日立オートモティブシステムズ株式会社(本社:東京都千代田区大手町、本店:茨城県ひたちなか市、社長執行役員&CEO:関 秀明)は10月24日、自動運転システムがその機能を失陥した際に、安全かつスムーズにドライバーへ運転を引き継ぐ仕組みを来る2020年に実用化すると発表した。
これは自動運転システムを構成するECU(Electronic Control Unit・電子制御ユニット)など、重要な基幹部品のひとつが破損して機能を失陥した際に、他の部品がその機能の一部を代替。
これにより一定時間、自動運転の継続を可能とすることで、安全かつスムーズにドライバーへ運転を引き継ぐことを可能にする技術である。
現在、自動車メーカー各社は世界の自動車マーケットに向けて、来る2020年前後の本格投入を目指し、「システムが全ての運転タスクを実施」するレベル3の自動運転車両の開発を進めている。
しかしこのレベル3の実用化に向けては、基幹部品の破損等によって自動運転システムの機能が停止した際に、ドライバーへの操縦の受け渡しを、どのようにして安全かつスムーズに行うかが、課題となっていた。
今回、同社が鋭意開発を行っている技術は、自動運転中にひとつの基幹部品が破損をして機能停止に陥った場合。
自動運転システムそのものが、保持している役割を一定時間継続できるよう、機能不全回避用の緊急回路や、他の自動運転関連部品へ役割情報を冗長化するというもの。
これにより、基幹部品破損で機能停止に陥っても、一定時間、自動運転を継続することができ、その間、安全かつスムーズにドライバーへ運転を引き継ぐことを可能にする。
より具体的には、まず「認知」を行う外界認識センサーを経て、「判断」を行う自動運転ECUに走行環境からの情報が集約される。
この後、「制御」を行うアクチュエーターが自動運転ECUから車両制御の信号をVMC(Vehicle Motion Controller・車両制御装置)へ送ることで自動走行が実現する。
この際、さらに今回の開発技術では、例えば自動運転ECUの機能停止が発生した際、VMCが自動運転ECUの車両制御機能の一部を代替する。
この間、ドライバーに対して運転の引継ぎを促しつつ自動走行を10秒間維持することを可能にしていく。
このため、常に自動運転ECUからVMCへ自動運転機能を維持するための軌道情報を送信し、双方で多重に軌道を確保することで、段階的な縮退運転への移行を実現した。