1月22日(日)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)開幕戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4がモナコを中心に行なわれ、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田章男、以下 トヨタ)傘下「TOYOTA GAZOO Racing」のヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC)が2位でフィニッシュした。
併せてユホ・ハンニネン(ヤリスWRC)は16位で完走を果たした。その結果、TOYOTA GAZOO Racingは18年ぶりのWRC復帰戦で、マニュファクチャラーズ選手権ランキング2位となった。
ラリー・モンテカルロの競技最終日のデイ4は、モナコの北側に広がるフランスの山岳路が戦いのステージとなった。
2本のコースを各2回走行する全4SSの合計距離は53.72kmと短く、さらに、SS16が観客の安全確保ができないという理由によりキャンセルされたため、最終的に3本のSSで戦われることになった。
ラリー・モンテカルロでは、最終日に「何か」が起きることが多く、特に難所チュリニ峠は、過去に多くの上位選手がリタイアするなど劇的なドラマの舞台となってきた。
そのためTOYOTA GAZOO Racingのクルーは、フィニッシュまで集中力を絶やすことなく全力で走行。結果2位につけていたライバルがマシントラブルで遅れたこともあり、ラトバラは前日よりもひとつ順位を上げ、トヨタのWRC復帰戦を2位という望外の結果で締めくくった。
また、ユホ・ハンニネンはパワーステージに指定された最終のSSで3番手タイムを刻み、ボーナスのドライバーズポイントを獲得。デイ2でのリタイアによる遅れを印象的な走りで取り戻し、総合16位で完走を果たした。
トミ・マキネン(チーム代表)
我々は今シーズンを開発の年と捉えていますので、あまり大きな期待を抱かないようにしていたのですが、今回のラリー・モンテカルロは自分たちの期待をはるかに上まわる、素晴らしい結果となりました。
我々は経験豊かなチームではありませんが、完璧に近い戦いをすることができました。
今年のモンテカルロのSSは路面状態が一定ではなく非常に難しい走行条件でしたが、選手たちはうまく対応してくれました。
実はラリー中、ヤリ-マティのマシンにはセンサートラブルが発生し、コース上で1度エンジンが止まってしまったら、再スタートできないかもしれないというプレッシャーを感じながら彼は走り続けていたのです。
ヤリ-マティは素晴らしい仕事をやり遂げました。また、ハードワークを続け選手をしっかりと支えてくれたチームにも感謝しています。我々にとっては良き船出となりましたが、課題もたくさん残りましたので、今後もさらに開発を進めていきます。
嵯峨宏英(チーム副代表)
「もっといいクルマづくりの新たな旅の始まり」となるWRC復帰初戦を、期待以上の結果で終われたこと、本当に嬉しく思います。本音を言えば、もっと後に、この想いに至るだろうと思っていました。
ここまでクルマをつくってくれたチームのみんな、そして過酷なラリー・モンテカルロの道でヤリスWRCを無事にゴールまで届けてくれた4人のドライバー、コ・ドライバーたちに感謝の気持ちを送ります。
また、この結果は18年ぶりの復帰を心待ちにし応援し続けてくださったファンの皆さまの想いに支えられたものでもあります。
実際、沿道で2台の走りを見守った時「トヨタ!トヨタ!」「ガズー!ガズー!」という大きな声援が聞こえ、私自身、とても胸が熱くなりました。ご声援いただいたファンの皆さま、本当にありがとうございました。
この4日間チームと共に過ごし、これからこの道で戦っていけるだろうチカラを確認することができました。
しかしながら、WRCの道で戦い続けてきた他のチームはやはり強く、我々が、もっと上を目指し新参のトヨタを本当のライバルと認めてもらうためには、まだまだやらなければいけないことが沢山あることも分かりました。
競技2日目を終えた時、ラトバラ選手は「走れば走るほどヤリスは良くなる」と言い、その日リタイヤとなったハンニネン選手も「今後のセットアップのためにもきちんと走り切りたい」と言ってくれました。
ヤリスをもっといいラリーカーにするために、これからもラトバラ選手、ハンニネン選手、そして彼らのコ・ドライバーたちと走り続けたいと思います。
そして「王者トヨタが帰ってきたね」と皆さまに言っていただける日を1日でも早く迎えられるよう、これからもトミ・マキネンと私どもトヨタは心ひとつに前に進んでまいります。「もっといいクルマづくりの新たな旅」を、これからも応援いただければと思います。皆さま、よろしくお願いいたします。
ヤリ-マティ・ラトバラ(ヤリスWRC #10号車)
今日のSSは特にタイヤに気をつけて走りましたが、最後のSSは積雪によりグリップがあまり感じられなかったので慎重に行きました。
2位を走っていたオット・タナク選手は今回とても頑張っていたので、最後にトラブルで遅れてしまったことはとても残念です。
しかし、トヨタのWRC復帰戦を2位という想像もしていなかったような結果で終える事ができて、本当に嬉しく思います。
ラリー・モンテカルロでの私の過去のベストリザルトは2位ですが、新しいチーム、新しいマシンでふたたび2位に入れたことを誇りに思います。この素晴らしい結果は、チームのサポートと、ファンの皆さんの応援によって実現したのです。
ユホ・ハンニネン(ヤリスWRC #11号車)
今日のSSはコース上のどこに雪や凍結箇所があるのかを見極めることが難しかったので、とにかく注意して走りました。
金曜日のミスで順位を落としてしまったのは残念ですが、トヨタのWRC復帰戦で2台のヤリスWRCが完走を果たし、しかもそのうちの1台が2位でフィニッシュし表彰台に上がったことを本当に嬉しく思います。
ヤリスWRCはニューカーにも関わらず特に大きなトラブルは起こらず、速いペースで走ることができました。今回のラリー参戦でいくつか課題が見つかったので、今後も開発の手を休めることなく、マシンとドライバーの両方が揃って成長できるように努力を続けます。
ラリー・モンテカルロ デイ4の結果
1.セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(フォード フィエスタ WRC)4h00m03.6s
2.ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ(トヨタ ヤリス WRC)+2m15.0s
3.オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(フォード フィエスタ WRC)+2m57.8s
4.ダニエル・ソルド/マルク・マルティ(ヒュンダイ i20 クーペ WRC)+3m35.8s
5.クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン(シトロエン DS3 WRC)+3m47.8s
6.エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット(フォード フィエスタ WRC)+6m45.0s
7.アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー(シュコダ ファビア R5)+9m32.7s
8.ヤン・コペツキ/パヴェル・ドレスラー(シュコダ ファビア R5)+12m58.1s
9.ステファン・ルフェーブル/ギャバン・モロー(シトロエン C3 WRC)+14m43.8s
10.ブライアン・ブフィエ/ドゥニ・ジロウデ(フォード フィエスタ R5)+16m09.4s
16.ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム(トヨタ ヤリス WRC)+32m16.8s
(※現地時間1月22日17時00分時点のリザルト)
次戦のWRC
2017年のWRC第2戦は、2月9日から12日にかけて開催されるラリー・スウェーデン。
スウェーデンはコース全体が雪と氷に覆われ、ラリーカーは、長いスタッド(スパイク)が埋め込まれた特殊なスノータイヤを装着してSSを走行する。
スタッドが雪面をしっかりととらえるため雪上とはいえタイヤのグリップ力はかなり高く、平均速度はWRC全戦の中でもトップ3に入るほど高い。
また、2月の厳寒期のスウェーデンが舞台となるため気温は時にマイナス20度前後まで下がり、クルマにとっても選手にとってもハードな1戦である。