エアロモービル社の空飛ぶ自動車、遂に先行受注開始。初期受注は500台限定


モナコ公国・モンテカルロ区(プランシポテ・ドゥ・モナコ/Principauté de Monaco)で、先の4月20日から23日まで開催されているプレミアム製品の展示会「トップ・マークス・モナコ(TOP MARQUES MONACO)」に於いて、これまで延べ20年間に亘って、中央ヨーロッパのスロバキア共和国で永らく開発が続けられてきたエアロモービル(Aero-Mobil)社による「空飛ぶクルマ」の先行受注が遂に開始された。

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今回、先行受注分の車両製作は速やかに生産体制に入り、来る2020年までに発注顧客へのデリバリーが開始される見込みと云う。

陸と空を制する同社の2人乗りエアロモービールは、車体後部に組み込まれたプロペラを、最大出力224kW(300bhp)を発揮するターボチャージャー付き2000ccの4シリンダボクサーエンジンで駆動させ、時速300km・最大750kmの距離を飛行させることができる。

また陸上に於いては、空の移動で使用するエンジンを用いて前・車軸部に搭載された蓄電池を介した電気モーターを駆動させて走行するハイブリッド車両となっている。この際、飛行モードから路上走行モードなどの相互環境に適合するために要する時間は3分以下で済むと云う。
その実力は、自動車と航空機を組み合わせた1,000kmに満たない移動に於いて、大幅な時間短縮を実現できると同社では謳っている。

このパフォーマンスについて、エアロモービル社の共同設立者でCEOのジュラージュ・バークリック(Juraj-Vaculik)氏は「私たちは、このクルマによって自動車と航空機による輸送の境界を再定義することに成功しました。この初期受注を、ここモナコで開始できたことについて大変嬉しく思います」と語っている。

そのボディは、既存の自動車よりも大幅に軽く・強くするため既存の小型航空機に匹敵する外殻構造を持たせており、炭素複合素材と航空力学が駆使されたものとなった。
また翼は、一方向に揃えた炭素繊維の束に予め未硬化の樹脂をしみこませた中間素材を、熱により固めたプリグレグ合成技術を用いて組み立てられられた。

乗員が着座するコックピットは、地上走行時に於ける万が一の衝突エネルギーを吸収させるため、モノコック構造物でパイロットと副操縦士を取り囲む様に設計され、さらにデュアルエアバッグによって完全に保護される。

なお燃料タンク容量は90リットル。これにより陸上に於ける移動距離は700km、最高速度は160km/hをマークする。
一方、空路に於ける航続距離は750km、巡航速度は259km/h。離陸に最低限必要とされる滑走距離は397m、さらに空路に於ける安全な移動に必要な高度50ft(30m)に達するまで上昇するためには、595mの距離が必要としている。ちなみに離陸可能な絶対重量は960kg以下、このため乗員や荷物等を含む積載荷重は最大240kgまでとなっている。

同社の最高技術責任者であるダグラス・マキャンドリュー(Douglas-MacAndrew)氏は、「私達は、このクルマが地上に於いても、また空の移動に於いても、いずれの環境に於いても妥協のない製品を届けられる今日に至り、今日の受注開始はエンジニアリング技術とデザインの勝利であり、我々の情熱と努力がようやく実った結果です」と話す。

気になる価格は、1200万~1500万ユーロ(約1億4000万~1億8000万円圏内)が基本プライスとなり、個々の顧客の希望に応じて仕様変更は金額次第で可能と述べている。また今後は、多様な市場機会に対応するため、一連のモデルシリーズを開発することを目指すと述べていた。