ボッシュ、2.5億ユーロのファンドで新興企業支援へ

2007年の設立以来、世界中で100件以上の投資実績

ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:フォルクマル・デナー/)は5月8日(シュトゥットガルト/レニンゲン発)、不透明な経済状況や混乱を極めるグローバル経済に直面する中でも、スタートアップ企業向けのベンチャーキャピタルの提供を継続していく。

その一環として、既に欧州最大級のベンチャーキャピタル投資会社のひとつであるボッシュの子会社Bosch Ventures(ボッシュ・ベンチャーズ/Robert Bosch Venture Capital GmbH)が、2億5,000万ユーロ規模の新ファンドを設立する。

このファンド設立の背景について2024年度の年次決算発表の場で、ロバート・ボッシュGmbH取締役会会長シュテファン・ハルトゥング氏は、「ひとつには、スタートアップ企業への投資が事業および社会全体の技術革新を促進すること、そしてもうひとつには、協業することでボッシュの事業部にもメリットをもたらすということが挙げられます。

スタートアップ企業は、画期的な先進技術を活用して技術革新を促進し、国の経済的成長の重要な原動力となります。だからこそ、たとえ厳しいビジネス環境であっても、ボッシュは世界中のスタートアップ企業にとって信頼できるパートナーであり続けたいと考えています」と説明した。

Invented for life:エネルギー効率とAIに重点を置いた投資

ちなみにBosch Venturesは、ベンチャーキャピタルのプロバイダーとして、人々の生活の質の向上と、天然資源の保護に可能性を秘めたテクノロジーを有する世界中のスタートアップ企業を支援してきた。

ドイツ国内外に於いてボッシュ・グループは、持続可能なモビリティ、クライメートニュートラル関連テクノロジー、ネットワーク化実現に向け、最前線で技術革新をリード。これを踏まえBosch Venturesは今後も、エネルギー効率やAI(人工知能)といった分野を中心に投資を行う。

Robert Bosch Venture Capital GmbHでマネージング・ディレクターを努めるインゴ・ラメソール氏(Ingo Ramesohl)は、「私たちは特に、飛躍的な科学の進歩や革新技術に基づくディープテックのスタートアップ企業に投資しています。彼らこそが、市場に根本的な変化をもたらす大きな可能性を秘めているからです」と語った。

Bosch Venturesは2007年の創設以来、国際的なテクノロジー分野の集積地である中国(上海)、ドイツ(シュトゥットガルト、フランクフルト)、イスラエル(テルアビブ)、米国(ボストン、サニーベール)に、スタートアップエコシステムの窓口となる独自の拠点を設立してきた。

グローバルとローカル:最高のスタートアップ企業を求めて

先のラメソール氏は、「世界的な投資会社として、私たちはローカルに於けるスタートアップエコシステムの一部になる必要があります。

そうすることで、独自の革新技術で市場全体を根底から覆すような可能性を秘めたスタートアップ企業を見つけることができるのです。

当社では投資専門家が毎年2,000社以上のスタートアップ企業を審査しています。しかし、最終選考に残るのは100社程度に過ぎません。

Bosch Venturesは毎年、こうして厳選した6~10社に投資すると共に、ノウハウや運営に関するサポートも提供しています。

そもそもベンチャーキャピタルの提供に留まらず、Bosch Venturesでは2018年からOpen Boschプログラムも運用しています。

このプログラムにより、スタートアップ企業は早い段階でボッシュの事業部門と関係を構築し、迅速かつ容易にボッシュのサプライヤー、顧客、またはテクノロジーパートナーになる機会を得ることができます。

スタートアップ企業が技術革新を促進し経済成長に貢献する

同時に、ボッシュもいち早く最新テクノロジーに触れ、パートナーとともに、共同の技術革新に取り入れることができます。このWin-Winのパートナーシップにより、ボッシュは技術革新の効率性を強化および確保し、会社の長期的な成功を後押しします。

ボッシュは、既に同プログラムを通じて数百のスタートアップ企業とパートナーシップを結んでおり、スタートアップ企業を技術革新に於ける重要なパートナーと位置づけています。

従って我々ボッシュ・グループが掲げる〝Open Bosch〟はコ・イノベーションを推進するプログラムなのです。

そうしたなかでBosch Venturesのポートフォリオは現在、60以上のアクティブ投資で構成されています。

機関投資家向けベンチャーキャピタルファンドと同様に、私たちも投資完了時にはIPO(新規株式公開)のような出口戦略のサポートをします。Bosch Venturesは、既に幾つかのIPOを成功させています」と結んだ。

Open Bosch:スタートアップ企業とのWin-Winパートナーシップ

さてここまでラメソール氏が述べたように、投資行動について〝Open Bosch〟を掲げるボッシュ・グループは、工業用部品向け技術で革新的なオンデマンド式マーケットプレイスを展開するXometryや、量子コンピューティング企業で初上場を果たしたIonQなどもポートフォリオの一部として保持し続けている。

また、イギリスのスタートアップ企業であるQuantum Motionは、Bosch Venturesが量子コンピューター分野で3件目に行った投資先だ。

更にイタリアのオープンソースのエレクトロニクスプラットフォームのArduinoや、ドイツのAI関連のスタートアップ企業Aleph Alphaもこれに含まれる。

中国での投資活動にも積極的であり、バッテリーのリサイクルを手掛けるJin Sheng、商用車向け自動運転技術テクノロジーを提供するTrunkTechなどの株式を保有している。

最後に北米のポートフォリオには、AIを活用したエッジコンピューティング向け半導体ソリューションのリーダーであるSyntiant、AI支援のフリート管理ソリューションを提供するMotiveといった、実績あるテクノロジー企業も含まれているという。