双方のエンジニアリングチームが共同で、NVIDIA DRIVEプラットフォームをベースとする自動運転ソリューションの開発を進める。

DRIVEプラットフォームには、世界最高の性能を誇るシステムオンチップである NVIDIA DRIVE Xavier™ のほか、NVIDIA DRIVE OS (オペレーティング システム) や、DRIVE AV(自動運転車向け)のソフトウェア スタックを搭載していく構えだ。

また新規開発を目指すこれらのソリューションには、最も厳しい安全度水準「ASIL-D」に適合するシステムエンジニアリングやソフトウェアエンジニアリングで培ったコンチネンタルの経験を活かし、レーダー・カメラ・高解像度3D Lidarを筆頭にコンチネンタル製の幅広いセンサー技術が融合していくと云う。

この取り組みについてコンチネンタルCEOのエルマー・デゲンハート(Elmar Degenhart)氏は、「未来のクルマは、検知・プランニング・運転代行を司る、走るコンピューターになるでしょう。

複雑な自律走行を可能にするには、AIスーパーコンピューターの演算処理能力を最大限活用するほかありません。

クラウドから自動車までカバーする、NVIDIA のAI自動運転ソリューションのパフォーマンスと柔軟性があってこそ、当社は新たなレベルの安全性、快適性、パーソナライズ性を未来のクルマで達成できるのです」と語っている。

一方、NVIDIAの創業者兼CEOであるジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏は、「これで、AI自動運転車を開発から大量生産へと移行させるうえで鍵となるすべての要素の準備が整いました。

当社の最新の DRIVE Xavier プロセッサ、幅広い NVIDIA DRIVE ソフトウェア。

そして、テスト、検証、機能上の安全性における「Cloud-to-Car」アプローチと、Continental の専門知識やグローバルな事業展開を融合させることで、自動運転車を全世界に普及させたいと考えています」と両社協業のメリットを強調した。

なお開発システムの頭脳となるNVIDIA DRIVE Xavierは、30ワット程度という低消費電力で30 TOPS (毎秒 1 兆回の演算) を達成するディープラーニング性能を備えていると云う。

これについて先のジェンスン・フアン氏は、「自動運転車が実行しなければならないタスクに必要な、膨大なデータを処理するには、Xavierのかつてないレベルの性能が欠かせません。

それらのタスクには、ディープ ニューラルネットワークを実行して周囲の状況を検知する、環境を認識する、高精細地図上で車両の位置を特定する、他の物体の挙動や位置を予測する、車両力学を計算する、安全な進路を計画することなどが含まれます。

コンチネンタルとNVIDIAは、幹線道路での周囲360度の状況把握や自動車線変更、さらには車の合流機能といった高度な自動運転機能から開発に着手する予定です。

またシステムには、車両が地図上で自己の位置を特定できるように高精細地図を取り入れるほか、地図の更新機能を搭載します。

こうした開発工程は、オープンなNVIDIA DRIVEプラットフォームゆえに精密なコラボレーションが可能になります。

高度運転支援システムにおけるコンチネンタルの専門知識によって、多機能カメラ、サラウンド ビュー付き魚眼カメラ、短距離および長距離レーダー センサー、高解像度 3D Lidar技術に加え、支援運転・自動運転向け中央制御装置が統合されます」と畳み掛けた。

この両社の取り組みに対してIHS Markitのリサーチおよびアナリストディレクターであるルカ・デ・アンブロッギ(Luca De Ambroggi)氏は、「将来完成に至るコンチネンタルの高度運転支援システムの売上は、2016年に12億ユーロを突破し、2020年には25億ユーロにまで成長すると見込まれています。

NVIDIAとの協業によってコンチネンタルは高度運転支援システムにおけるリーダーとしての地位を超えて飛躍し、現在のNCAP要件からレベル5に至るまで、幅広い自動運転車向けシステムを、多彩なモビリティ企業へ提供できるようになるでしょう」と結んでいる。

ちなみにコンチネンタルは、人々と商品の持続可能かつコネクテッドなモビリティーの実現を目指し、先駆的な技術とサービスの開発を手掛けるテクノロジ企業。

1871年に創業し、車両、機械、交通、輸送向けに効率的かつ低コストなインテリジェントソリューションを提供してきた。2017年には概算で約440億ユーロを売り上げ、現在56カ国で233,000人以上の従業員を雇用している。

これに対してNVIDIAは、1999年にPC ゲーム市場の成長を目指して開発したGPUが、現代のコンピューターグラフィックスを再定義することになり、これを契機に並列コンピューティングの世界を一変させた。

最近では、GPUディープラーニングが最新のAI、つまり新世代のAIコンピューティングの新時代の火付け役となり、世界を認知して理解できるコンピューター、ロボット、自動運転車の脳の役割を同社のGPUが果たすまでになっている。