日立オートモティブシステムズ、世界最小級の自動運転用・遠距離ミリ波レーダーを開発


日立オートモティブシステムズ株式会社(本社:東京都千代田区大手町、本店:茨城県ひたちなか市、社長執行役員&CEO:関 秀明)は、車両走行中に遠距離の障害物を検知する遠距離レーダーとして世界最小クラスの77GHz前方ロングレンジミリ波レーダーを開発した。

今回の開発品は、2015年に開発した試作品と比較して50%以上の小型化を実現したことに加え、従来の試作品では対応していなかった上下方向の検知を可能とした。

なお同開発品は、自動運転の普及に貢献する技術として、2020年の製品化を予定している。

今日、自動運転を高信頼に実現するための基盤技術として、車両周囲の障害物をリアルタイムに検出する高度な外界センシング技術が不可欠である。

特に高速道など巡航速度が高く、検知距離が求められる状況に於いては、遠距離まで検知するセンサーが求められており、日立オートモティブシステムズでは、このニーズに対応するために、遠距離の障害物を検知する77GHzの周波数帯を用いた前方ロングレンジミリ波レーダーを2015年に試作開発した。

この前方ロングレンジミリ波レーダーは、 アンテナをホーン型の形状にして誘電体レンズと組み合わせることで、電磁波の減衰を抑えて空間に放射することを可能としている。

これにより、遠距離においても効率よくミリ波の送受信ができ、車両から前方200m、左右18度の検知性能を確保した。

また試作品のさらなる改良課題として、さまざまな車両への搭載性を向上させるために、レーダーの更なる薄型化と小型化が求められていた。

加えて遠くの陸橋や歩道橋、路上の落下物などを識別するために、遠距離における上下方向の検知性能も求められていた。

そこで今回、新たに開発した77GHz前方ロングレンジミリ波レーダーは、 ホーン形アンテナの誘電体レンズを分割したアンテナの形状を最適化したことにより、電磁波の放射効率を維持したままアンテナの奥行き幅を低減させた。

これにより、2015年に開発した試作品と比較して奥行きを約30%、高さを約15%、横幅を約25%低減、体積比では50%以上の小型化を実現でき、車両への搭載性が向上した。

また、受信アンテナ数を2つから4つへと増やし、アンテナを左右方向に加えて上下方向にも配置することで、車両から前方200mの検知性能を担保したまま、上下方向4度範囲の角度検知を可能とした。

なお、日立オートモティブシステムズは一般社団法人 日本自動車工業会が主催し、10月27日(金)から11月5日(日)まで東京ビッグサイトにて開催予定の「第45回東京モーターショー2017」に、この開発品を展示する。

今回新たに開発した前方ロングレンジレーダー (奥行き:30mm、高さ:60mm、横幅 45mm)

■会社概要
日立オートモティブシステムズ株式会社
本社: 東京都千代田区大手町二丁目2番1号 新大手町ビル
事業内容: 自動車部品および産業用機械器具・システムの開発、製造、販売およびサービス