独フォルクスワーゲンAG、量子技術で交通管制のリーダーに


独フォルクスワーゲンAG(本社:ドイツ・ニーダーザクセン州ヴォルフスブルク、グループCEO:ヘルベルト・ディース)は量子コンピューターによる交通管制システムの開発に取り組み、他の自動車メーカーに先んじて実用化の目途をつけていると発表した。

具体的には11月5日から8日迄の期間、ポルトガル・リスボンで行われているスタートアップ・カンファレンス『Web Summit 2018』の壇上に、カナダブリティッシュコロンビア州バーナビーに拠点を据え日夜、量子コンピューターの開発に取り組んでいる「D-Wave Systems, Inc.」と共にフォルクスワーゲンが登壇。

両社は量子コンピューターを利用した都市交通量の算出や輸送需要。さらには旅行時に掛かる運転時間の予測を精緻に割り出すなど、多種多様な交通ニーズに応えられるシステム構築で実用化の目処が見え始めていると語った。

この新たな技術革新は、公共交通機関やタクシー会社だけでなく、「移動」に関わる数多のステークスホルダー企業は、乗客や荷物の輸送効率をこれまでとは異なる次元にまで高められるようになる。

これらの成果について、フォルクスワーゲンが米国・サンフランシスコに拠点を据えている「CODE Lab」のプリンシパル・サイエンティストを務めているFlorian Neukart氏は「我々は他の自動車メーカーに先駆け、量子コンピューターの実用利用を進めつつあります。

量子コンピューターは、従来のスーパーコンピューターよりもはるかに高速に動作することから、トラフィックの最適化作業を含む複雑なタスクを圧倒的なスピードで演算することができます。

このため多くの企業や交通環境に於いて、これまでとは異なる次元で、個々ユーザーに最適化したサービスを提供することが可能になるでしょう」と話している。

一方、D-Wave Systems社長のBo Ewald氏は「量子コンピューティングは次世代を担う基礎技術です。量子コンピューターをベースにした我々のアプリケーション開発は、近未来の人々の日常に大きな影響を与えることになるでしょう」と述べた。

ちなみに量子コンピューターとは、量子が「重ね合わさったり」や「絡み合ったり」する量子力学的な現象である「エンタングルメント(量子エンタングルメント)」を利用して複雑な計算式と回答を導き出す全く新しい概念のコンピューターである。

つまり量子の重ね合わせによって、複数の数字を同時に組み合わせることが可能であるため、これを基に多元的な演算を一気に行える。

これに対して従来のコンピューターでは「ゼロ」と「1」のふたつを可能な限り高速に繰り返すことで計算を行ってきた。これ対して量子コンピューターは無限の計算式を組み合わせて同時に演算する。

結果「移動」に関わる事業者は、本来は猫の目のように変化していく需要に合わせ、その時々の最適の「解」を極めて短時間で割り出すことができるようになり、自動運転車が刻一刻と変化する移動ニーズに合わせリアルタイムに配車できるようになるなど、常に最適化された交通インフラ環境を利用者に提供できるようになる。