ウィルスマートと常陽銀行、協業で茨城県内の地域交通課題に取り組む

「移動」に係る技術企業のWill Smart(ウィルスマート/本社:東京都江東区、代表取締役社長:石井康弘)は常陽銀行(本社:茨城県水戸市、頭取:秋野哲也)と7月23日付で協業の基本合意書を締結した。

この協業では、デジタルを活用した持続可能な事業モデルの検討を通じ、交通空白の解消、地域交通の最適化によって茨城県の地域活性化に取り組んでいくという。

実際、茨城県でもタクシーや路線バスのドライバー不足は危機的状況に達し、特に人口減少や高齢化が進む地域では公共交通の路線縮小や廃止が相次いでいる。

この「交通空白」の拡大は、単なる移動手段の問題に留まらず、地域経済の衰退、医療・教育へのアクセス制限、更には地域コミュニティの崩壊にも繫がる重大な社会課題となっている。

そこで、この複雑に絡み合った課題に対応するべく、Will Smartと常陽銀行は両社の強みを結集した協業体制を構築する。

それはWill Smartが培ってきたモビリティ市場におけるデジタル化の企画・開発・運用の知見と、常陽銀行が持つ地域に根差した信頼関係・ネットワークを結集させることで、当該地域で持続可能な地域交通システムの実現を目指すというもの。

そのために、まずは茨城県笠間市を実証環境に挙げ、同地域交通の課題解決に向け、地域・行政・企業の共創体制を構築し、交通データ分析・活用基盤の整備と公共ライドシェアの実証を通じ、持続可能な地域交通モデルの創出の糸口を掴みたい考えだ。

なお、同件は常陽銀行が2024年度に開催した新事業協創プログラム「NexusBridge2024」での採択アイデアに基づく取り組みとなる。

なお個社の具体的な役割分断で、Will Smartは地方自治体向け交通政策に関する知見、交通空白地にデジタルを活用した公共ライドシェアシステムの導入、データ収集や活用事業に関する技術を提供する。

対して常陽銀行は社会課題解決に向けた地方自治体や地元関連事業者への提案、地域ネットワーク等を活用した新たなモビリティサービスの社会実装支援、地域活性化に向けたモビリティ関連サービスへの参入可能性検討を行う。

より詳細な役割分担は以下の通り

笠間市での取り組み
(1) データ駆動型地域交通計画の策定支援
笠間市職員が地域の人口動態や交通モードを可視化・分析し、効果的な地域公共交通計画を自ら策定・評価・改善できる体制を整備する。

(2)一般ドライバーを活用した公共ライドシェアの実証
2025年内を目途に、一般ドライバーが参加する公共ライドシェアの有効性を検証する実証運行を実施する。

今後の展開
まずは笠間市でのデータ収集・分析体制の構築に着手し、2025年の公共ライドシェア実証に向けた準備を進める。

そうして当該プロジェクトで得られた知見やノウハウは、地域金融機関と技術企業の協業モデルとして、同様の課題を抱える全国の地域への展開も視野に入れていく。

また協業を通じて、交通空白の解消や高齢者・学生などの移動弱者の生活基盤確保、地域コミュニティの維持・活性化など、地方が抱える本質的な社会課題をも解決し、「誰もが安心して住み続けられるまちづくり」を目指していきたい考えだ。

会社概要
会社名:株式会社Will Smart
代表者:代表取締役社長 石井康弘
設立:2012年12月12日
事業内容:モビリティ業界を中心とした事業課題解決に対してDX 技術を駆使したソリューションの企画・提案、ソフトウェアの受託開発と運用支援。
資本金:630百万円(2024年12月31日現在)

会社概要
会社名:株式会社常陽銀行
代表者:取締役頭取 秋野原哲也
設立:1935年0月30日
事業内容:「健全、協創、地域と共に」を掲げた経営理念のもと、「お客さま中心主義」に徹し、堅実な営業、健全な経営を行い地域社会・地域経済の発展に貢献する。
資本金:85,113百万円(2024年3月31日現在)