中国EV大手、比亜迪(BYD)傘下のビーワイディージャパン株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:劉 学亮)は日本国内で同社導入初のリチウムイオン電池(LiFe)搭載の2トン積載・電動ハンドパレットトラック 「P20W」と、5トン積電・動カウンターフォークリフト「ECB50」を2019年6月11日より発売する。
BYDジャパンがこの製品の投入を開始した理由は、2030年のパリ協定達成に向けて、日本でも運輸部門で環境負荷の少ない車両の導入が進むと見ているため。
なかでも我が国の運輸部門では、CO2排出量の3分の1を占めるに物流分野に於ける排出対策削減が求められており、電動フォークリフトの国内販売比率は61%にまで拡大している(参照元:一般社団法人日本産業車両協会の2018年フォークリフト国内販売実績)。
これを受けて同社は、今後3年間で合計1000台の販売計画を立てているという。BYDでは「低炭素社会の実現へ向けて、祖業である電池技術をベースとした電気バスを世界で5万台以上販売しており、産業車両分野でも世界初となるLiB搭載車両を展開しています。
今回販売する2車種は、当社のEV技術と知見を活かしたもので、2トン積載の「P20JW」は5時間の連続稼働性能を、5トン積載電動フォークリフト「ECB50」は8時間の連続稼働性能を有します。またバッテリーの保証については、5年間もしくは1万時間の長 期保証を設定しています」と話している。
製品の競争力については、これまでの1.6トン〜3.5トンのLiFe搭載電動フォークリフトの導入実績を背景に「稼働時間」「満充電までの時間」「バッテリーメンテナンス」など複数の課題を克服しているとしており、導入し易い価格帯の同製品投入で電動フォークリフトの爆発的普及を目指していく構えだ。
なおリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFe電池)は、リチウムイオン電池の一種で、正極材料にリン酸鉄リチウムを使う二次電池を指す。結晶構造が強固なため熱安定性(熱分解温度が高い)が高いのが特徴だ。電池製造では、鉄を原料とするため構成材料の調達費が安価で済む一方で、製造に係るコスト自体はやや高い。
リン酸鉄リチウムイオン電池のこれまでの課題は、一般的に電気伝導性が低いことであったが、活物質の微細化や、表面の炭素コートを採用する等で今も改良が進められている。また電池そのものの完成品が比較的重量を持つことから鉛二次電池のリプレイス活用や、定置型蓄電池システムなどには適しており、BYDでは重量比が欠点となり難い大型車両の他、今回の輸送機器等への展開を進めている。
リン酸鉄リチウムイオン電池搭載車の同社提唱内容
1.CO2 や引火性ガス(水素ガス)な等の排出量ゼロ。
2.電池性能(リン酸鉄リチウムイオン電池)
(2−1)メンテナンスフリー:精製水の補水作業や清掃不要。
(2−2)精製水費や補水作業時間(人件費)を削減可能。
(2−3)充放電サイクル4千回。(鉛蓄電池の 3 倍以上)
(2−4)5年もしくは1万時間の長期保証を設定。
(2−5)防塵防水、IP67(電池パック完全密封)
3.充電性能
(3−1)充電時間:急速充電で100%(満充電)まで充電可能。休憩時間の有効活用により 稼働率が高い現場で1日中使用でき予備バッテリーか不要。 例)270Ah充電器仕様200A充電時間約1.3h(0-100%) ※充電器仕様: 20A・30A・60A
(3−2)充電中に引火性ガス(水素ガス)発生なし。
(3−3)継足し充電:電池寿命への影響が小さい。
4.使用環境温度性能マイナス25度の温度環境下で放電率は75%以上と低温特性。冷蔵冷凍庫内でも長時間 稼働が可能。高温特性にも優れ60度の温度環境の中でも使用可能。