既出の掲載記事の通り、この2017年から心新たにアンドレッティ・オートスポーツ(Andretti Autosport)からインディカー・シリーズに参戦している佐藤琢磨選手が5月28日(日)、米国インディアナポリス・モータースピードウェイにて開催された第101回インディアナポリス500で優勝を飾り、当地の翌5月29日(月)に表彰式が行われた。これについて日本時間の翌5月30日付けでホンダから公式リリースが公表されている。
それによると、インディアナポリス市内ダウンタウンの高級ホテル、J.Wマリオットで「インディ500ビクトリー・バンケット」が開催され、佐藤選手は今季シリーズのポイントランキングで234を獲得し、首位と11ポイント差の5位に浮上。今レース1本の獲得賞金で245万8129米ドル(約2億7千万円)を手中にしたと云う。
このインディ500は、F1のモナコGP、耐久のル・マン24時間レースと並び国際的に「世界3大レース」のひとつとして知られ、日本人がインディ500で優勝したのは佐藤選手が初のこと。
ちなみにこの3大レース制覇は、1960年代の英国人スタードライバーで、1996年のF1覇者デーモン・ヒルの実父、グラハム・ヒル氏(Norman Graham Hill)しか成し遂げたことがない。
このことから、今年のインディ500には、同時期開催となったF1モナコGPを蹴って、フェルナンド・アロンソ選手が参戦した程の重みがある。
佐藤選手は、2010年の第94回大会からインディシリーズの挑戦を続けてきて、今8回目のチャレンジでの栄冠を獲得。
なおレース開催日は、米国に於ける戦没者追悼記念日に伴う連休中であったため、日本人のインディ制覇に対して、過去の親族の戦争参加に伴う個人的な心情を持つ米デンバーポスト紙・記者の「不愉快」とするtweetで炎上が発生した。
但し、記者も佐藤選手の優勝については称えており、かつ同紙CEO並びに、同因により解雇された記者本人によるtweet削除並びに謝罪が行われ< http://www.denverpost.com/2017/05/29/denver-post-statement-terry-frei/ >、佐藤選手の優勝は当地に於いても、広く賞賛されている。
UPDATE: The Denver Post’s statement on Terry Frei https://t.co/HPYG08nOe9
(corrects typo from earlier version) pic.twitter.com/3ROSPSsELE
— The Denver Post (@denverpost) 2017年5月29日
佐藤琢磨選手のコメント(1位)
「勝ちました! 世界最高のレースで勝ちました! 信じられないほどの感激です。チームには感謝してもしきれないほどです。ファンタスティックです。
厳しく本当にタフなレースで、最後の3ラップを迎えるまで、だれが勝つか全く分からないレースになっていました。
しかも最後の5周、エリオ(首位争いを展開した選手)は、本当にフェアなレースをしてくれました。
だから残り3周でエリオとサイドバイサイドになった時も、とにかく行くしかないと思い、アウトサイドからパスを仕掛けることができ、その後、すばらしいバトルになりました。
そこからは、もうアタックするしかなかったです。完全にアクセルを全開に保ったままの戦いです。それを成功させ、彼を突き放すことができました。最高のレースになりました。ファンの皆さんも楽しんでくれたと思います。
12歳のころから、こういった大きなレースで勝つことを夢見てきましたが、今でもまだ信じられない気持ちです。
昨年までの4年間、私に素晴らしい経験を与えてくれたAJフォイトに感謝します。
素晴らしい機会を与えてくれたマイケル・アンドレッティに感謝します。そして、26号車のチームクルー、エンジニア、ホンダ、パナソニック、とにかくみんなに感謝します。
本当に凄いです。アンドレッティという素晴らしいチームに、ただただ驚くばかりです。このチームを本当に誇りに思います。
そして、ずっとサポートして下さったスポンサーのみなさん、信じて応援し続けてくれたファンの方々に本当に感謝します。この偉大な勝利を大変光栄に思います。本当にありがとうございました」
フェルナンド・アロンソ選手のコメント(途中180周時点によるリタイアで24位)
「レースを最後まで走りきれずに残念です。それは出場するレースのすべてでゴールを目指しているからです。
今日はそれを果たせませんでした。しかし、今日のレース、そしてこの2週間は、私にとって非常に大きな経験となりました。
私は自分の能力を証明するため、そして自分自身にチャレンジする意味も込めてインディ500に出場しました。
私はF1の世界ではだれとでも戦えるという自信がありますが、インディカーで同じようにだれとでも勝負ができるのかは分かりませんでした。
今回、競争をしているという感覚を持てたこと、インディ500でトップを走れたことが、私にとってはすばらしかった。
このレースで1周でもリードができたら最高ですが、トップで多くの周回を重ねられました。何度もオーバーテイクをして、タワーを見たら“29”が一番上にありました。
ザック・ブラウンやスタッフは、ちゃんとその写真撮ってるかな? とか考えていました。その写真を自分の家に飾りたいので。SATO-san、おめでとう! Andretti Autosport、おめでとう!」
本田技研工業株式会社 執行役員 ブランド・コミュニケーション本部長 森山 克英のコメント
「世界3大レースのひとつであるインディ500で日本人初優勝という快挙を成し遂げた琢磨選手と、マイケル・アンドレッティCEOをはじめとするチームおよび関係者の方々、そして、琢磨選手を応援してくださっているファンの皆さまに心より感謝申し上げるとともに、この快挙達成の喜びを分かち合いたいと思います。
そしてHondaとして、琢磨選手のレーシング・ドライバーとしてのキャリアと共に歩み続けてこられたことを大変誇りに思います。
今回のインディ500制覇により、世界のモータースポーツ界に大きな足跡を残すことになった琢磨選手のさらなる活躍を期待します。琢磨選手、本当におめでとう!」
ドライバー・ポイントランキング
順位_No._ドライバー_エンジン_総合ポイント
1_3_H.カストロネベス_シボレー_245
2_9_スコット・ディクソン_Honda_234
3_1_S.パジェノー_シボレー_234
4_26_佐藤琢磨_Honda_234
5_98_アレクサンダー・ロッシ_Honda_190
6_10_トニー・カナーン_Honda_188
7_12_W.パワー_シボレー_186
8_2_J.ニューガーデン_シボレー_186
9_19_エド・ジョーンズ_Honda_185
10_5_ジェームズ・ヒンチクリフ_Honda_170
佐藤琢磨選手の主な戦績
1997:
鈴鹿レーシングスクール フォーミュラ(SRS-F)を卒業
2001:
英国F3選手権チャンピオン
マスターズF3優勝
マカオGP優勝
2002:
Jordan HondaよりF1デビュー
2003:
B・A・R Hondaに移籍
2004:
F1 第9戦アメリカGPで3位表彰台
2006:
SUPER AGURI Hondaに移籍
2010:
KVレーシングよりインディカー・シリーズに参戦
第94回インディアナポリス500にてインディ500に初挑戦、20位完走
2011:
インディカー・シリーズ第8戦で日本人初のポールポジション獲得
2012:
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍
第4戦サンパウロで自身初の3位表彰台
第96回インディ500にて終盤まで優勝争いを演じるも、惜しくも最終ラップでスピン
2013:
AJフォイト・レーシングに移籍
第3戦ロングビーチでインディカー・シリーズ日本人初優勝
2017:
アンドレッティ・オートスポーツに移籍
第101回インディ500で日本人初優勝
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