シェール由来の米国産LNGが、新設・拡幅となったパナマ運河を経由して日本に初到着


株式会社ジェラ(JERA Co., Inc.、本社:東京都中央区、代表取締役会長:ヘンドリック・ゴーデンカー、代表取締役社長:垣見 祐二)が米国・シェニエール社の間のLNG売買契約に基づき調達したシェールガス(頁岩層堆積資源)由来の米国産LNG7万トンが、1月6日の午前に中部電力株式会社の上越火力発電所に到着した。米国(アラスカ州を除く)で、生産されたLNGが日本に輸入されるのは初となる。

調達されたLNGは、昨年12月7日(現地時間)に、シェニエール社が運営するルイジアナ州のサビン・パス基地のLNGプロジェクトにて生産された後、LNG船オーク・スピリット号に積み込まれたもの。

写真は、サビン・パス基地でのLNG積み込みの様子

当該LNG船は、2016年に拡幅工事で3つ目の新設航路としてニューパナマックスサイズ(長さ427m、幅55m、深さ18.3m)に拡張されたパナマ運河を通航し、約一ヶ月間にわたる太平洋航海を経て、日本に到着した。

株式会社ジェラでは、「米国産LNGは、調達地域や価格指標の多様化に寄与するため、日本のエネルギー安定供給に貢献できるものと考えております。

今後当社は、参画している米国のフリーポートLNGプロジェクトをはじめとした、仕向地制約のないLNGの調達比率を向上させ、事業環境の変化にも柔軟に対応できる調達ポートフォリオを構築してまいります」と述べている。

株式会社ジェラの事業領域

ちなみに今回到着した七万トンのLNGは、到着地の上越火力発電所で消費されるが、今後は年間で70万トンのLNGが輸入される予定となっており、これらは東京電力管轄を筆頭に、発電用燃料として消費されていく見込み。

なお米国当地では、このシェールガスの増産・安定化により、原油由来の資源価格が大きく低下した。これを受け、米国内に於いてはプラスチック原料などを製造する石油化学工場の建設が活発化しつつある。

一方、日本国内については、LNG化にあたっての液化費用、さらに輸送に伴うタンカー費用が加算されるため、総体的に石油化学産業分野に関しては、米国優勢の影響を強く受け続けることになる。

但し、日本国内全体を考えた資源輸入の観点からは、現時点では原油連動の価格変動となっている中東依存体質から脱却が果たせるため(米国産LNGは原油連動しないため)、資源調達コストに於いて価格交渉力面で優位性が生まれる。

これは今後、自動車燃料と原資となるシェールオイルが調達された場合も基本的には同じだ。

ただ原油資源の世界市場を広く俯瞰(ふかん)した場合、原油消費の一大市場である米国内に於いて、海外(中東)原油への依存度が激減することで、むしろ原油由来の国際エネルギー相場が不安定化するのではとの見方もある。

もしも、これが的中した場合は、日本が現時点で総輸入量の8割を依存している中東産原油の価格安定性・調達安定性に対して、不安要因が生まれる可能性もある。